幸せな働き方って何だろう? パーソルが世界初の調査結果を発表。

Society & Business 2022.04.13

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、アジア太平洋地域を中心に世界で総合人材サービスを提供しているパーソルグループが、働くことと個人の幸せや満足度の関連を調べる世界で初めてとなる「世界のはたらくWell-being」調査を実施。3月29日に開かれたフィガロジャポンBWAピッチコンテスト ファイナリスト発表会の基調講演で調査結果を発表した。

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(左から)CTIジャパン ファカルティの畑中景子さん、ジャーナリストの浜田敬子さん、パーソルホールディングス株式会社の中山友希さん。(WeWork神谷町トラストタワー、2022年3月29日)

パーソルグループが、「はたらいて、笑おう。」のグループビジョンの定義付けと定量化を目指し、アメリカのGallup社と協力して初めて調査を実施。世界116の国と地域で、1カ国につき15歳以上の約1000人を対象に、「Q1.日々の仕事に喜びや楽しみを感じているか」、「Q2.自分の仕事が、人々の生活をより良くすることに繋がっていると思うか」、「Q3.仕事や働き方を、多くの選択肢の中からあなた自身が選べるか」の3問を質問した。

日本では、Q1.は116位中95位、Q2.は5位、Q3.は31位という結果になり、働くことを通して「人のためになっている」と感じている人が多い一方で、「働くことそのものに喜びや幸せを感じている」と答える人が他国と比べて少ない傾向にあることが明らかになった。

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講演資料より

同調査を担当するパーソルホールディングス株式会社の中山友希さんは「文化的な背景もあり、日本でQ1.が低いことは予想していたが、思った以上に低かった。働いて幸せを感じること(Q1.)と、働いて人の役に立っていると感じる(Q2.)ことは相反するものではないので、Q2.をキープしながら、仕事が楽しいと思える経験を増やしていきたい」と話した。

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日本人の働く幸福度が低いのはなぜ?

【基調講演のアーカイブ動画はこちら】

基調講演に続くディスカッションでは、BWA事務局のメンバーで、ジャーナリストの浜田敬子さん、CTIジャパン ファカルティでプロフェッショナルコーチの畑中景子さんも登壇。日本における働くウェルビーイングをテーマに、トークを繰り広げた。

日本では、日々の仕事に喜びや楽しみを感じている人が他国に比べて少ない、という結果を受け、働き方について取材を重ねてきた浜田さんは、「仕事の種類はたくさんあるけれど、働き方の選択肢が少ないことが影響しているのではないか」と指摘。コロナ禍でリモートワークやスーパーフレックスなど、働く時間や場所を自由に選べるようになった企業では、管理職などのキャリアにチャレンジしてみたいという女性が増えているといい、「働き方の選択肢を増やし、上司や人間関係で悩んでいる人が、そこから逃げられるという選択肢も用意されていれば、日々の仕事に喜びや楽しみを感じる人も増えてくるのでは」と話した。

一方、畑中さんは、仕事に喜びや楽しみを感じられるかどうかにはその人の“仕事観”が影響している可能性があることを挙げ、「仕事とは厳しいもの、大変なものだと思っていると、楽しい時に罪悪感が生まれる。また、仕事で楽しいことが起きたとしても、素直に喜べなかったり、より大変な環境を求めてしまいがち。そうではなく、いろいろな仕事の見方があると知るだけで、だいぶ変わってくると思う」と語った。

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ウェルビーイングとは、自分の中に基準を持つこと。

さらに、今回の調査結果を世代別、ジェンダー別に分析したところ、「Q2. 自分の仕事が、人々の生活をより良くすることに繋がっていると思うか」という質問に対して「YES」と答えた日本の40代は日本の他のどの年代よりも多く、世界で見ても同世代の中で1位となった。また、世界全体の傾向として、Q1.、Q2.のいずれも男性に比べて、女性の方が「YES」と答える人が多かったという。

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中山友希(なかやま・ゆき):パーソルホールディングス株式会社グループコミュニケーション本部。経営・事業企画などを経て、2020年からパーソルのグループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、はたらくWell-beingのグローバル指標策定、浸透に取り組む。

中山さんは、「女性はキャリアが結婚や出産などで分岐する中、考えたり振り返るきっかけが男性に比べて多いのかもしれない」と分析。「ウェルビーイングが何かは一人ひとり違うけれど、その中で共通する要素はある。『みんなのウェルビーイング』になるために、共通する要素を探していきたい」と続けた。

これに対し、「何を喜びと感じるかは、人によって違ってくる。自分はこうあるべき、社会ではこうあらねばならない、ではなく、自分にとって何を喜びと感じるか、自分の中の基準を持てた時がウェルビーイングだと思う」とプロフェッショナルコーチの畑中さん。

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畑中景子(はたなか・けいこ):プロフェッショナル・コーチとして、30代〜40代を中心にリーダーシップの意識の目覚めと可能性の開花を支援。体験型コーチトレーニング及びリーダーシップ開発機関CTIジャパンにて、ファカルティとしてトレーナーを務める。

『働く女子と罪悪感 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる』の著者でもある浜田さんは、「ウェルビーイングの究極の形は、100人いたら100通りのやりたい方法が認められる状態。短時間働いてお休みを取るのが幸せ、と思う人もいるし、長く働くことが楽しい人もいるので、労働時間だけ見てもわからない。それぞれの方法がすべて認められる状況こそ、社会全体でウェルビーイングが達成されたということなのではないか」と指摘した。

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浜田敬子(はまだ・けいこ):記者として女性の生き方や働く職場の問題、また国際ニュースなどを中心に取材。「AERA」編集長、「Business Insider Japan」日本版統括編集長を経て、現在はフリージャーナリストとして、テレビ番組のコメンテーターやダイバーシティーや働き方改革についての講演なども行う。著書に『働く女子と罪悪感 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる』(集英社)がある。

一方、ウェルビーイングとは何かを考える上で、自分が好きなことは何か思い悩み、好きなことを見つけなければならない、とプレッシャーを感じてしまう人も少なくない。そんな人たちに向けて、浜田さんは「自分が苦痛だ、嫌だと思うことをなるべく選択しないこと。苦手なことや嫌だと思うものではないことに自分を移していくこと心がけて」とアドバイスした。

「世界のはたらくWell-being」の調査結果はパーソルグループの特設サイトで公開中。新年度を迎えたいま、自分がどう働きたいか、さらに自分がどうありたいか、考えるきっかけにしてみては?

■パーソルグループ「世界のはたらくWell-being」
https://www.persol-group.co.jp/sustainability/well-being/worlddata/

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