ドリーミーなコレクションで人気のデザイナー、シモーネ・ロシャ。1986年アイルランド共和国出身の彼女は、ダブリンのナショナルカレッジ・オブ・アート&デザインを経て、イギリスの名門セントラル・セントマーチン美術大学でファッションの修士課程修了後に、2010年にロンドンファッションウィークでデビューを飾った。
ギャザーをたくさん寄せたボリュームたっぷりのシルエットに、ビジューやパールをあしらった服は、甘くフェミニンでありながらも奥底に秘めた力強さを感じさせる。
photography: Ben Broomfield
photography: Ben Broomfield
この春夏からは新しくメンズ・コレクションもスタートした。これまで築き上げてきたシモーネの世界観をまったく損なうことなく、クリスタルビーズやパールを飾った大きなパフスリーブのジャケット、花の刺繍やたくさんのフリルを施したシャツなど、レディス同様にロマンチックかつエレガントな服を並べている。
ベールを被った姿が神々しい。美に性別は関係ないと改めて教えてくれる。
実はシモーネは先シーズンに発表するべくメンズの準備を進めていたという。しかし男性の服を深く理解して自分の中に取り込みながらデザインに昇華するために、より時間をかけたという。
2023年春夏コレクションより。photography: Ben Broomfield
photography: Ben Broomfield
photography: Ben Broomfield
photography: Ben Broomfield
photography: Daniel Sims
photography: Daniel Sims
photography: Daniel Sims
西洋の男性の衣服の歴史を紐解くと、強さや威厳を視覚的に訴えるものがとても多い。でもシモーネのメンズは繊細さや美しさを前面に強く打ち出し、内包するパワーがそれを支えている。
シモーネのインスタグラムには3本の映像がアップされている。
ロンドンの喧騒に溶け込んで、モデルたちが思い思いに過ごす姿が印象に残る。
シモーネの服が古く趣があるカフェでくつろぐ男性たちをより一層魅力的にみせている。
近年、ファッションにおけるジェンダーレスはますます加速中だ。それとともに、マスキュリニティやフェミニティへの解釈もさらに多様になっている。そのなかで男性、そしてメンズファッションの圧倒的な美と強さを彼女ならではの方法で見せたシモーネ。今後がますます楽しみなデザイナーだ。
text: Miyuki Sakamoto
在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。