毎年9月、ソウルはアートフェスティバルから始まる。2022年にアジアで初開催となり話題を呼んだ、ロンドン発祥のアートフェア「フリーズソウル」が今年で第3回を迎えた。ディレクターのパトリック·リーの監修の下、9月4日から7日までソウル江南区三成洞にあるCOEXで行われた。32カ国の世界有数ギャラリー110以上のギャラリーが参加。特に韓国に拠点を置くギャラリーを中心にアジア地域の主要ギャラリーが名を連ね、この地ならではの魅力を楽しめる祭典となった。
フリーズソウルは、ソウルのクリエイティブなコミュニティを紹介する韓国画廊協会運営の伝統的なアートフェアである「キアフソウル」と共同開催され、参加者はふたつのアートフェアを同時に体験できる。今年は7人の韓国作家を起用し詩をテーマにしたパフォーマンスプログラムフリーズライブの実施や、フェアが行われたCOEXの会場外でもフリーズフィルム、フリーズミュージックが企画されるなど、コラボレーションイベントがソウル全域にわたって拡大した。
photgraphy: Sunbake, 2023 Copper Pipe, Wood 1700x1500(cm) On display in 'Off-Site,' 2023, at Art Sonje Center (Rooftop), Seoul, South Korea Courtesy of Art Sonje Center, Frieze Seoul
昨年新設された「フリーズソウルアーティストアワード」。今年の受賞者にはチェ·ゴウン(Choi Goeun)作家が選ばれた。
photgraphy: Gloria, 2023 Bronze plated on Stainless Steel Pipe, Artificial Marble 126x117x138(cm) On display in 'Yolk', 2023, Cylinder Two, Seoul, South Korea Courtesy of the artist,Frieze Seoul
photgraphy: Trophy, 2022 Brass Pipe 160x70x160(cm) On display in solo exhibition 'Cornering,' 2022, Amado Art Space, Seoul, South Korea Courtesy of Amado Art Space, Frieze Seoul
受賞作である『ホワイトホームウォール:ウェルカムWhite Home Wall:Welcome』と『グローリアGloria』は、生活の中でよく見られるパイプ、家電、家具を題材に、彫刻として、または展示会場とインタラクティブに感応するアート作品として披露したもの。フリーズソウルで公開され、アート愛好家が大きな関心を寄せた。昨年、第1回のアワード受賞者であるウ・ハンナ(Woo Hannah)の作品『The Great Ballroom』が国際的な評価を得たことに続き、この試みは今年も多くの注目を集めることとなった。
今秋は釜山と光州でビエンナーレも同時に開催され、フリーズソウルの熱気とともに、韓国全土が芸術的なエネルギーに包まれる素敵な季節となった。
鄭慈卿 Ja-Kyung Jung
チョン・ジャキョン、ソウル生まれ。映画制作会社の演出部を経て、メディアコーディネーターに。日本語は独学で習得。雑誌を中心に書籍、テレビ、広告、ブランド、スポーツなどのコーディネーションを担当。 Instagram: @mademoiselle_pudding