【イベントリポート】50代からの女性の生き方を考えるセカ活って?

Society & Business 2022.04.26

ビジネスの力で日々の暮らしの課題解決を目指すコミュニティ、フィガロジャポンBusiness with Attitude(以下、BWA)事務局では、より良い日常をつくるため、さまざまな課題の解決に取り組む起業家や専門家の活動を紹介するオンラインセミナーを開催しています。

4月12日の第3回定例セミナーでは、40~60代女性のセカンドライフ、セカンドキャリア選びを支援する株式会社セカミー代表取締役の増田早希さんをゲストに迎え、ご自身の取り組み、セカミーが提供するサービスについてお話いただきました。以下、増田さんのお話を抜粋してお届けします。

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■40~60代の女性を取り巻く課題とは?

大学卒業後に出版社に入社した後、IT系のベンチャー企業に転職して妊娠出産前後の女性に向けたアプリのブランディングや、テレビCMプロジェクトマネージャーを経て、昨年8月に30歳でセカミーを立ち上げました。

セカミーとは、40代以降の女性のセカンドライフやセカンドキャリア選びである“セカ活”を後押しするコミュニティで、女性たちが自分の生き方を見つけるための支援をしています。社名には、役割の奥にいるもうひとりの自分を見つけようといった意味合いも込められています。

40〜60代の女性たちを取り巻く現状として、通信講座やカルチャースクールのように、やりたいことが定まっている場合にサポートしてくれるサービスは多々ありますが、そこに至るまでの「自分のやりたいことって何だろう」という選択部分で悩まれている方がすごく多いように感じています。その選択というところにフォーカスして、新しい概念とそれを支援するコミュニティをつくるのが私どもの役割です。

40〜60代の女性は、たくさんの課題を抱えている世代だと思います。雇用形態にしても50歳から54歳までの男女で454万円も賃金格差があったり、さらに、うつ病や躁うつ病の患者数もワースト3が40代、60代、50代女性だったりする。それは女性が自分のためでなく、家族や人のために生きることを、社会から期待されてきた結果なのではないか、と私自身感じています。

また、「人生100年時代」「個の時代」へと社会がこの数年で大きく変化し、これまで真面目にやってきたことが、ルールが切り替わってきたことで必ずしも報われなくなってしまった。それに対する戸惑いもかなり大きい世代だと言えると思います。

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■起業したきっかけは?

30代の自分が、なぜ40代以降の女性の課題に取り組もうと思ったのか。それには自分の母親の体験が影響しています。現在64歳の母親が、出産前までの夢だったインテリアコーディネーターに挑戦してみたいと、昨年スクールに入学しました。それまではなかなか一歩を踏み出すことができず、モヤモヤしていた母に私が意を決して向き合ったことで、その後しっかり意思決定をし、変わっていく姿に、40代以降の女性が自分の感情と向き合うきっかけと伴走してくれる他者の存在の重要性を感じました。

また、自分自身が中高時代に、いまの社会の“普通”じゃなきゃいけないというムードに生きづらさを感じていたことも挙げられます。40〜60代女性にお話を伺うと、「私には何もない」と仰る方がすごく多くてびっくりするのですが、よくよく思い返せば私自身も中高時代にそう思っていた時期があり、そこに強く共感したというのもあります。

さらに付け加えると、40〜60代女性というのは、下の世代にも心理的影響力が強いです。この世代の女性たちが変われば、社会全体が変わると信じて、この事業をやっています。

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■セカミーの取り組みは?

セカミーでは、現在、200人以上の女性のインタビューをもとに開発した1ヶ月集中の少人数制プログラム「セカミー LIFE Re:DESIGN CAMP」というサービスを提供しています。定員は6人で、40〜60代の女性が、全部で6つのワークと対話を通して、“好き”や“得意”に気付き、これからの人生を自分の手で描き直すまで、40年以上キャリアがある武蔵野大学名誉教授で公認心理士の春原由紀さんと私がメンターとして1カ月伴走します。今年3月末にプログラムを終えた一期生は、皆さん自分なりの目標を見つけ、それに向かって早速行動を起こしています。

参加者にはファーストステップを踏み出してみることを提案しています。信頼できる小さなコミュニティで、小さな一歩を重ねてみる。それなら、たとえ失敗したとしても小さい失敗で済み、ハードルは低いままです。その積み重ねが大事だと考えています。たとえば一期生の中には、勉強を重ねていた分子栄養学の知識をアウトプットする講座を開いたり、オンラインで料理教室を開催した方がいました。

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■“セカ活”でどう変わる?

これまでセカ活に取り組んでこられた方は、いくつかパターン分けすることができます。代表的なのは、資格を取得して再び働き出すケース、着物講師やセミナー講師など興味があることを学ぶうちに自分が教える側になるケース、感性を活かして職人や作家として活躍したり、大学などで本気で学び直すといったものです。他にも地方に移住してひとり暮らしをしたり、ベンチャー企業に転職といった例もあります。

中でも印象的なのは、専業主婦から人気のドライフラワー作家になられたケースです。元々SNSやITが苦手な方でしたが、ご自身が気落ちされている時に、お嬢さんから「好きなお花をインスタに上げてみたら」といったアドバイスを受けて、少しずつ写真を上げてみたところ、人気になり、現在は月に30件オーダーが入ることもあるそうです。

また、ある60歳の専業主婦の方は、56歳の頃ゼロから投資を学び始めて、いまでは2億円を個人で運用されていたりします。投資会社の人に「本気なので教えてください」と請い願うと、その方の始業前、数十分を充ててくれるようになったそうです。強い熱量をもって扉を叩くと、一見閉じているように見える扉も、実は開くものだとつくづく思わせてくれるエピソードです。

