寄付に支援メッセージ......モード界はウクライナ支援へ。
Society & Business 2022.03.04
茫然自失の状態から脱した後は行動あるのみ。大手ラグジュアリーグループから個人まで、モード界は一斉にウクライナ支援へと動きだした。
パリ・ファッション・ウィークで、モード界がウクライナへの支援を表明。(パリ、2022年3月1日) photo: Imaxtree
行動する時が来た。ロシアのウクライナ侵攻から時間が経つにつれてモード界はSNSやランウェイで声をあげ始めた。2022年3月2日、ジョージア出身のデムナ・ヴァザリアがデザイナーを務めるバレンシアガは、インスタグラムからこれまでのコンテンツをバッサリ削除し、ウクライナの国旗色の画像を投稿した。そして近日中に同ブランドのプラットフォームを戦況の情報提供のハブとすること、国連WFP(国連世界食糧計画)に寄付したことを発表した。これを皮切りに他ブランドも続々と追従する。支援メッセージを送る段階から行動する段階となったのだ。
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ラグジュアリーグループ
これを受けて、ラグジュアリーグループも次々と支援策を発表している。バレンシアガの親会社であるケリングはインスタグラムで、国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)へ「多額の寄付」をすることを発表した。ラグジュアリー産業のもう一つの巨大グループ、LVMHはその数時間後、赤十字社に「最初の緊急寄付として500万ユーロ」の発表を自社アカウントで行った。イタリアのOTBグループ(プラダ、ディーゼル、マルジェラ)も国連UNHCRへの支援を表明した。具体的な数字は挙がっていない。バーバリーグループは、英国赤十字社の呼びかけに応じ、義援金を寄付する。ヴァレンティノ、グッチ、アレキサンダー・マックイーン等々、個々のブランドの公式発表も相次いだ。
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総動員
ラグジュアリーブランドだけでなく、大衆ブランドでもこうした動きが見られる。オンラインショッピングサイト「ASOS(エイソス)」はイギリスのチャリティ団体グループ、「Disasters Emergency Committee(DEC、災害危機委員会)」へ寄付を行い、「Jacquemus(ジャクムス)」は生活必需品募集や寄付の情報提供を始めた。ウクライナ支援の作品を売るところもある(Beブランドはパーカーを販売し、全利益をフランスのNGO団体「Elise Care(エリーゼケア)」に寄付することを発表)、等々。あらゆる形での取り組みが急速に拡大している。雑誌『1 Granary』 の編集長でウクライナ出身のオリア・クリシュクは、自誌に公開状を掲載し、モード業界に対してロシアの行動を非難するよう求めた。「モード業界は30億ドルの産業です。(中略)モードコミュニティ、とりわけ影響力のあるメゾンは沈黙せず、自社のプラットフォームを活用しての支援をお願いします」と書かれた公開状にはこれまで2200名が賛同している。その中にはコンサルタントのサラ・アンデルマン(元コレット)、英国人デザイナーのクリストファー・ケイン、ファッション写真家のニック・ナイトの名前も見える。今後、ますます多くの支援活動が行われることだろう。
text: Mitia Bernetel (madame.lefigaro.fr)