母乳にマイクロプラスチックが。授乳はやめた方がいい?

Society & Business 2023.01.05

イタリアの研究者が新生児の健康を危惧している。昨年夏に発表された研究で母乳からマイクロプラスチックが検出されたのだ。

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イタリアの研究者が母乳からマイクロプラスチックを検出。photography: iStock

母乳にマイクロプラスチックが含まれている。2022年7月14日、イタリアの研究者チームが科学誌「Polymers」で発表した記事を、英ガーディアン紙が電子版に掲載した。母乳にマイクロプラスチックという化学物質が入っていることと乳幼児への影響はまだ立証されていないが、科学者たちは懸念を表明している。

マイクロプラスチックにさらされるのは避けられない

研究者たちは報告書の冒頭で、「マイクロプラスチックの摂取と蓄積による健康被害の可能性を我々は大きく懸念し、抵抗力が弱い乳児にとってはなおさらのことだと考える」と危惧を示した。研究者たちは、ローマで出産し、1週間経過した健康な母親34名の母乳を調べた結果、「75%のサンプルにマイクロプラスチックが検出された」と報告した。

研究者たちは複数のリスクファクターを分析した。検査前の1週間に魚介類を食べた母親、プラスチック包装された飲食物を摂った母親、プラスチックの容器に入ったボディケア用品を使った母親、それぞれの母乳を比較した。しかしカテゴリー別に検出されたマイクロプラスチックの量に変化はなかった。「環境の中にマイクロプラスチックが偏在しており、食べ物や飲み物だけでなく、皮膚でも呼吸でもプラスチックとの接触は避けられないことが示唆される

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「授乳のメリットは、デメリットを上回る」。

この研究において乳児への影響は立証されていないが、著者たちはこう強調する。「母親が摂取したものが赤ちゃんに移行し、潜在的に有害な影響を及ぼす可能性は否定できません」

母乳にマイクロプラスチックが検出されたのは初めてのことだが、同研究チームはすでに2020年に胎盤からマイクロプラスチックを検出している。また、アイルランドで行われた分析によると、特定の哺乳瓶から何百万個のプラスチックの微粒子がミルクに流れ出た事実があり、2020年10月の「Nature Food」誌において警告を発した

イタリアで示された結果を経てもなお、研究者たちは赤ちゃんにとって母乳がベストだと主張する。「授乳のメリットは、汚染物質のデメリットを上回ります」。そして「妊娠・授乳期に汚染物質にさらされないため革新的な方法を見つける」ための科学的研究を継続する重要性を強調した。

text: Lena Couffin (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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