ベルリン市内を東西に横断するシュプレー川。水路として交通や運搬に使われてきた川には、700年以上の歴史を持つ港も残されている。そこに停泊している古い蒸気船が、レストラン「シュプレー・フュメ」としてリニューアル。"シュプレー川の煙"を意味する店名どおり、蒸し料理と暖炉からの煙が、暖かくお客を迎えてくれると、人気を集めている。
![1.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/1bfe4627df26fe23e695b6e05c019f202348ba9e.jpg)
川面にはまだ氷が浮かぶ、底冷えするベルリンの2月。「シュプレー・フュメ」の甲板の小さな入り口から船底へと降りていくと、あたたかい空気に包まれた。キッチンには竹の蒸篭が山と積まれ、白い湯気が立っている。
![2.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/1639a50fd6b889d3dc80d80f68dc0706e5aa1185.jpg)
広々とした客席には暖炉があり、天井はガラス張りで明るい雰囲気だ。壁には1910年に作られた、このレナーテ=アンゲリカ号や港のモノクロ写真が展示されている。バーカウンターの奥にはベルリンやドイツのクラフトジンやスピリッツがずらり。シュプレー川に架かる橋の名前を冠した、10種類のシグニチャーカクテルを楽しむことができる。
![7.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/04182ae6132db2515055ec470bd01beee26d8b23.jpg)
![3.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/c4a2888aa0d01b08920e8d0f4556ed20d123a646.jpg)
「船には、地図がないと!」というオーナーのアイデアで、カクテルメニューはシュプレー川が流れるベルリンの地図になっている。南北東西の代わりに、カクテルの強さ、酸味と甘みが、コンパスの方位となっていて、自分好みのカクテルを探しやすい。
![6.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/56a5a9f256c5f9f95825b6832ce2b6296be3f2b2.jpg)
食事は野菜を中心に、肉まんや色鮮やかな餃子などもラインナップに並ぶ、蒸籠を使った蒸し料理。さっぱりとヘルシーだが、ソースは濃いめの味付けでお酒も進む。
![8.jpeg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/86a34f13ea89571f0d6b37639703152e2c819f8c.jpeg)
ベルリンを象徴するテレビ塔や旧市街が眼前に広がる、絶好の立地にあるシュプレー・フュメ。暖かくなってきたら、船の甲板でビールやカクテルを飲みたい。緩やかな川の流れの中で、ゆったりとロマンチックなベルリンの夜を過ごすことができそうだ。
Märkisches Ufer 1Z, D-10179 Berlin GERMANY
営):12:00~0:00(木〜土 ~2:00
休):月、火
https://www.spree-fumee.de/
@spreefumee
![](/mt-static/support/uploads/500x500-kawachi.jpg)
河内秀子
ライター。2000年からベルリン在住。ベルリン芸術大学在学中に、雑誌ペンなど日本のメディアでライター活動を始める。好物はフォークが刺さったケーキ、旧東ドイツ、マンガ、猫。ドイツでも日本でも「そとのひと」。 twitter:@berlinbau