「メンタルヘルスは人権か?ラグジュアリーか?」 ニューヨークの高級ウェルネスクラブに注目。

世界は愉快 2025.10.01

9月のニューヨークといえば、ファッションウィークだが、もうひとつのビッグイベントは、世界各国の首脳や要人が集まる国連総会だ。今年の議題のひとつとして注目されるのが、「メンタルヘルスとウェルビーイングの促進」についてで、2030年以降を見据えた新しい合意がまとめられる予定だ。

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国連は、心のケアが行き届いていない、現在の状況を懸念しており、医療やサポートへの投資不足が大きな格差を生み、このままでは個人や社会に深刻な影響を与えかねないとしている。今回の会合では、健康を医療だけでなく社会や経済、環境と結びついた課題として捉え、各国が協力することが求められている。国連やWHOは政府だけでなく、市民や企業、NGOも含めた幅広い協力で、公平な支援のシステムを築く必要があると強調している。

メンタルヘルスは人権か、ラグジュアリーか?
心のケア先進都市、ニューヨークで注目のソーシャルウェルネスクラブ。

ニューヨークは、そんなテーマを語るのにふさわしい街だ。ここでは「セラピーに通うこと」が普及している、心のケアの先進都市だ。テレビドラマでは、ニューヨークの登場人物は当たり前のようにセッションを受け、実際に多くのセラピストが存在する。また良いセラピストに出会った場合は、知人に紹介したりと、オープンに話すことが多い。

だが現実には、その利用料は1時間あたり300〜400ドルと高額で、誰もが気軽にアクセスできるわけではない。たまに無料や低価格で相談できるシステムもあるが数は限られており、「心を整える前に、経済的に困窮してしまい、悩みが増える」という皮肉もある。

そんななか、注目を集めているのがソーホーにある会員制クラブ「Remedy Place」だ。

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アメリカで4店舗を誇る「レメディープレース」のソーホー店。2024年末にオープンした。木や石など自然素材をふんだんに用いたラウンジは、社交とリラックスが一体化するように設計されている。

「ソーシャルウェルネス」を掲げる世界初のウェルネスクラブで、孤独が健康にマイナスの影響を与えるという考えから、ソーシャルな自己ケアを理念に置いている。氷風呂や酸素カプセル、呼吸法プログラムなどを備え、さらに鍼灸やカイロプラクティックなど伝統的な療法も取り入れている。

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グループでの瞑想や社交とウェルネスを融合したイベントも随時開催している。年間会費は9,000ドルからと決して安くはないが、セレブリティやアスリートを中心に支持を集めている。ウェルネスを社会的にシェアする経験は、都市型の新しい発想だ。

国連本部で「すべての人にメンタルヘルスを」と訴える一方では、それがラグジュリアスな体験として提供されている。心の健康は権利として、守られるのか、それとも特権的なライフスタイルとして楽しまれるのか。その問いに向き合うことが重要だ。

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