タリバン復権から1年、アフガン女性に禁じられたこと。

Society & Business 2022.09.08

2021年8月15日に政権を奪還したタリバンは、女性にもいつくかの権利を認めるという意向を表明していた。しかし、その後に講じられた措置は、アフガン女性たちを再び社会と隔絶させることを早々にうかがわせるものだった。政権復帰から1年経ち、女性の抑圧と経済の破綻によってアフガニスタン全土に再び蒙昧主義が蔓延している。フランス、マダム・フィガロのリポート。

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2022年5月には、テレビの女性出演者にベールで顔を隠すようタリバンから命令があった。(アフガニスタン、2022年5月22日) photography : AP / Aflo

10日間の急襲でアフガニスタン全土を制圧したタリバンは、政権復帰以後、表向きには穏健な姿勢を示すことに努めてきた。そして、イスラム法の許す範囲内で女性の権利を尊重すると約束してきた。1996~2001年の旧タリバン政権時代には、不貞の疑いが持たれた女性には石打刑が科され、女性たちは学校に通うことも、仕事をすることも、男性の保護者の付き添いなしに外出することも禁止されていた。記者会見を通して、自分たちは変わったと強調し続けたタリバン。しかし、その後に講じられた措置は、アフガン女性たちを再び社会と隔絶させることを早々にうかがわせるものだった。

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スポーツの禁止

まず、彼女たちはいまやスポーツをすることができない。タリバン政権の文化委員会責任者のアフマダラ・ワジクは昨年9月8日、スポーツは「少女たちにとって必要な」活動ではないと発言した。その際に「イスラム教のドレスコード」と相容れないという理由で、スポーツをするときの服装も非難の対象になった。

ワジクはまた、女性たちのクリケット競技を禁止するとも述べた。なぜなら「顔や身体が覆われない状況に直面する可能性がある」からだ。さらにメディアの役割についても「写真や動画が撮影されれば、人々がそれを見ることになる。イスラムとイスラム首長国は女性の身体が露わになるクリケットなどのスポーツをすることを認めない」として問題視した。アフガニスタン女子クリケットチームの複数のメンバーがBBCに語ったところによると、タリバンは選手たちを標的にし、競技をしようとすると脅迫を受けたという。ワジクは一方で、買い物は禁止されていないと明言し、イスラムは必要があれば女性が外出することを認めていると付け加えた。

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宣伝戦略と暴力

2021年8月15日のカブール陥落後、タリバンは女性たちに仕事に行くよう呼びかけ、何も心配することはないと強調した。その証として、幹部のひとりがアフガニスタンのテレビ局トロニュースのスタジオで、女性ジャーナリストのベヘシュタ・アルガンドのインタビューに応じた。20年前には想像もできない光景だった。しかしその数時間後に、別の女性司会者が自分も含め数人の同僚女性が停職処分を受けたと表明した。

 

タリバンは勢力の拡大に伴い、声明とは矛盾する暴力的な行為を行ってきた。脅迫を受け、暗殺や誘拐された女性たちもいる。数少ない女性地方知事のひとり、サリマ・マザリのように。タリバンの進出を阻む目的で市民軍を設立した彼女は、タリバンが首都に到達した3日後に逮捕されたと伝えられた。また、カブールから50km離れたマイダン・シャールの女性市長ザリファ・ガファリは数年前から何度も脅迫を受けており、父親を首都で殺害されている。彼女はアフガニスタンを脱出し、ドイツに亡命した。現在はアフガニスタン国民のスポークスマンの役割を担っている。

女子学校を狙ったテロも発生している。昨年5月にはカブールの女子校がテロの標的となり、85人の生徒が命を落とした。2021年末、西部の都市ヘラートでは、女性活動家やジャーナリストの家にタリバンが印をつけて回った。5月以降に家を捨てて逃れたアフガン人の80%は女性と子どもたちだ。何百万人もの女性避難民が、いまも自分たちの命のことだけでなく、過去20年間の進歩が無に帰すのではないかと危惧している。2021年8月17日にはカブールで数人の女性たちがカラシニコフ銃にも怯まず街頭に出て女性の権利の維持を求めた。それだけ多くのものを彼女たちは失おうとしていたのだ。

 

