北欧の短い夏が終わりを告げた8月末、日本より一足早く「芸術の秋」を迎えたコペンハーゲンでは、北欧最大のアートフェア、「チャート」やミュージアムの新企画展など、多くのアートイベントが開催され、旬のアーティストたちの作品にふれる機会が増える。そこで、個人宅でのアートサロン、クンストサロネンを主催する、キュレーターのアンネ・オースランドに、注目すべき若手女性アーティスト3人を紹介してもらった。
まず、フローリスト兼ギャラリー、タブローで、古い布をパッチワークのように組み合わせた造形的な作品を展示して話題になった、レベッカ・ライボシツ。「テキスタイルとガラス、メタルなど、異素材の組み合わせにチャレンジしています。たとえば、古い布。服やカーテンなど、当初の役割から解き放ち、アート作品にして新しいストーリーを作りたいのです」と語る。ギャラリーだけでなく、ファッションブランドのアイアユやヘルムシュテットなどとのコラボで活躍している。
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次は、ヴェラ・リュンググレン。スウェーデンのコンストファック美大に在学中。キュレーターのアンネによると、「抽象的かつ比喩的な言語で作品を制作するアーティスト」で、動物や人などの具象的なモチーフを、力強い色の組み合わせと絵具が滴るような独特の筆致で、その感性を表現する。
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「どこに行っても、自分の作品に組み込む新しい色を探し、頭の中で書き留めたりします。」と話すヴェラ。そんな彼女の日常が想像できるような2作品。
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最後に、コペンハーゲンのギャラリー、ハンス・アルフ・ギャラリーでの個展や国内外の美術館での展示で知られる、アンネ・トーペ。日々のルーティーンと思い出をテーマにした作品が多いが、そこに描かれている女性たちはリラックスし、時には鏡の前でポーズをとるなど、まるで内面に潜む分身とともに過ごしているようにも見える。手法は比喩的なキュビズムと表現され、キャンバスいっぱいに模様や色で満たし、その複雑な感情を伝えている。
上記は、昨年12月にハンス・アルフギャラリーでの個展「Resonant Hues」で発表された中からの2作品。
アーティストを知ると、作品がより身近になる。お気に入りを探しに、美術館やアートギャラリーに足を運んでみたい。
Rebecca Lajboschitz: Instagram:@leibo_hellohello
Vera Ljunggren: Instagram:@vera_ljunggren
Anne Torpe: Instagram:@annetorpe
Anne Aarsland: Instagram:@kunstsalonencom
冨田千恵子
コーディネーター兼ライター。デンマーク在住30年以上。デザイン、建築、アート、街並み観察、犬ネタが得意なジャンル。音楽はラヴェルが好きな北欧のフランスファン。
Instagram: @chi.tomita photography: Kazue Ishiyama