いま巷では「〇〇リトリート」が大流行りだ。ヨガリトリート、フィットネスリトリート、アニマルリトリート、森林リトリート、瞑想リトリート、デトックスリトリートなど数を挙げたらキリがない。また国内近場だけではもの足りないのか、海外旅行でもリトリートパッケージがあるものだから天晴れだ。21世紀の情報があふれ、常に接続されているというストレス社会に生きている私たちには、なんらかの形で切り離しリフレッシュする転地療法が必要なのだろう。
上記のリトリートらの中でもスウェーデンらしくおもしろいのが「オーロラリトリート」
こちらの会社は、ワイルドネスキャンプというアクティビティを提供している。スウェーデンは北のさらに北、キルナ市からヴァンでのお迎えが来て、フィンランドの国境に向けて東へまず160km(車で約2時間)。そこからは車道がないので、最後の7kmはクロスカントリースキーでスキーするか、カンジキを履いてただひたすら雪の中を歩いて最後のキャンプ場まで赴くのだ!と聞いただけでギブアップしそうなあなたには、スノーモービルの助手席という贅沢なオプションもある(ホッとひと安心)。そのほかには伝統的な薪でのサウナ体験(雪上でローリングして身体を冷やすこともできる)、アイスフィッシング(氷上穴釣り)、自分用のかまくら作り(そこで寝るのも可能)、キャンプのノウハウや森林の知識を学ぶなどなど、正に自然に帰る暮らしを自然と一緒に味わうのだ。見どころはなんと言ってもオーロラ鑑賞だが、こればっかりは運任せというか神頼みというか。だが、ここの場所があるラップランド地方は、世界の中でもオーロラが頻繁に見られると言われている。時には数分だったり時には1時間にもわたる光のカーテンは、近くに電気がない暗いこの場所だからこそ、その美しさを際立たせるに違いない。科学的根拠こそないがこのオーロラで心を癒し、見れるか見れないかとドキドキしながら薪ストーブの心地よい暖かさにうとうとししながら眠りにつき、ラップランドのキリッとした寒さで目が覚めるのも十分なリトリートだ。
外は寒いが中はホッカホカ。さぁフィーカタイムだ!!
カンジキでラップランドを歩くなんてなかなかない機会!苦を取るか楽を取るかは自分次第(笑)
何が釣れるかな〜?
表情が秒毎で変化するオーロラ。
周りの景色に溶け込みすぎてるサモエダ犬のナヌーク君。
ナヌーク君のモフモフ感もリトリートの一環?
トナカイさん、こんにちは。
息を飲むほどに美しいラップランドの夕焼け。
野中を回ってブルーベリーやキノコ採りに夢中になると時間はあっという間。
今夜は自分たちで作ったかまくらで寝る?
text:Sakiko Jin

神咲子
在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデンの北部ウメオ市とスンズヴァル市を運転する日々を送る。