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学校に通う権利

2001年にタリバン政権が崩壊したとき、少女たちに再び学校への道が開かれた。アフガン女性の就学率について正確な数字を知るのは難しいが、非政府組織ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によれば、最も楽観的な統計でも50%以上にはならないという。

それでも中には大学に進学した女生徒もいる。たとえば昨年の5月、アフガニスタン第3の都市ヘラートの大学では、学生の50%近くを女性が占めていた。「いまのアフガニスタンはかつてとは違う。いまは女性たちが自分の夢を実現できる」と、トロニュースで、ある女子学生が喜びを語っていた。「女性たちはこうした機会を失ってはならないし、数十年前の状態に後戻りしてはならない」。しかし2021年8月17日、武装したタリバンが大学のキャンパスで女性教師や女子学生に立ち入りを禁じたと複数の目撃者が証言している。カブール大学では、男性の付き添いがない場合、寮から出る許可が下りない女学生もいたという。

タリバン新政権は2021年9月4日に、上級教育大臣を通して、アフガニスタンの女子学生の私立大学へ通う条件を取り決めた法令を発布した。この法令では、女子学生は黒のアバヤ(全身を覆う長いベール)と目だけ現れるように顔を覆うニカブを着用しなければならないと規定されている。また授業は男女別々に行われるとされている。私立大学に登録する女子学生は、男子学生の退室の5分前に教室を出なければならず、すべての男子学生が教室を出るまで、待機室で控えていなければならない。おそらく廊下で男女がすれ違わないようにするためだ。大学側は「女子学生のために女性の教育者を雇用する」か、あるいは道徳的な廉直さを精査した上で「高齢の男性教育者」を採用するという規定も盛り込まれている。

【関連記事】アフガニスタンの女学生に課せられた復学の条件とは。

中学や高校の女子生徒たちも同じような状況だ。昨年の8月以降、アフガニスタンの女子生徒は学校に通う権利を認められていない。タリバンは、12~19歳までの女子が男子と別に教育を受け、全国の中学校や高校でイスラム教の原則に則った運営が行われるよう、時間をかけて体制を整えたいと宣言していた。学校教育へのアクセスに多くの条件を課しつつも、2022年3月23日、教育省はアフガニスタンの一部の地域で女子生徒の復学が許可されると発表した。しかしこの復学措置も数時間しか続かず、最終的に女子中・高校は閉鎖された。タリバン政府報道官のイナムラ・サマンガニはフランス通信社に対してこの情報を認めただけで、理由は明言しなかった。教育省報道官のアフマド・アジズ・ライアンも「私たちにはコメントする権利がない」と同様の回答をしている。

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働く権利

旧タリバン政権が崩壊した後、多くのアフガン女性たちが仕事を見つけ、中には要職に就いた女性もいた。警察官、軍人、司法官、ジャーナリスト、議員(全議席のうち女性議員が27%を占めていた)、経営者、教育者、医師、スポーツ選手、市長、知事……。

再び首都を制圧したタリバンは、女性たちは仕事を続けられると断言するが、当の女性たちからは職場を追われ、代わりに身近な男性を後継に充てるよう勧告されたという証言が寄せられている。政治に携わる女性や活動家、ジャーナリストが脅迫や暗殺の標的となっている。多くの女性たちが自分の名前がリストに記載されていると断言し、タリバンが戸別訪問をして、司法官、活動家、ジャーナリスト、インフルエンサーの女性たちを追い込んでいるという証言もある。

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男性が独占する政府

イスラム首長国は女性も政権に参画する「包括的な政府」となるとタリバンは断言していた。女性はコーランが認める権利を享受し、「医療など女性が必要とされる分野」で働くことができるということだった。しかし2021年9月3日に公開されたBBCのインタビューでは、タリバンの在カタール政治事務所副代表シェール・モハンマド・アッバス・スタネクザイが、新政権に女性が「入ることはないだろう」と発言。女性が低い地位のポストに就くことはあるが、大臣に起用されることはないと示唆した。

この発言を裏付けるように、2021年9月21日に行われた記者会見で、タリバン政権報道官のザビフラ・ムジャヒドは、アフガニスタンのタリバン政権の組閣が終了したことを伝え、執行部の構成員は全員男性であると発表した。また新指導部は女性問題省を閉鎖し、代わりに美徳推進と悪徳防止省の設置を決定した。いまのところは暫定政権であり、今後さらに体制を整えて行くと報道官は強調した。

