相手の気分を害さず、メールで断る方法とは?

Society & Business 2021.03.10

職場で、チームメンバーからの休暇申請を断らなければならない、上司の依頼に断りの返信をしなければならない……。そんなときに、いかに相手の気分を害することなく伝えることができるか。丁寧に、きっぱりと断るべきだが、とってつけたような言い方をせず返事をするには? フランス人も実は悩んでいる「メールでの断り方」。そんなお悩み解決方法は、きっと日本でも活用できるはずだ。

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マルチタスクに、ハイパーコネクション、そしてテレワークが進み職場環境が一変した昨今。相手に不快感を与えずに上手に断る方法でお悩みではないだろうか? photo:Getty Images

毎日のシナリオはこうだとしよう。午前9:30、すでにあなたのメールの受信ボックスはいっぱい。自粛生活や、リモートワークのせいでTO DOリストのチェックやタスク処理が増え、同僚やチームメンバーへの返信は、俳句のごとく短いメッセージで済ませている。Zoomミーティングの合間にも返信処理に追われ、単調な返事で済ませがちだ。あなたのキャパはオーバーして、「私、もう無理」と喉まで出かかっていないだろうか。

リモートワーク中のあるあるなシチュエーションといえば、自宅でのテレビ会議、そして絶え間ないスマホの着信音ではないだろうか。スクリーン画面に丸1日向き合って過ごしていると、時間の感覚すらなくなってくるし、メールでのコミュニケーションでは、身ぶりや声のトーン、お互い顔の表情さえ目に見えない。そこに求められてくるのはひたすらスピード感と簡潔さと効率性。言うなればこれは、ポストイットを貼りつけるのと同じ感覚でやりとげるメッセージのやりとりだ。そこに絵文字を取り入れてみたら、トーンやニュアンスが色づいてくるかもしれない。

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絵文字メールは避けるべき

しかし、『e-mailのプロになるために』の著者で、Le Français des pros(註・フランスの文章トレーニング団体)主宰のシルビー・アズレイ・ビスマスは釘を刺す。

「断りのメッセージを送る時に絵文字を使うのは厳禁です。それは悲惨な結果を招きかねません」

その理由は、”断る”ことと”絵文字”は矛盾するからだという。絵文字を使用すると、文章は受動的、かつ攻撃的なトーンを帯びてしまう。メールをもらう側は字面では断られていることを理解するが、絵文字では行間を読む。すると、その絵文字の行間に現れてしまうのは、送信者の「自分は悪くないですよ」というアピールでしかない。「これはもう伝えたはずだけど」だとか、「察して欲しかったよ」というニュアンスが滲み出てしまうというのだ。

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「提案」にNoを伝えるのであって、「提案者」を否定するのではない

誤解されないためにも、自分の意見を明確にしながら、機転を利かせて表現するのがよい。まずあなた自身が、断るのは相手そのものに対してではなく、アイデアや提案や予定に対してだということをはっきり捉えよう。ビスマスはこう指摘する。

「文中、『あなたは』という表現を使うと、相手に責任を負わせ、裁くことになりかねません。『自分のことは考えてくれないのか』『そんな風に言わなくても』と誤解を招く恐れがあります。そうではなく、議論の弱みを指摘したり、相手の質問を先読みしたり、『このアイデアだとブランドイメージを損なうのではと心配です』などと書くことで、互いがプロとしての領域にとどまり仕事ができるのです」

問題を解決するにはどうしたらいいかや、改善できることを相手に言ってあげる、つまりフィードバックするというスタンスは理想だ。たとえば同僚がした仕事をほめてあげたり、会社的な利益などの関心事に話題を持っていく。そのフィードバックが的を得ていたら、「面白いけど、残念ながら無理」と単純に断るより、先につながっていく。あなたの方には時間や忍耐が必要になるかもしれないが、後々違いが生まれてくるはずだ。

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自分を正当化せず、友好的になる。

「ダメです」と率直にシンプルに相手に言って効果があがるケースもある。第一段階では、”私”を前面に出して、リーダーシップ体勢をアピールする。たとえば「私としては、あなたにこの日は休んでもらうわけにはいきません」と返し、「あなたは、この日は休めません」とか「あなたの提案を検討できません」という言い方はさける。フォローはその後すぐつけてもいい。「悲しいことだけれど、私はあなたに休日を許可できません。本当に残念です」「あなたの予定を再検討してみてほしい」など。付け足すことで、表現としてまろやかになる。

