【35歳の卵子凍結】採卵は痛い?手術と術後の現実。

Society & Business 2021.12.06

20代半ばで多嚢胞性卵巣症候群と診断され、妊娠しにくい体質だと判明したAさんは、35歳になったことを機に卵子凍結を決心した。新卒から働く都内の会社で仕事をしながら、比較的通いやすく不妊治療経験者の声なども聞いていた杉山産婦人科に通い始めた。

生理開始から約10日後、その間5回の通院を経て、ようやく採卵のタイミングが見えてきた。Aさんは採卵に備え手術を行う12時間前に排卵誘発剤を服用。手術に静脈麻酔を使用することにしたため、前日の夕食を抜いて臨んだ。

「私の場合は10個以上の採卵を希望していたので、麻酔を勧められました。局部麻酔という選択肢もありましたが、私は痛みに弱いので静脈麻酔を選択しました」。手術に際しては摘出する卵子の数だけ卵巣に針を刺すため卵巣が腫れやすくなり、人によっては術中・術後に激しい痛みを伴うこともある。
iStock-1315424159-5-article.jpgphoto: iStock

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手術当日

「当日は午前8時半に病院に行き、着替えを済ませて手術室へ。麻酔を打ってから意識はなかったのですが、採卵はあっという間で。およそ15分から30分くらいで目覚めてからは歩いて病室へ移動し、午前中いっぱい個室で休ませていただきました」

採卵方法は、医師が卵巣内の超音波画像を見ながら膣から卵巣に細い針を入れ、採取する。局部麻酔または麻酔なしの場合は意識があるので、モニターで採卵の様子を見られる。「この日採卵できたのは7個でした。10個以上採卵したけれど、凍結に耐えうる生育状況にあるのは7個で、あと2個は培養液の中での経過を見て、うまく育てば凍結できるとのことでした」

凍結できる卵子はひとつの試験管につき3個まで。結局この日は7個の卵子を3本の試験管に凍結し、残りは経過をみることになった。

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術後の経過、凍結できた卵子は……。

「手術は木曜日で、帰宅して在宅で仕事をしました。少し疲れたなという感じはありましたが、生理痛がいちばんひどい時のような、身体全体が重くしんどい感じです。翌日は普通に仕事をして、外出もできましたね」。ここまでは順調だったが、週末の体調はあまり思わしくなかった。

「術後2日目にあたる土曜日に、子宮の張りが強くなってきました。チクチクとした痛みと同時に、お腹全体が張っている感覚もあって。この状態が月曜日まで続きました」。術後に処方された痛み止めの薬を服用し、火曜日の受診日を迎えた。

「この日は残り2個の卵子の成長具合を確認しました。2個のうち1個は順調に育っていたので凍結保存する試験管を追加して、4本の試験管を保存することになりました。凍結卵子は合計8個に」。杉山産婦人科では、凍結保管料は1本の試験管につき年間¥33,000。8個の卵子が同時に凍結できていれば試験管は3本で済んだのだが、採卵後に凍結可能な卵子に成長した1個分はもう1本別に必要となったわけだ。卵子の微妙な成熟度合いは、Aさんのように実際に採卵してみないと分からない場合がある。

そして将来、凍結卵子を体外受精のために使用する際は、同医院で行うことも確認した。不妊治療で採卵を行った場合は、卵子を凍結せずに続けてパートナーの精子と体外受精を行うのだが、Aさんのように卵子凍結だけを行う場合はここで一旦終了となる。

「今後は1年ごとに検診を受けて、凍結の延長を決めたらその都度、更新料を払います。目標の採卵個数にいたらなかったので、来年もう一度トライしてみようかなと考えています」

【Aさんが卵子凍結に支払った費用約640,000の内訳

杉山産婦人科によると、卵子凍結にかかる費用は約¥400,000前後から。Aさんは静脈麻酔を使用した手術後、凍結個数8個(うち1個は後日凍結)を得て合計¥639,463を支払った。

・初回診察、排卵誘発前の健康チェック(問診、内診、各種血液検査ほか)¥34,100

・誘発期間中の診察5回(超音波検査、血液検査)と排卵誘発剤 ¥179,663

・採卵手術日の支払い(静脈麻酔、採卵手術、試験管3本分の年間保管料、培養費、処方箋ほか)¥385,550

・予後の診察(診察、追加の試験管1本分の年間保管料ほか)¥40,150

※杉山産婦人科では、採卵個数に関わらず採卵手術そのものは¥220,000(もし、空胞で卵子が得られなかった場合は¥55000)。卵子凍結のための容器1本分(最大3個)の年間保管料は¥33,000で、更新のたびに負担が発生する。40歳までの採卵が望ましく、凍結した卵子の保管は45歳までを目安としている。

 

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cooperation: Rikikazu Sugiyama(Sugiyama Clinic) text: Junko Kubodera

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