Business with Attitude "お直し" を次世代に伝える、縫製職人の熱い思い。

Society & Business 2022.10.24

衣食住、そして働くという日々の暮らしを大切にしてきたフィガロジャポンの新プロジェクトBusiness with Attitudeは今年3月、日常の課題を解決し、よりよい明日に繋がるビジネスアイデアを広く一般から募るピッチコンテストを初開催。100件を超える応募が寄せられ、その中からファイナリスト6組を選出した。

暮らしをより美しく、豊かにする6組のアイデアを紹介する。


Professional Award
スタートアップ企業、および起業構想があるすべての女性を対象にした部門。メディア掲載や専門家のサポートを通して、今回のファイナリストのビジネスの成長をサポート。


#03
Contestant|大山愛美 縫製士

Pitch Title|お直しの技術を用いた「衣」のサステナブルの実現

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1982年、熊本県生まれ。高校卒業後はブライダル貸衣装店、お直し店などで経験を積み、2018年独立。21年社会起業のAIM株式会社を設立。

“お直し” を次世代に伝える、縫製職人の熱い思い。

縫製業に従事する祖母を見て育ち、高校卒業以来、20年以上一貫して縫製に携わり続けている大山愛美。地元・熊本で、縫製士として衣類のお直しやオーダーメイドを請け負う一方で、2021年、縫製業界全体の底上げを目指すAIM株式会社を立ち上げた。クリーニング店と協働したお直し店のDX化、日本で古くから親しまれてきた縫製技術を次の世代に伝えていくためのeラーニングやリカレント教育の推進など、さまざまな事業を手がける。コロナ禍を経て、社会が大きく変化しつつあるいま、洋服のあり方、ファッション界の未来について考えているという大山。「これからの時代、お直しをして服を着続けることがカッコいいと言われる時代が必ず来る」と力強く語り、社会起業家としての歩みを進めている。

>>【ピッチを見る】「お直し」の思いをつなぎ、技術をつなぎ、社会をつなぐ。

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障がいがある人の洋服のお直しのほか、縫製技術を伝え就業支援も行っている。 

Q1. どんな課題に取り組んでいますか?

「お直し」は、着る人の状況や用途、その後の服の使い途についてまでヒアリングし、提案する技術です。日本では古くから大切にされてきた技術であるものの、既製服の台頭や技術者の高齢化などにより、後継者不足に直面しています。しかし社会が変わりつつあるいま、一着に思い入れを持ち、お直しして長く着続けるという需要は高まっている。縫製の技術を絶やさないためにも、縫製業全体の地位向上、技術者の育成を目指しています。

Q2. ビジネスを始めようと思ったきっかけは?

地元の熊本県には縫製工場が多くありますが、コロナで事業をたたむところも多かった。一方で、自分もリモートで仕事をする中、縫製という技術があれば、どこでも誰でも仕事ができることに気が付いた。縫製業はこれまで「見て覚えろ」という職人気質が強かったですが、その部分を変えることで、若い世代や子育て中の女性、障がいがある人や海外にいる人にもこの技術を伝えられるのではないか、と起業を決意しました。

Q3. 現在の課題、そしてビジネスを通じて描く未来を教えて下さい。

車椅子の人でも気軽にお直しが体験できるように試着室を備えた移動式の縫製車を作りたい、高齢の職人さんの技術を映像で記録したいなどアイデアはたくさんある。でも何よりも、私が働く姿を見て「ママのお仕事、私もしたい」と言ってくれた娘が大人になった時に、お直しが憧れの職業になり、さらに「自分の好きなことを仕事にできるって幸せ」と思ってもらえるような社会になっていてほしい。そのために頑張りたいと思っています。

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「既製品は作れても、直せない人が多い」と海外でもお直しの技術伝承に励んでいる。

Pitch Contest 2022
Finalists

*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋

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