近年の異常気象には身体も神経もほとほと疲れしまう。日本では北海道でも40℃を超える暑さ、ヨーロッパでは各地で酷暑による森林火災や洪水などの報道が絶えない。もちろん世界中の旅行者にもいろいろな意味で影響が及んでいる。
それに伴ってか、「Coolcation(クールケーション)」(Cool + Vacation)なる言葉が浮上し流行っている。その名の通り涼しい場所でのバケーションを意味し、北の地、特に北欧がいま人気になっているようだ。
今秋オープンに向けて最後の調整にかかっているHållfjället(ホールフィエレット)はまさにそんなクールケーションにうってつけの場所になるだろう。
ストックホルムよりノルウェーとの国境線、北西に向かって約650km、車で約8時間から8時間半の場所に位置する。
1940年代にオーストリア人夫妻によって建てられたこの場所は、芸術家でもあった旦那さんが自分で図面を引き、完成させたものだ。内装や2段ベッドの家具などにおける手塗りの装飾なども彼の手仕事でその当時の様子が浮かんでくる。
ミニマムな改装をしてなるべくオリジナルを残している。2段ベッドのサイズは日本人にはちょうどいいかも。
当時のマダムの「ビジネスライクでもなくホテルでもなく、『家』でのくつろぎを印象付けたかった」という想いを引き継ぎながらも、ガストロノミーと自家栽培に重点を置くスウェーデン人の3人がこの場所を再開するのだ。
イェンス(左)とロッド(中)は星付きレストランで働いた経験もある料理人。リンダ(右)はソムリエでもありワインジャーナリストでもある。
ほの温かいケーキにキャラメライズしたクラウドベリー、リキュール、ホイップクリームのトッピング。いますぐにでも頂きたい!
都会の喧騒とは程遠い、まさにミドルオブノーウエアに位置するホールフィエレットは一番近い鉄道駅、Undersåker(ウンデルシュオーケル)からバスかタクシー、もしくは車で約30分かけてOttsjö(オットシュー)の町まで、そこからは更に7kmを徒歩か歩くスキーで行くより道はなしという場所だ。
時間にして片道徒歩約1時間半、北欧の大自然の中を歩いてたどり着いた先にはおいしい食事とサウナ、そして心温まるおもてなしが待っている。空気のおいしさを直に感じ、目の前の広大な眺めに癒され深い眠りにつけること間違いなしだ。もちろん自家製の朝食もゆっくりと時間をかけて堪能してほしい。
一大スキーリゾート地のÅre(オーレ)市が近くにあるこの辺りは夏は短く冬は長い。雪も良く降る土地でもあり、まさにスウェーデンの冬を経験する場所でもある。建てられた1940年代を思い起こし、歩くスキーや雪道を踏破するのも本当の意味でのクールケーションになりそうだ。
Ottsjö 220, Undersåker 83796
https://www.hallfjallet.se/sv/
@hallfjallet_1943
※オープンが今秋後半を予定しているため、現時点での予約受付はメールか電話のみ。その際に荷物の送迎状況などの情報も確認可能。
※季節や曜日によりレートが変わるのでそちらも要確認。オープニングプライスの参考としては一部屋2段ベッド、3コースの夕食、サウナ、朝食が付いて二人で6990SEK〜。
photography: Hållfjället text: Sakiko Jin

神咲子
在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデン中間部、東海岸のスンズヴァル市から西に一直線、ノルウェーとの国境のストールリーエン市を運転する日々を送る。