芸術の秋! コペンハーゲンで注目を集める、若手現代アーティストたち。

世界は愉快 2024.09.27

冨田千恵子

北欧の短い夏が終わりを告げた8月末、日本より一足早く「芸術の秋」を迎えたコペンハーゲンでは、北欧最大のアートフェア、「チャート」やミュージアムの新企画展など、多くのアートイベントが開催され、旬のアーティストたちの作品にふれる機会が増える。そこで、個人宅でのアートサロン、クンストサロネンを主催する、キュレーターのアンネ・オースランドに、注目すべき若手女性アーティスト3人を紹介してもらった。

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Rebecca Lajboschitz @leibo_hellohello
1988年生まれ。デンマークのアートスクールを経て、ロンドンでジュエリーデザインやメタル、布、ガラスなどの素材を使ったアートについて学んだ。現在はコペンハーゲンのアトリエで、創作している。photography: ©Courtesy of the artist

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6月に開催された、デザインイベント、スリーデイズ・デザイン期間中にギャラリータブローで展示された、エッグ・マイスター。オブジェとしてだけでなく、デイベッドとしても使える、機能性のあるアートピース。photography: ©Courtesy of the artist

まず、フローリスト兼ギャラリー、タブローで、古い布をパッチワークのように組み合わせた造形的な作品を展示して話題になった、レベッカ・ライボシツ。「テキスタイルとガラス、メタルなど、異素材の組み合わせにチャレンジしています。たとえば、古い布。服やカーテンなど、当初の役割から解き放ち、アート作品にして新しいストーリーを作りたいのです」と語る。ギャラリーだけでなく、ファッションブランドのアイアユやヘルムシュテットなどとのコラボで活躍している。

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2023年11月にコペンハーゲンのアウトポスト・ギャラリーでのグループ展、オニオンズで発表した作品。Bloom in Hiding, 2023, Mixed textile in oak frame, 108 x 120 cm photograpy: ©Courtesy of the artist
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運河の町、クリスチャンスハウンにある、レベッカのアトリエ。エッグマイスターのベースになった、エッグ・シブリングなど、創作中の作品が並ぶ。

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次は、ヴェラ・リュンググレン。スウェーデンのコンストファック美大に在学中。キュレーターのアンネによると、「抽象的かつ比喩的な言語で作品を制作するアーティスト」で、動物や人などの具象的なモチーフを、力強い色の組み合わせと絵具が滴るような独特の筆致で、その感性を表現する。

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Vera Ljunggren @vera_ljunggren
2000年生まれ。スウェーデンの国立美大コンストファックのテキスタイル科に在学中のライジング・スター。2024年春学期はデンマークの王立美大で学んだ。デンマークとスウェーデンを行き来しつつ、両都市での個展、グループ展などで活躍中。

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Humming walk, 133x100cm, oilpaint on canvas 2024 photography: ©Courtesy of the artist

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Heads or Tails, 150x92cm, Oilpaint on canvas, 2024 photograhy: ©Courtesy of the artist

「どこに行っても、自分の作品に組み込む新しい色を探し、頭の中で書き留めたりします。」と話すヴェラ。そんな彼女の日常が想像できるような2作品。

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Anne Torpe @annetorpe
1981年生まれ。2009年にデンマーク王立美大でMFA取得。在学中はミュンヘン美術院でも学ぶ。コペンハーゲンのハンス・アルフ・ギャラリーをはじめ、国内外のギャラリー、美術館でのグループ展示などで活躍する人気アーティスト。photography: Dennis Morton

最後に、コペンハーゲンのギャラリー、ハンス・アルフ・ギャラリーでの個展や国内外の美術館での展示で知られる、アンネ・トーペ。日々のルーティーンと思い出をテーマにした作品が多いが、そこに描かれている女性たちはリラックスし、時には鏡の前でポーズをとるなど、まるで内面に潜む分身とともに過ごしているようにも見える。手法は比喩的なキュビズムと表現され、キャンバスいっぱいに模様や色で満たし、その複雑な感情を伝えている。

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Veil of Facades, 160 x 120 cm, Oil on canvas 2023 photography: ©Courtesy of the artist and Hans Alf Gallery

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Another Graceless Night, 2024 Oil on canvas, 160 x 120 photography: ©Courtesy of the artist and Hans Alf Gallery

上記は、昨年12月にハンス・アルフギャラリーでの個展「Resonant Hues」で発表された中からの2作品。

アーティストを知ると、作品がより身近になる。お気に入りを探しに、美術館やアートギャラリーに足を運んでみたい。

問い合わせ先:
Rebecca Lajboschitz: Instagram:@leibo_hellohello
Vera Ljunggren: Instagram:@vera_ljunggren
Anne Torpe: Instagram:@annetorpe
Anne Aarsland: Instagram:@kunstsalonencom

冨田千恵子

コーディネーター兼ライター。デンマーク在住30年以上。デザイン、建築、アート、街並み観察、犬ネタが得意なジャンル。音楽はラヴェルが好きな北欧のフランスファン。
Instagram: @chi.tomita photography: Kazue Ishiyama

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