【パリのお部屋探訪】モダンにリフォームしたアールデコなインテリア。

Interiors 2026.01.06

madamefigaro.png

インテリア建築家であり、建築事務所Miidの創設者イングリッド・マリーは、パリ6区ビュシ通りにあるアパルトマンを、完璧に都会の滞在を楽しむために考え抜かれた、パリらしい魅力あふれる98㎡の住まいへと変貌させた。

251225-before-after-01.jpg

インテリア建築家イングリッド・マリーは、このアパルトマンでエレガンスと快適さのコードを巧みに操った。その結果生まれたのは、非常にパリらしいシックさを備えた、包み込むような住まい。photography: Julien Pepy

人間工学、動線、機能性は、イングリッド・マリーの仕事の核となる要素だ。トゥールーズ国立美術学校を卒業後、長年ラグジュアリー業界で経験を積んだ彼女は、2013年に自身のインテリア建築事務所Miidを設立した。キャリアを通して、彼女は卓越性、エレガンス、そして細部への配慮のために、そのセンスを磨き、強化してきた。現在、プロフェッショナルから個人客まで、彼女のもとを訪れるクライアントは、空間にシックさを吹き込む能力だけでなく、依頼主のイメージや好みを尊重し、予算に配慮する姿勢を高く評価している。彼女のシグネチャーとは?それは、アール・デコへの嗜好を、コンテンポラリーな要素と巧みにミックスするスタイル。本プロジェクト、パリの98㎡の住まいにもその魅力が存分に表れている。それでは中を見ていこう。

プロジェクトの出発点

「このプロジェクトは少し特別でした。個人のためではなく、不動産エージェントであり、同時にパリでアパルトマンを購入する不動産業者でもある方のために手がけたものだからです。彼は主に海外の購入者たち向けに、非常に美しいセカンドハウスとして仕上げることを目的としていました。こうした空間には、夢をかき立てるパリらしさとともに、エレガントさが求められます。モールディング、寄木張りの床、場合によっては暖炉......これらは、控えめでシックな雰囲気を生み出すために欠かせない装飾要素です。私は、ビュシ通りの建物2階に位置するこの98㎡のアパルトマンに、まさにそれを備えたのです。この住まいは、通りと中庭の両方に面した窓があり、非常に明るいのが特徴です。実用面で重要なポイントとしては、バスルームとドレッシングルームを備えた"マスターベッドルーム"が2室あること。これらはもともと存在していましたが、私はその構成を見直しました。全体として大きな間取り変更は行っていませんが、長い廊下を取り払うことで、寝室とバスルームを広げています。」


玄関

Before

251225-before-after-02.jpg

玄関代わりに使われていたのは、16㎡以上もある一室。photography: Agence Miid

After

251225-before-after-03.jpg

オーダーメイドで制作した中央の家具によって、再構成されたエントランスに。photography: Julien Pepy

「この玄関は、以前から、そしていまもなお、個性的な空間です。というのも、16.7㎡もある大きな一室だからです。以前は、まったく手が加えられておらず、活用も最適化もされていませんでした。私にとって、この空間を"使える場所"にすることが何より重要でした。そこで、ボリュームはそのままに、自立式の家具で空間を構成することにしました。この家具は、仕切りの役割を果たしながら、機能を再配分してくれます。玄関から入ると、中央にこの"カプセル"のようなものが目に入ります。玄関ドア側には、ドレッシングと収納を備えています。その周りを回り込むと、この家具の中に設けたワークスペースが現れます。現在では、在宅ワークができる場所を用意することが必要です。購入希望者から必ず求められる要素です。

251225-before-after-04.jpg

中央の家具は、訪れる人を迎え入れると同時に、片面には収納やクローゼットを隠している。photography: Julien Pepy

251225-before-after-05.jpg

エントランス家具の「表側」には、快適にテレワークができるワークスペースを設置。photography: Julien Pepy

また、以前暖炉があった場所には、下部に収納を備えたベンチシートを設けました。このオーダーメイドのレイアウトによって、エントランスは美しさと機能性を兼ね備えた空間となっています。実際、工事中にドア越しに作業を見ていた同じ建物の住人の方々が、何度も中に入ってきて「この選択は素晴らしい」と声をかけてくれたほどです。
最後に、私は白とブルーを組み合わせました。よく使うのは、ナイトブルーにゴールドやシャンパンカラー。これらは私にとってアール・デコを象徴する色であり、特にインスピレーションを受け、再解釈しながら、自分の表現として取り入れているスタイルなのです。」

