知られざる絶景 from ベルリン ドイツ初の世界遺産、アーヘン大聖堂の幻想風景

世界は愉快 2022.12.15

河内秀子

クリスマスを待ちわびる季節がやってきた!ドイツ語で「アドヴェント(待降節)」という、クリスマスイブまでの4週間。この時期ドイツで最も心躍る風景といえば、クリスマスマーケットではないだろうか。午後4時には暗くなる街に灯るイルミネーション。ホットワインや焼きソーセージの香りが漂い、そこらじゅうから笑いさざめく声が聞こえてくる。首都ベルリンだけでも60以上、ドイツ中では1500〜3000か所ものクリスマスマーケットがあるというが、中でも最も美しいとの呼び声も高いのがドイツ最西端の街アーヘンのものだ。ヨーロッパの「ベスト・クリスマスマーケット」トップ10の常連でもある。

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旧市街、市庁舎と大聖堂の前の広場で開催されているクリスマスマーケット。photography: Stadt Aachen / Andreas Steindl

アーヘンのクリスマスマーケットの入口でお出迎えしてくれるのは、街の名物「プリンテン」を象った看板だ。その歴史は中世にまで遡るスパイスをきかせたソフトクッキー「プリンテン」。昔は木型に押し付けて(プリントして)成形していたことから、この名前がついた。いまや1年で4500トン(!)以上が作られているほど人気のお菓子だ。歯応えはあるがしっとりしたクッキーは、噛むほどにクローブやコリアンダー、カルダモンなどが香り、味わい深い。

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名物プリンテンを扱う老舗パン屋さんの店先には華やかなクリスマスの装飾が。photograhy: Hideko Kawachi

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昔ながらの人型のプリンテン。甘すぎず素朴な味わい。photograhy: Hideko Kawachi

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アーヘン大聖堂。8世紀末から建築が始まったカール大帝の宮殿礼拝堂を中心にしている。カロリング王朝時代の建造物の中では最も保存状態のよいものの一つだ。photograhy: Stadt Aachen / Andreas Steindl

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クリスマスマーケットにももちろんプリンテンの屋台が。食べ比べも楽しい。photograhy: Stadt Aachen / Andreas Steindl

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実はクリスマスマーケットの背後にそびえるアーヘン大聖堂は、ドイツで初めて世界遺産に登録された建物でもある。周囲を建物に囲まれ一見目立たない外観だが、足を踏み入れると、そこには息を呑む光景が広がっていた。きらびやかなモザイクに彩られた天井、高さ25メートルの深い青色のステンドグラスに囲まれた礼拝堂など荘厳な雰囲気に圧倒される。吸い込まれそうな幻想的な青色と黄金色。そこここに散りばめられた動物のモチーフは、素朴で可愛らしい。天井に見どころがありすぎて首が痛くなってしまう。

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11世紀初頭に作られた黄金の祭壇画が、深い青のステンドグラスに映える。photograhy: Hideko Kawachi

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中央の天井には、古代、円と正方形を結ぶ完全な形と考えられていた八角形が取り入れられている。photograhy: Hideko Kawachi

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天井の細部はイタリア、ラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂などをお手本としたモザイク画で覆われている。photograhy: Hideko Kawachi

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星のように煌めく金色のモザイク画は19世紀の作。ユーモラスな動物たちの姿は見飽きない。photograhy: Hideko Kawachi

793年から813年にかけてカール大帝の命で建てられた礼拝堂。完成のわずか1年後になくなった大帝は、ここを終の住処とした。その後10世紀から600年もの間、30人の皇帝の戴冠式が行われてきたことからここは「皇帝の大聖堂(カイザードーム)」とも呼ばれている。それから500年近くが経ったいまも、当時の輝きは失われていない。世界の至宝をひと目見に、ぜひ訪れてみてほしい。

河内秀子

ライター。2000年からベルリン在住。ベルリン芸術大学在学中に、雑誌ペンなど日本のメディアでライター活動を始める。好物はフォークが刺さったケーキ、旧東ドイツ、マンガ、猫。ドイツでも日本でも「そとのひと」。 twitter:@berlinbau

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