American Express 「枯れない花」の奥深さを感じる、佐賀・唐津のフラワーレッスン。
Society & Business 2022.11.30
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アメリカン・エキスプレスが街のショップを支援して地域を活性化することを目的に、世界で展開するSHOP SMALLプログラム。日本では2017年に横浜で始まり、全国に広がっている。今年7月、この取り組みの一環として日本で新たに始まったのが、多様な街の女性ショップオーナーのより自分らしい挑戦を応援する「RISE with SHOP SMALL」。女性ショップオーナーの課題解決に着目したRISE with SHOP SMALLの支援プログラムへの参加募集には、全国から多数の応募があり、その中から、13人の女性ショップオーナーが選出された。さまざまな取り組みを通じて街を豊かにしたいと挑戦を続ける彼女たちの取り組みを紹介!
“枯れない花”を扱う花教室。
#2 Noutje(ノーチェ)
實松千晶さん
佐賀県唐津市の實松千晶さんが、“枯れない花”を扱うフラワー教室「Noutje(ノーチェ)」を自宅に開設して8年ほどになる。枯れない花とはいわゆる造花のことだが、なかでも色の繊細なニュアンス、花びらや葉の質感、枝ぶりが精巧に作られたものを「アーティフィシャルフラワー」と呼ぶ。一見して人工花であることに気付かない人も多く、生花だと思って水をあげてしまう人もいるほど。
本物と見間違えるようなアーティフィシャルフラワー。生花とは扱い方が異なるため、生花のアレンジを習った人がアーティフィシャルフラワーをうまく扱えるとは限らないという。
人工の花から“命”を感じるのは高度な再現技術もあるが、それだけではない。アレンジする人の感性や観察眼、空間構成力が加わって、初めて花に“命”が通う。つまり、扱う人の内面が作品に映し出されるところがアーティフィシャルフラワーの魅力であり、難しさでもある。實松さんはその奥深さに魅かれたと話す。
實松さんとアーティフィシャルフラワーの出合いは2014年。好きだったフラワーデザインをもっと勉強したいと通い始めた福岡のフラワーデザインスタジオの講師が、アーティフィシャルフラワーデザインの第一人者だった。技術も人間性も全幅の信頼をおける講師に巡り合い、實松さんの心は決まった。
「この世界に自分のやりたいことがあると気付いたんです。私はずっとお花が好きだったのですが、考えてみれば子どもの頃から拾った木の実を組み合わせたりして何かを作ることが好きだった。どちらかというとデザインや空間構成に興味があるので、生花のアレンジメントよりも、ものづくりに近いこちらの世界が自分に合うと感じました」(實松さん、以下同)
ノーチェ代表の實松千晶さん。
福岡のスタジオで研さんを積み、ジャパンアーティフィシャルフラワーデザイン協会(JAFD)の認定講師のほか、日本フラワーデザイン芸術協会(JFDA)など10あまりのコースを続々と修了。2018年には横浜ディスプレイミュージアム主催のコンテストで優秀賞を受けるなど、そのセンスは対外的にも認められるようになった。
現在は自宅のフラワー教室を軸に、佐賀県内を拠点に、ホテルや商業施設で大がかりな空間ディスプレイを手がけるなど多方面で活躍。小さなブーケやスワッグは唐津市のふるさと納税の返礼品にもなっている。
「日本の夏は年々暑くなってきていて、空間ディスプレイでも生花を持たせることが難しくなっています。枯れない花のニーズが高まっているのを感じます」
バラにはトゲがついていたり、花びら1枚1枚に至るまで驚くほどリアルに作られているアーティフィシャルフラワー。そんな“枯れない花”なら、結婚式やお祝いでプレゼントされても当時の思い出とともに、いつまでも色あせずに保存できる。
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心を込めて、生徒と向き合いたい。
實松さんが佐賀県唐津市の自宅でフラワー教室を開き始めたのは、現在中学3年生の長女がまだ0歳の時。娘をおんぶしながら夢だったフラワー講師としてのスタートを切った。生徒はSNSや口コミで少しずつ増えていった。自宅のリビングで教えていたが手狭になり、3年前に子ども部屋を改装してレッスンルームを一新した。
子ども部屋を改装したレッスン部屋の天井や壁、棚には所狭しとアレンジやブーケ、スワッグ、ハーバリウムなどが飾られている。“命”を見事に表現した作品群は、一見して人工花と気づかないほど。
「人に教えることが好きなので、やっぱり一番楽しいのはレッスン。アーティフィシャルフラワーを学びに来る生徒さんは花が好きで、そして、ものづくりも好きな人が多く、私と感性の近い人が集まっていると感じます。生徒さんとのやりとりがこの仕事を続けるモチベーションになっています」
