10人に9人が「仕事で苦しんでいることを告白できずにいる」。

Society & Business 2022.02.04

他人の視線や自分の弱さを恐れるあまり、大多数のフランス人は、心理的な不調を感じても、それを同僚や上司に話すことを控えている。これは、パンデミックの影響でメンタルヘルスが大きな問題となっているにもかかわらず、それを問題にするのがタブー視されていることを示す。

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自分の心理状態を相談しづらいのは、医師や家族に次いで、職場である。photo: Getty Images

昨年9月に2,000人を対象に行われたIfopの調査によると、心理的な不調を感じたとき、10人のうち9人近くが歯を食いしばり、ウソの表情を浮かべていることがわかった。

これは、相互保険会社Aesio財団の委託により、フランス人の「心の健康」に関する調査を行ったものである。5人に1人が自分の精神的な幸福度は「平均的」または「悪い」と答えているが、これは毎年、精神的な苦痛を経験する人の数と同じだ。

しかし、精神的な健康状態が悪化した人のうち、自分の気持ちを他人とシェアしている人は64%しかいなかった。そのため、フランス人の3分の1は、ストレス、不安、より深刻な問題など、その内容にかかわらず、不安や心理的な苦しみについて沈黙している。そして、「体調が悪い」といちばん言いにくいのが職場である。すでに「心理的な不調を感じたことがある」と答えた人のうち、79%が同僚に、89%が上司に感じたと言う。今回の調査結果によると、特に女性は開示に消極的だそうだ。

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ビヤンネートル(幸福感)を優先する

しかし、意識から行動へのステップを踏む人は少なく、ふたりにひとりしか自分のビヤンネートル(幸福感)に注意を払っていない。心理的苦痛にまつわるタブーに加えて、調査対象者の7割が「時間がないから」あるいは「自分のケアよりも重要なことが常にあるから」という理由で、心理的苦痛は二次的なものだと考えている。ここでも女性が最初に影響を受ける。精神的な負担や家族の仕事の不公平な配分だけが理由ではないだろう。

そのため、誰もが自分の心の健康について自由に話すことができるよう、企業には一歩ずつ責任が課せられている。これは、うつ病や燃え尽き症候群など、より深刻で長期的な問題を避けるために不可欠なステップだ。この問題は企業を超えて、公衆衛生上の問題にもなっている。その証拠として、フランスでは精神疾患が医療費の最大の項目となっている。2018年には、健康保険の償還だけで年間234億ユーロ(約3兆389億円)に達した。

text: Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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