野菜のおいしさに魅せられた、生産者と料理人の想い。

Society & Business 2022.07.14

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全国の健康農園(ウェルネスファーマー)と提携し、農業の持つ癒やしの力で会員の健康をサポートするサブスクリプションサービス「ウェルネスファームクラブ」。「知る・⾏く・⾷べる・育てる」の4つのサービスコンテンツを通じ、農家と消費者を近づけるソーシャルグッドなプロジェクトだ。去る6月30日、代官山のフレンチレストラン「ル・ジャポン」で開催されたメゾンフィガロ会員のための食事会では、中田耕一郎シェフが「あかさか野菜」の食材を使って華やかな料理の数々を披露した。レシピを考案するにあたり、ウェルネスファーマーの会員で有機農業を営む赤坂拓昭さんをシェフが訪れた様子をリポートする。

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キュウリ畑で野菜談義に花を咲かせる赤坂さん(右)と中田シェフ(左)。

千葉駅から車で約30分。住宅地を抜けると道は急に細くなり、小高い山並みに囲まれた田園風景が現れる。梅雨の晴れ間の6月のある日、中田シェフは赤坂さんの農園を訪れた。「うちの畑はあちこちに点在しているので、まずはこちらからご案内します」。優しい笑顔で出迎えてくれた赤坂さんに付いていくと、そこにはみずみずしいキュウリがたわわになっていた。シェフは早速一本を手に取るとまずは匂いを嗅ぎ、豪快に齧る。「僕が野菜を選ぶ基準は『匂い』です。人間の味覚って案外鈍くて当てにならないんですが、いい匂いのする野菜はおいしい」。

赤坂さんは30代半ばまで東京でコンビニエンスストアを経営、農業とは無縁の生活を送っていた。ところが東日本大震災で都内の物流が滞ったことで、生活基盤の危うさを実感。都心に近い千葉でゼロから農業をスタートした。「東京で暮らしていた頃は野菜をまともに食べてこなかった。それが農業教室に通うようになって本当の野菜のおいしさに目覚めたんです」。鍬と鋤を買い、雑草を抜いて土を耕すところからの出発だったが、少しずつ敷地面積を増やし、就農9年目となる現在、2.5ヘクタールの畑に年間80種類の野菜を収穫するまでになった。

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千葉県のこのあたりでは、飛鳥時代から農業が営まれてきた。「千年以上続いてきた先人の知恵に立ち返れば持続可能な農業になります」と赤坂さん。

赤坂さんの畑では農薬はほとんど使わず、肥料も近隣から取り寄せた家畜由来のものや、米ぬかを使った有機農法が基本だ。「僕にとって農業は天職。一生かけてやりたいので、健康に働ける環境をつくりたかった。有機栽培は環境、生産者、消費者すべてに優しく、何よりおいしい」と赤坂さん。旬のものを新鮮なうちに無駄なく出荷したいとの思いから、同じ野菜でも日にちをずらして少量ずつ種を撒き、栽培・収穫している。「随時10種類くらいは出荷できるようにつくっています。直売がメインですが、廃棄はほとんどないですね」

いっぽう福島出身の中田シェフは、祖父が畑をやっていたこともあり、幼い頃から旬の食べ物が身近にあったという。「夏は畑のトマトを採って食べたり、田んぼで稲が育つのを間近で見てきました。赤坂さんのように少量多品目をつくっている農家さんの野菜は本当においしい。大量生産で見た目が均一な野菜にはあまり魅力を感じないんですよね」。自身のレストランではフランス料理をベースに、日本人の味覚を意識して表現することを心がけ、毎日でも食べ飽きない料理を目指している。「バターとクリームを大量に使って食材を重ねるフレンチは、おいしいけれど日本人が毎日食べるにはきつい。ならば味を濃くするのではなく、素材の味を凝縮させておいしさを伝えたいんです」

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カボチャの葉に触れ、香りを確かめる中田シェフ。

中田シェフが赤坂さんの畑に入ってまず驚いたのは土の柔らかさだった。「びっくりするくらい土がふかふかですよね。こういう畑で育った野菜は間違いなくおいしい。イギリスの畑を視察したことがあるんですが、向こうの土は寒いのでガチガチに硬い。ミネラルは豊富だけれど、日本のように多くの種類の野菜をつくるのは難しいのでは?」

高温多湿な日本の畑ではヨーロッパに比べて虫による病害が出やすく、オーガニック栽培のハードルが高いと赤坂さんは言う。「有機農法は手間はかかりますが、野菜にはたくさんの栄養素を吸わせてあげたい。野菜のおいしさって極端なことを言えばミネラルやアミノ酸、カルシウムやマグネシウムの味なんですよ。養分が多いほど味に深みが出る。配合には試行錯誤を重ねています」。レストランとの取引も多いという赤坂さん。最初は色のきれいなものや珍しい品種を提案していたが、とある料理人からの一言で、野菜づくりの方向性が定まったという。「お客さんは食べ慣れている野菜の方が違いがわかるから、普通の野菜をつくってくれればいいと言われたんです。それからは誰もが知っている野菜をメインにつくろうと決めたんです。食べ方がわからないような野菜では一般の人に買ってもらえないですから。有機野菜をできるだけ多くの人に食べてもらいたいんです」

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おいしい野菜をつくるため、日々研究を重ねる赤坂さん。その思いを受け、野菜のおいしさを最大限に料理に生かすべくレシピを考案する中田シェフ。ふたりの熱い思いが食文化の未来をつなぐ。

今後は一般の消費者にもっと野菜の旬を知ってもらえるよう、畑見学を企画したいと赤坂さん。「旬の野菜をその時期に思いっきり食べれば、旬ではない野菜を無理して食べたいと思わなくなる。それが体のためにもいいし、遠くから輸送して環境に負荷をかけることもなくなります。旬のものを食べることがサスティナブルにつながるんです」と赤坂さん。レストラン業務のかたわら料理教室も開催する中田シェフは、子どもの食育にも関心を寄せている。「旬のものを食べることで心が豊かになり、正常な人間ができ上がる。料理教室でも食育の場でも、そういうことを伝えていきたいですね」

立場は違えど、野菜のおいしさを届けたいというふたりの想いは同じように熱い。持続可能な食文化を支えるのは、私たち消費者の食への意識も大切であることを、ふたりは教えてくれた。

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この日、畑で中田シェフが選んだ野菜の数々。水分をたっぷり含んだレタスやズッキーニ、ヤングコーン、トウモロコシなど甘くてジューシーな野菜がシェフの料理のインスピレーション源になった。
ル・ジャポン
東京都目黒区青葉台2-10-11
TEL:03-5728-4880
営:12時~15時(13時最終入店)、17時~23時(22時最終入店)
休:店舗に確認
www.le-japon.info

パソナ農援隊 Wellness Farm Club事務局
contact@wellness-farmclub.jp

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