見ごたえのある博物館・美術館がきら星のごとく集まる街ロンドン。この秋のラインナップは特に充実した内容に! なかでもおすすめの展覧会を5つご紹介。
『マリー・アントワネット・スタイル』
V&Aサウス・ケンジントン

映画『マリー・アントワネット』より courtesy of I WANT CANDY LLC. and Zoetrope Corp
18世紀のフランス王妃、マリー・アントワネットが独自のセンスで築き上げ、その後幾度となく繰り返しリバイバルした彼女のスタイルを検証する展覧会。イギリスで初となる彼女の大規模なエキシビションであり、ヴェルサイユ宮殿からのリースでフランス国外では初公開となる貴重な品を含む250点以上が展示されている。

エキシビションのクライマックスは数々のドレスが並び圧巻!
©Victoria and Albert Museum
エキシビションの最後には現在のデザイナーたちによるファッションアイテムやソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』の衣装も。チケットはすでにソールドアウトしている日も多く、事前にネットで前売り券をチェック&購入がマスト。なお2026年8月には日本の横浜美術館への巡回もすでに決定している。

©CC0 Paris Musées, Musée Carnavalet - Histoire de Paris


アントワネットが愛用していた品の数々。 © Victoria and Albert Museum, London
マリー・アントワネット・スタイル
会期:~2026年3月22日
V&A South Kensington
Cromwell Road, London SW7 2RL
https://www.vam.ac.uk/
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『セシル・ビートンズ・ファッショナブルワールド』
ナショナル・ポートレイト・ギャラリー

オリジナルプリントによる作品も並ぶ。
courtesy of National Portrait Gallery
20世紀前半のファッション・フォトグラフィーに多大な影響を与えた写真家でありデザイナーでもあったセシル・ビートン。その一生を振り返りながら、写真はもちろん彼が手がけた衣装デザインやスケッチなどおよそ250点を見せる大回顧展。
マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンのポートレイトと共に、彼がデザインを手がけてアカデミー美術賞、衣装デザイン賞を受賞した映画『マイ・フェア・レディ』のデザイン画や、ミュージカル版の衣装も展示されていて見どころ満載。ビートンの優雅な世界観にどっぷりと浸って。

マリリン・モンロー courtesy of National Portrait Gallery

オードリー・ヘップバーン
The Cecil Beaton Studio Archive, London

ビートンのセルフ・ポートレイト
The Cecil Beaton Studio Archive, London
セシル・ビートンズ・ファッショナブルワールド
会期:〜2026年1月11日
The National Portrait Gallery
St. Martin's Place, WC2H 0HE
https://www.npg.org.uk/
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『コスチューム・クチュール:コスプロップの60年』
ファッション&テキスタイル・ミュージアム

細部まで丁寧に作られた衣装の数々が並ぶ。 ©Fashion and Textile Museum
衣装デザイナーのジョン・ブライトが1965年に立ち上げ、映画『ハワーズ・エンド』からTVドラマ『ゲーム・オブ・スローン』までを手がけて歴史劇衣装では世界一と名高いコスチュームハウス「コスプロップ」。その60年間に渡る輝かしい業績を記念して、アカデミー衣装デザイン賞を得た『眺めのいい部屋』、『高慢と偏見』、『ダウントン・アビー』などの衣装が一堂に介し、見ごたえあるエキシビション。

映画『眺めの良い部屋』でのヘレナ・ボナム=カーターの衣装。 ©Cosprop, Jon Stokes

映画『ハワーズ・エンド』におけるエマ・トンプソンの衣装のディテール。
アクセサリーやスケッチなども同時に展示され、華麗なる衣装たちを制作する裏舞台の様子も活き活きと伝えている。コスチュームドラマファンは必見!

映画『高慢と偏見』の登場人物の衣装。 ©Cosprop
コスチューム・クチュール:コスプロップの60年
会期:〜2026年3月8日
Fashion and Textile Museum
83 Bermondsey Street, London SE1 3XF
https://fashiontextilemuseum.org/
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『リー・ミラー』
テート・ブリテン

展示風景より。 courtesy of Tate Britain
シュルレアリスムを基盤としながらも、ファッション写真から戦争写真まで幅広く手がけて20世紀を代表する写真家の一人とされるリー・ミラー。現在テートブリテンではイギリスにおける彼女の最大規模の回顧展が開催中だ。ヴィンテージプリントとモダンプリントを織り交ぜた約250点の作品から、ミラーの詩的でドラマティックな表現からそのチャレンジ精神を感じ取ることができる。

印象的な展示作品の数々。 ©Lee Miller Archives
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『ウェス・アンダーソン:ジ・アーカイヴス』
デザイン・ミュージアム
11月21日からはデザイン・ミュージアムで映画監督ウェス・アンダーソンのエキシビションがスタートする。『グランド・ブダペスト・ホテル』の巨大模型を初め、彼が手がけた映画の資料やスケッチ、コスチュームなど初公開の品も含む約600点を並べる。既に注目を集めていて、大人気となるのは間違いなしの展覧会だ。

ウェス・アンダーソン photography: Charlie Gray

映画『ファンタスティック Mr Fox』に登場したネズミのパペット。 ©the Design Museum.
ウェス・アンダーソン:ジ・アーカイヴス
会期:2025年11月21日〜6月26日
The Design Museum
224-238 Kensington High Street, London W8 6AG
https://designmuseum.org/

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。