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ひとりで外出する、ダンスする、メイクする……

1996~2001年の旧タリバン政権下で、過激なイスラム原理主義者たちは女性にブルカの着用を強制し、外出には夫や父親、兄弟など男性近親者の同伴を義務付けていた。禁則に背いた場合には重い制裁に身を晒すことになった。ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、タリバンに再び制圧された地域では2019年以降、1990年代に実動していた「美徳推進と悪徳防止」警察を踏襲したパトロール隊が風紀の取り締りを行っているという。

「ニューヨーク・タイムズ」紙も、アフガニスタン第4の都市マザーリシャリーフで、買い物のためにひとりで外出していた女性たちが自宅に追い返されたと報じた。バルフ州では、ジーンズを履いてひとりで外出していた22歳の女性が射殺されたと、同地方の複数のメディアが伝えている。フランスとアフガニスタンの二重国籍を持つジャーナリストのモルタザ・ベブディも、ツイッターで、心配せずに外出せよと女性たちにすすめるムッラーの音声メッセージを聞いたと報告している。ただし化粧をしてはならない、化粧をしていた場合、「すべて切る」とムッラーは言い添えたという。

 

メイクどころか、ささやかな楽しみを享受する権利も脅かされている。旧タリバン政権下では、ゲームや音楽のみならず、アフガニスタンの人々が好む凧揚げさえ禁止されていた。

去る3月27日、タリバンはアフガニスタン国境の取り締まりを一段と強化した。すでに12月末からアフガン女性は、親族の男性の付き添いなしに国内で72km以上の移動をすることが禁止されている。加えて、アリアナ・アフガン航空とカーム航空の代表がフランス通信社に語ったところによると、同じように、付き添いのないアフガニスタンの女性への航空券発行が禁じられたという。「男性親族の同伴なしに移動していた女性たちの中には、カブールからイスラマバードへ向かうカーム航空の便に搭乗許可が下りなかった人もいました」と、同便の女性乗客のひとりがフランス通信に語っている。航空会社の話では、外国人女性に関してはこの指示は適用されないことになっている。しかし、アメリカのパスポートを持つアフガン女性がドバイへ向かう同日の便に搭乗できなかったことを、複数の現地メディアが伝えている。

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平均寿命

世界銀行のデータによると、2000~2018年の間にアフガン女性の平均寿命は57歳から66歳に伸びている。医療センターや最新設備を備えた病院が設立され、医療へのアクセスが拡大した成果だ。世界保健機関によれば、2002~2017年の間に出産で死亡した女性の数は、出産数10万件に対し、1300人から638人まで減少している。だが、この件に関しても見通しは暗い。タリバンは女性医師や看護師に職場に復帰するよう呼びかけているが、タリバンのコントロール下にある複数の地域では、カンダハールのような大都市でも、女性用の医院が閉鎖されたという。

たとえイスラム原理主義者が女性に治療を受ける権利を認めても、資金が不足する恐れがある。アフガニスタンの国家予算の大部分は国際社会の寄付に頼っているが、その額は減少し続けている。ヒューマン・ライツ・ウォッチが昨年5月に発表した報告で指摘しているように、支援金がカットされれば、最初に犠牲になるのは女性たちだ。「アフガニスタンの医療システムへの国際社会による資金援助は死活問題です。予算が削減されるたびに、女性たちが亡くなる」と、国連の女性の権利部門共同ディレクター、ヘザー・バーは強調していた。

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女性たちを保護する法律

2009年、アフガニスタンでは女性に対する暴力の撲滅を目指した法律が採択され、特に強姦や強制結婚、女性の就学や就労を阻む行為が刑罰の対象となった。実際に適用されることは少なかったが、法律が制定されたことで、警察内に女性問題を扱う部署が設けられ、専門の裁判所も創設された。

これからのアフガニスタン・イスラム首長国でこの制度が維持される可能性は低い。過去のタリバンが政権下では、女性たちは公の場で鞭打ち刑を受けたり、とくに不貞罪に問われた女性は石打で公開処刑されることもあった。暴力的な夫を殺害して死刑判決を受け、1999年にカブールの競技場で銃殺刑に処された女性の姿をどうして忘れられるだろう? タリバンの政権復帰で、こうした陰惨な光景が復活することを多くの人々が恐れている。

text : Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr)

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