第二段階では、断る動機を示す。ビスマスは、「このとき、相手に必要以上に謝ったり言い訳せずに、適切に理由をいうだけがいい」という。「この期間はあなたにいてもらう必要がある」と明確に言ったり、「この日は皆に出勤をお願いしている」と言ってしまってもいいし、「あなたの提案はこの案件の予算を超えている」など、ざっくりとした言い方がいい。この時、あまり詳細は述べすぎない方がいいだろう。

見通しを示してあげること。

理想としては、あなたのメールが、心がオープンの状態で締めくくられていることだ。ビスマスはこう提案する。

「断って、跳ねつけたままで終わるのではなく、次の機会に期待を持たせる。今度はもしかしていい返事ができるかもしれない、というニュアンスを持たせるのです」

それは必ずしも「次はOKを出します」という確約ではなく、場合によっては可能性があるということのほのめかしだ。たとえば「次の月曜日以降に別の候補日を出してもらえますか、優先的に対応します」とか「3月に同様の案件で動きがあるので、そのときにもしあなたが希望するなら、声をかけさせてもらいます」などで締めくくる。

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メールで「でも」は使わないように。

しかし、このときもふたつの注意点があるとビスマスは指摘する。

「ここでもし『でも』という接続詞を使ったら、相手は断りの意味をスルーして、ポジティブな面ばかりに目を向けてしまう。否定的な接続詞の直前に読んだことが『断り』の文言であったのに、受信者は、こちらがNOといったことよりも、ポジティブな見通しの方に気持ちを向けてしまうものです。そういう受信者の心理は理解しておくべき」

”この件は終わっていない”という印象を与える返事は無意味だ。むしろ「当然のことだけれど、この件はもう蒸し返しません、ここで終わりです」というニュアンスを示す。最後は、もうあなたがリーダーシップ体勢ではないと受け取られるように締めくくろう。

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上司に「できません。ごめんなさい」を伝えるためのヒント

「これ、14時までにやっておける?」

あなたの上司が、もしこうメールしてきたとする。13時15分、あなたは既にランチを済ませているけれど、緊急会議の準備にすぐに取りかからなければならない。上司に断りを入れなければいけないが、上司を少しもイラッとせずにNOを伝えるにはどうしたらいいだろう?

重要なのは、はっきりと「できません、すみません」と伝えること、そして具体的に理由を述べること。

「午後は仕上げなければいけない書類があって、それを仕上げるのに2時間はかかります」と伝える。このとき、詳細を述べすぎると、駆け引きが長引いて話が切り上げられなくなる。たとえば1時間後に、あなたは病院に行かなければいけないのに、上司からの頼まれごとがあったとしたら? 答えは簡単、上司には単純に「先約があるから」と断ればいい。ここでその先約の詳細については触れずに断る。「相手に反論の余地を与えないようにすること。ここでも『はい、でも……』は使わない。その言い方をすると、相手の気持ちを煽ってしまうことになる」とシルビー・アズレイ・ビスマスは説明する。

肝心なのは、相手の様子を伺いながら、すぐに妥協点を探しだすことだ。相手に異議を唱えるようなニュアンスの答え方や、相手を責めるようなニュアンスの答え方にはならないように注意しよう。

「では代替案を探しましょう、そちらの条件を教えてもらえますか?」や「明日までに延長することは可能ですか?」と展開してみるのはどうだろうか。あるいは「あなたの条件はこうだが、私の条件はこうなので、どんな風な解決策があるでしょうか」という切り出し方。こちらが相手のメリットになることに目を向け、相手の懸念を考慮しながら、ベストな方法を探るといい。

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その場ですぐに、返事をしないこと。

相手をもっといたわる気持ちを出したいなら、ふたつのステップで捉えるといい。まず、相手のリクエストを受け止める。次に、先延ばしにする、という手順だ。この時、「承りました。なるだけ早くお返事します」などと返事をするのがいい。ビスマスは「相手に待ってもらうという方向へ持っていき、相手がクールダウンするのを期待する。時間が開くことで、向こうはポジティブな返信もネガティブな返信も準備できる。その場で断ってしまうよりこのほうが相手をいたわる返信になるでしょう」と語る。相手の冷静な対応を促そう。

texte : SOFIANE ZAIZOUNE ( madame.lefigaro.fr ), traduction : AIE HORI

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