アジア系への差別による暴力に、フィリップ・リムも声を上げる。
Society & Business 2021.03.17
日本のニュースではあまり報道されていないかもしれないが、アメリカでは、昨年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックから広まった誤解や扇動により、アジア系住民への差別、そこから派生する暴力が広がっている。一方的な暴力行為によって亡くなった犠牲者が出ているだけでなく、中華料理店や韓国料理店への破壊行為、アジア系従業員の通勤時の身の安全を守るために閉店時間を早める中華料理店も出てくるなど、生活そのものが脅かされている人々も。
そんななか、3.1 フィリップ リムのクリエイティブディレクター、フィリップ ・リムは、CEOのウェン・ゾウとともにアジアンアメリカンとして、このような状況でなにかできないかという想いのもと、さまざまなクリエイターやデザイナー、インフルエンサーとともに、#StopAsianHateというムーブメントに参加。人種差別による暴力行為などで苦しんでいる犠牲者や事業者を支援するAAPI(Asian American and Pacific Islander:アジアンアメリカンおよび太平洋諸島民に向けた支援団体)への募金活動を3月2日より開始。3月14日現在、約5万2千人の賛同者から、73万ドルを超える募金が集まっている。
「ひとりひとりが動くことが大きな結果につながる」。サステイナビリティに関するフィリップの考えと同じで、社会的意義のある活動も、ひとりひとりが声を上げ、動くことが結果につながるはず。
遠い国で起きている自分には無関係の出来事、では決してなく、人種差別や暴力反対に声を上げないのは、ある意味それに賛同しているのと同じ。暴力によって突然日常を奪われた犠牲者をたとえわずかでも支援することは、あなたも声を上げるということ。小さな声もたくさん集まれば、それは響き渡る叫びとなり、大きな山も動かせるようになるかもしれない。パンデミック後に安心して暮らせる街、安心して旅行できる街を残すためにも、ぜひアメリカの状況にも目を向けて、アジアンの一員としてできることを考えてみたい。
ドネーションサイト gofundme : gofundme.com/AAPI
texte : NATSUKO KADOKURA