お酒 from 香港 香港トップミクソロジストの缶入り中国茶カクテル

アントニオ・レイと言えば、2012年にバーQuinaryをオープン以来、香港のバー業界を一気に引き上げた功労者で、6軒のバーとレストランを経営する有名ミクソロジスト。コロナ禍での飲食店の営業規制が非常に厳しかった香港では、規制が緩くなった今でも家飲みを好む人がかなり多いという。

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アントニオ(左)と、チャコの開発に携わったアレックス・コー(右)。缶カクテルのために作った自社工場で。

そんな中、アントニオと同じく有名ミクソロジストのアレックス・コーが、1年の準備期間を経て開発した缶カクテル チャコが発売された。現在「ウーロン茶、ウォッカ、ピーチ、ジンジャー」「白茶、ジン、リンゴ、エルダーフラワー」「鉄観音茶、ジン、マンゴー、ブラッドオレンジ」の3種類がある。

<CHAKO>

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チャコは250mlの小さめサイズ。1缶38香港ドル。www.cantocans.com/

「チャコのコンセプトはお茶とスピリッツをベースに、フルーツなどの2種類の材料を使用することなんだ。僕たちのこだわりは、お茶はすべて高品質の茶葉を使って、本格的に淹れていること」とアントニオ。彼のバーでは、たとえば「アールグレイ・マティーニ」や「ウーロン・コリンズ」など、お茶を主役にしたカクテルが創業当初から人気を博していて、多彩なお茶のフレーバーをクリエイティブで文句なく美味しいカクテルに生かすのが得意技。

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アントニオの代表的カクテル「アールグレイ・マティーニ」。ウォッカにエルダーフラワー・リキュール、リンゴジュースなどを加え、アールグレイで作ったキャビア状の粒とフォームを飾る。アントニオさんのお茶遣いが冴える、五感で楽しめるカクテルだ。

「チャコの開発中は、材料の組み合わせと配分、炭酸の入り具合、アルコール度数など、バリエーションを296種類作って、最終的に選んだのが今回の3種類。いちばん大変なのはベースになる4000本分相当の1000Lにもなるお茶を均等においしく淹れることだね。飲む時には冷蔵庫で冷やして、グラスに氷なしで注ぐだけで最高の味になるようにバランスを取っているよ」

オリジナルドリンクを販売するなら、缶飲料業者に委託するのが一般的だが、アントニオさんはあえて、自社工場を作って開発生産をすることにこだわり、最高品質で定評のある彼ならではの缶カクテルを量産する体制を整えた。

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アントニオが経営しアレックスがバーマネージャーを務めるドラフト・ランド香港は、生ビールのようにタップから注ぐ高品質カクテルがメイン。ここでのカクテル開発経験がチャコの開発に役立ったそう。

「さっそく日本酒メーカーやファッションブランドなどから、僕らにオリジナルの缶カクテルを作って欲しいと注文が入って来ているよ」

ホームパーティや屋外イベントなどでの需要が高まっている他、味へのこだわりが強いけれどもバーテンダーを常駐させられるスペースがないレストランからも注文が届き始めているそう。「香港ローカルに人気の火鍋にも、ものすごく合うんだ」とアントニオさん。

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丁寧なハンドメイドを貫きながら、均質性と日持ちが要求される缶カクテル造りにはまっているというアントニオ。

良質な中国茶ならではの清涼感と深みのある芳香に、フルーティな風味が加わり、アルコール度数7%の軽やかさが夏の夜にぴったりなチャコ。「中国茶だけではなくて、香港で人気高い日本の玄米茶や焙じ茶の缶カクテルも開発中」というから、今後の新作が楽しみ!

text: Miyako Kai

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

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