---fadeinpager---

キッチン

Before

251225-before-after-06.jpg

特筆するところのないキッチン。photography: Agence Miid

After

251225-before-after-07.jpg

光がたっぷりと差し込み、食事もできるキッチンへ。photography: Julien Pepy

「キッチンへは玄関から入ります。位置は変えていませんが、より心地よい空間になるよう手を加えました。中庭に面した窓があり、十分に明るさもあります。私のプロジェクトでは、キッチンをリビングと一体化することが多いのですが、今回は、調理のにおいを気にされる可能性のあるオーナーを想定し、独立したキッチンを選びました。面積は10㎡と小さいものの、使い勝手がよく、居心地のよい雰囲気があります。朝食はもちろん、2人での食事も可能です。家具は、下部にダークでエレガントなウォールナット材を採用し、上部の吊り戸棚にはより明るい色調を組み合わせました。床はマットな質感のクリーム色のコンクリート仕上げです。クラシックな要素と、より無骨で現代的な要素をミックスしたこのスタイルはとても相性がよく、私らしさが表れていると思います。」

---fadeinpager---

リビング

Before

251225-before-after-08.jpg

30㎡の広さを持つ美しい一室。photography: Agence Miid

After

251225-before-after-09.jpg

オーガニックなフォルムの家具でまとめられたリビング。photography: Julien Pepy

251225-before-after-10.jpg

古きパリへのオマージュとして残された構造梁が、リビングへの入口をさりげなく区切っている。photography: Julien Pepy

「リビングは30㎡のゆったりとした空間で、玄関からアクセスします。残念ながら暖炉はありませんでした。新たに設けることも検討しましたが、コストがかかりすぎるため断念しました。そこで、空間にもともと備わっている、非常にパリらしい建築的要素を強調することで補うことにしました。構造梁はそのまま残して、アーチをつくるために暖炉の煙道を使いました。これらのアーチは、丸みを帯びたフォルムの現代的な家具と呼応しています。

251225-before-after-11.jpg

暖炉の煙道を活かしてアーチを設え、その下にこの空間のために特別にデザインされたコンソールを配置。photography: Julien Pepy

ダイニング側には、グリーンマーブルの天板を持つテーブルを選び、ローテーブルと視覚的な対話を生み出しています。ソファはとても包み込むようで、オーガニックなフォルムの全体構成は、非常に快適です。最後に、こうした家具に加えて、私自身がデザインしたテレビを置けるコンソールなど、オーダーメイドの要素を組み合わせました。」

---fadeinpager---

ブルーのマスターベッドルーム

Before

251225-before-after-12.jpg

暖炉の煙道が空間を圧迫していた小さな寝室。photography: Agence Miid

After

251225-before-after-13.jpg

煙道をナイトテーブルとして活用し、空間全体が美しく最適化された寝室。photography: Julien Pepy

「この寝室は、玄関のワークスペース側に開いています。寝室とバスルームは、今回のプロジェクトの中で唯一、間取りの再構成を行った空間です。というのも、もともと住まいの奥には、端から端まで続く長い廊下があり、その間仕切りを取り払うことで、面積を確保し、新たにバスルームを設けることができたからです。このブルーの寝室は10㎡とコンパクトですが、快適さを最大限に高めるため、すべてがミリ単位で設計されています。収納はベッドのヘッドボード部分に集約され、左右には、かつての暖炉の煙道を活用した収納が設けられています。煙道の奥行きに応じて、ハンガー収納にしたり、畳んでしまう収納にしたりと使い分けています。ヘッドボード自体もその一つの空間に組み込まれ、ナイトテーブルも一体化されているため、省スペースでありながら収納へのアクセスも容易です。ブルーはこの部屋でも重要な役割を果たし、空間を構成する色として、ヘッドボードのアーチやバスルームへ続くドアに用いられています。もう一つの寝室ではグリーンが主役です。このように色のアクセントを加えることで、過度にミニマルになりすぎない空間をつくっています。」

---fadeinpager---

ブルーのバスルーム

Before

251225-before-after-14.jpg

無機質な雰囲気の、とても広いバスルーム。photography: Agence Miid

After

251225-before-after-15.jpg

アール・デコのコードで再解釈されたバスルーム。photography: Julien Pepy

「このブルーのバスルームは、ブルーのマスターベッドルームに隣接しています。もともとは、現在のようなつくりではありませんでした。廊下の間仕切りを取り払ったことで、いくつかのボリュームを再構成できたのですが、そのひとつが、この使い勝手の悪かった空間です。以前は、シャワーブースとトイレが置かれた、広すぎるうえに白く無機質で、居心地がいいとはいえない空間でした。このゾーンを見直すことで、アパルトマン内にトイレを2つ追加することができました。もともとは1か所しかありませんでしたが、現在は各バスルームにそれぞれトイレが備わり、さらにゲスト用トイレも設けています。こちらでは、梁の裏にトイレを隠すことで、視覚的にも快適な配置にしました。また、空間に温かみとエレガンスをもたらすため、洗面ボウルや水栓金具などに、アール・デコのディテールを取り入れています。下部にブルー、上部にホワイトを配したコントラストも演出しました。これにより、明るさも同時に引き出されています。」

From madameFIGARO.fr

text: Vanessa Zocchetti

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
石井ゆかりの星占い年運2026
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.