いまでは資格取得を目指す連続コースを受講する生徒のほか、クリスマスや母の日など記念日のレッスンを単発で受ける人もいる。インスタグラムやLINEなどSNSで情報発信する教室経営者が増える中、今後はオンラインレッスンにチャレンジしてみたい、と考えていた實松さん。そんな時、知り合いからRISE with SHOP SMALLの支援プログラムについて教えてもらい、興味を持ったという。
「フラワーレッスンのような対面教室は、先生と合わなかったらおそらく生徒さんはやめてしまう。だからレッスン内容はもちろんですが、先生が魅力的かどうかは教室を選ぶ時の大きなポイントになると思うんです」
生徒一人ひとりに心を込めて向き合えるように自分を磨き、高めたい——。それが今回の応募動機だった。
資格取得を目指す連続コースには現在20人ほどの生徒がいて、SNSなどをきっかけに教室を訪れる人も多いという。「今後はもっと生徒さんを増やしていきたい。そして、いつか47都道府県を巡って教えてみたい」と實松さん。
實松さんが参加するRISE with SHOP SMALLの支援プログラムBでは、2カ月に渡って先輩経営者や専門家らメンターからアドバイスを受けることができる。「皆さんに私の教室を客観的に見ていただいて、内面の声も表現できるような奥行きのある自己表現を身につけたい」と意欲を示す實松さん。
福岡のフラワーデザインスタジオの講師に繰り返し言われた「教えるためには、学ぶことをやめてはいけません。学び続けなさい」という言葉は、實松さんの大切な指針になっている。
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自らの根を深く、力強くするために。
フラワー講師、デザイナーとして着実に実績を積み重ねている實松さんに、自分の好きなこと、得意なことを仕事にするために大切だと思うことを聞いてみた。
「皆さん、それぞれ得意なことがあると思います。私も好きなこと、得意なことをずっと続けてきて、いまがあります。学び続けて貫き通すと自分らしさが加わって形になっていきます。だから、自分にとって大事だと思うことを信じてやり続けてみてください。見つかるものがきっとあると思います」
もちろん、思いの強さだけでは事業がうまくいかないこともある。そんな時、家族のサポートも重要だと實松さんは感じている。消防士の夫は、家事や3人の子どもの世話を積極的に手伝ってくれるそうだ。
“チェ”はオランダ語で親しみを込めて赤ちゃんや恋人を呼ぶ時に使う「〇〇ちゃん」のような接語。教室名のノーチェは、長女の名前に“チェ”をつけたものだという。
「私の周りでも小さなお子さんがいるから踏み出せないという話をよく聞きます。育児に専念中の友だちからは『そんなにバリバリ仕事して、家族は大丈夫?』と言われたこともありましたが、子どもの存在がエネルギーになってくれたのかなと思うんです。家族の事情はそれぞれなので一概には言えませんが、私の場合は、もし子育てが落ち着いてからスタートしていたらここまでできなかった、とも思います。そして、家族が手伝ってくれたからここまで続けられた。サポートしてくれる家族には本当に感謝しています」
折に触れて“ありがとう”と感謝の言葉を口にし、家族を思いやることも自分の好きなことを続けるためには必要なこと、と實松さんは言う。そんな實松さんが自分らしく働き、暮らす上で大事にしている“美学”とは?
「もともと自分が何をしたかったのか、何を伝えたいのか、立ち戻れる軸を持つことが大事ではないかと思います。私にとって、お花はそのためのツールであって、常にその根底にあるものを確かめながら、自分の表現や暮らし、仕事について考えていきたいと思っています」
幸せに働き、暮らすためにも自分を深く知りたいと話す實松さん。植物も力強く張った根がなければ、美しい花は咲かない。自分の中にある“根”をさらに深く、力強くしたいと願う實松さんをRISE with SHOP SMALLがサポートする。
實松千晶(さねまつ・ちあき)
佐賀県佐賀市生まれ。2003年オランダ留学の際、生花店でアルバイトしたことをきっかけに花への興味を深める。帰国後、生花店でのアルバイト、保育士などの職を経て、結婚。唐津市に移り住み、14年にノーチェ設立。ジャパンアーティフィシャルフラワーデザイン協会(JAFD)の認定講師のほか数々の資格やコースを修了。佐賀を拠点に商業施設やホテルでの空間装飾、レンタルフラワー事業の立ち上げなど、意欲的に活動の場を広げている。RISE with SHOP SMALLプログラムBに参加。
https://noutje.shopinfo.jp/
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【動画】枯れない花の奥深い魅力を伝えたい。佐賀・唐津のフラワー教室。
photography&movie: Mirei Sakaki text: Mitsuko Iwai