フルタイム勤務の方ですと、広告代理店で働いている高齢出産をされた40代後半の方は、自身のお子さんについてもっと理解したいと保育士の資格を取得され、本業とは別に休日はこども食堂の運営をされていたりします。勉強熱心な方で、最近では性教育をもっと広めたいと保護者向けのイベントを企画されているそうです。また別の方は、お子さんから「お母さんは何かしたいことないの」と問いかけられ、それじゃあひとり暮らしがしたいと、57歳で縁もゆかりもない岡山県に移住し、そこで仕事を見つけたといった事例も。

セカ活とは純粋にセカンド・ミー(役割の奥にいる本当の自分)に出合う活動と私たちは考えており、必ずしもお金儲けが伴うものではありません。自分が本当にやりたいことを選択するのが大前提です。

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■今後の目標は?

40〜60代女性たちの生きる世界は、才能や熱がある方がたくさんいるにも関わらず、経済的な社会と交わる機会が少なく、閉じられた状態だと感じています。40〜60代の女性向けの商品やサービス、メディアもありますが、多くは当事者がいない会議室でつくられてしまっている。私としては、40〜60代の女性の目線をもっと社会に出していって、そうしたずれを是正し、40〜60代の女性がまっとうに尊重される社会をつくっていきたいと考えています。

【セミナーのアーカイブ動画はこちら】

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■Q&A

――納得できるセカンドライフを選ぶには、能力や経済力は必要ですか?

例に挙げた大学に再入学するとか移住されたりする方たちは、たまたまそういう出口だっただけで、人の数だけ出口があり、必ずしもお金がかかるものだけが出口ではないと思っています。例えば、小説を書くのだって出口になりますが、それなら紙とペンさえあればできることです。大切なのは自分が大事にしていることはなにか、感情に向き合った上で選択することです。

――小さなコミュニティで一歩を踏み出すために、具体的にどのような行動をとるべきですか?

まずは日常を少しだけ壊すことを試みてください。勤務先からのいつもの帰り道をちょっと変えてみるとか、普段使わない駅を使ってみることで、景色が変わって見えてくる。新しい道や店など、自分がこれまでに見えてなかった場所に立ち寄ってみたり、人に話しかけてみることで新しい人間関係ができ、コミュニティも広がっていくと思います。

例えばですが、気になっている店に入ってみて、お店の方に話しかけてみる。なんとなくいいなと思うギャラリーやお花屋さんで、店員さんに話しかけてみると、「来週〇〇のイベントがありますけど、どうですか」と話が広がったりしますよね。そこから世界が広がっていくと思います。

そうやって想定外のことを小さく作ってみてください。普段だったらやらないけれど、ちょっと興味があることを、小さく、いろんなところでやっていくのがおすすめです。

また、自分よりも年齢の高い人がいるコミュニティに入ってみるのも面白いと思います。この場合、大事なのは「続けなくてもいい」ということ。「ちょっと自分と違うかも」と思いながらも数年間続けてしまったと聞くことも多いですが、「いま私は、自分に合うものを色々とつまみ食いしているところだ」と認識したうえで、小さく始めて小さく辞めることを繰り返してみると、気がついたらずっと続けたいくらい熱中できるものが自然と現れるんじゃないでしょうか。小さな行動を重ねていくことで、自分の好きなことが見えてくると思います。

取材協力:株式会社セカミー
http://secome.jp/


■「セカミー LIFE Re-DESIGN CAMP」第2期生募集中!
女性の「セカ活」に特化したライフ リデザイン プログラム。1ヶ月集中/少人数グループ制でこれからの数十年どう生きるか、参加者が自分なりの答えを出すまでに有資格者のメンターが伴走します。


・開催日時(全5回):5/21(土)、5/29(日)、6/4(土)、6/11(土)、6/25(土)すべて14:00-16:00
※第1回(5/21)と最終回(6/25)のみ東京都千代田区での実施を予定。ほかの回はオンライン(Zoom)。希望者はオンラインでの参加も可能
・参加費:179,800円(税込) ※全額返金保証あり
・定員:6名
・対象:セカミーのテーマに共感いただける女性
・応募締切:5/15(日)23:59
・詳細:https://secome.jp/lrc

<ワーク体験&説明会>
「セカミー LIFE Re-DESIGN CAMP」内で使用するワークの一部を体験できる無料のオンライン説明会を実施します。詳細は以下よりご覧ください。
詳細:https://note.com/secome/n/n808afc2a624b
※説明会参加者はプログラム参加費から10,000円割引

■「わたしたちの部屋2022 〜100人の女性の、100通りの暮らし〜」5月1日から開催。
プログラム発売を記念して東京都千代田区にて展示「わたしたちの部屋」を開催します。40~60代女性100人のインタビューをもとに、さまざまな暮らしのありようを展示していくプロジェクトです。

展示内では「セカミー LIFE Re-DESIGN CAMP」のワーク体験や、役割の奥のほんとうの自分<セカンド+ミー>を見つけた40~60代女性が主催するワークショップも複数実施します。

・開催日時:2022年5月1日(日)~8日(日)13:00-17:00
※公開状況を以下からご確認の上、ご来場ください
https://www.instagram.com/secome_jp/
・参加費:無料
・会場:アーツ千代田3331 セカミー ラボ
(東京都千代田区外神田6丁目11-14 アーツ千代田3331 313号室)
・詳細:https://secome.jp/ourroom

 

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