「『白髪を隠すな』って風潮が強すぎない?」60代のモデルが投げかけた疑問。

Society & Business 2022.12.03

60代のモデル、キャロリーヌ・イダ・ウルスが高齢者の不可視性に抗議するメッセージを込めたファッションショーに参加。老い、年齢差別、美について話を聞いた。

 

 

リサイクル素材で作られたウェディングドレスに身を包んだキャロリーヌ・イダ・ウルスは、観客の喝采を浴び、満面に笑みを浮かべて熱烈なダンスを踊りながら、ショーのラストを飾った。10月27日にパリ市庁舎に集まった観衆も興奮に包まれた。若者と高齢者(最年長は今年101歳を迎える)が手をつないで、華やかな服を身にまとってランウェイを歩く。スローガンは、「大胆さに年齢はない」「花は枯れても、私たちは枯れない」あるいは「高齢だからとおばあさん扱いしないで」。世代の異なる人たちが協力して作り上げたこのショーは、非営利団体「Petits Frères des Pauvres(貧者の兄弟)とニベアが共同で企画したイベント。高齢者の身体に光を当て、老いに対するまなざしを変えることが狙いだ。年齢差別との闘いをアピールする今回のショーの立役者でもあるキャロリーヌにショーの後で話を聞いた。

――今回のショーに参加することはあなたにとってどんな意味を持っていたのでしょうか?

キャロリーヌ・イダ・ウルス 50歳以上の女性たちの不可視性と年齢差別に抗議するために活動を始めてほぼ5年になります。非営利団体Petits Frères des Pauvresからこの企画に協力してほしいと依頼を受けたとき、私はすぐに「ウイ」と返事をしました。私の活動の方向性にぴったり重なる企画だったからです。このイベントを通して、若い人たちが自分の将来を思い描き、歳を取ることは美しい、チャンスなのだと思うようになるでしょう。それから、ファッション界にとってもこれが前例となれば、本当に素晴らしいです!

――自分の年齢を受け入れ、より一層自分に自信を持つために、女性たちにどんなアドバイスを送りますか?

思い切ってやってみること!大胆さがなかったら、今晩私はここにはいなかったと思います。社会は女性たちに完璧さの基準を押し付けます。すらりとした体型や、若さ至上主義…。でも、どんな女性もその人なりの美しさを持っているのです。

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――コスメティック業界の「アンチエイジング」という言葉についてはどう思いますか?

完全に時代遅れです!言ってみれば、そうした製品は私たちに歳をとらせまいとしている。皺は美しい。私は感動します。顔に皺が刻まれた人には歴史があります。それに「アンチ」という言葉にはネガティブな響きがあります。でも、繰り返しますが、歳を取ることはチャンスなのです。コスメブランドはそのことを理解しなければなりません。たとえそれがブランドにとって大きな挑戦であっても。この点では、アメリカの美容ブランドはすでに先を行っていて、「プロ・エイジ」とか「ウェル・エイジング」という言い方をしています。少しずつ、動き始めていると思いますし、セレブたちもようやく声を上げ始めた。また、「更年期」という言葉もタブーとみなされていますが、これもおかしい。いまは2022年なのです。前進するべきです!

――老いをどう捉えていますか?

私は健康上の大きなアクシデントに遭遇したことがあり、助かったのは奇跡です。ですから私はその瞬間、瞬間を楽しもうとしています。いま、私たちが生きている騒々しい世界では、未来の自分の姿を思い描くのは難しい。だからいまこの瞬間を楽しみましょう。また、50歳を過ぎると、大きな出来事に見舞われることが多い。更年期や子どもたちの独立。仕事を失ったり、病気になることもあります。それに対して、私たちは必ずしも準備ができているわけではありません。ただ、それを受け入れればいいのです。感謝の気持ちを持って、人生に「ありがとう」と言えばいい。また、若い人たちと年長者たちが互いに手を差し伸べ合うことが必要です。若い人たちが歳を取ることへの恐れを持たなくなるように。

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――白髪を受け入れるまでの経緯は?

白髪を受け入れられたのはごく最近、ほんの4年前です。それも自分自身の意思からではなく、髪が抜けてしまったからです。それからは特に手を加えないことにしました。でも、それまではずっと白髪と闘ってきました。自分の頭に一本でも白髪を見つけると、耐えられませんでした。ただ、最近、白髪を受け入れることが新たな押し付けになっている気がします。50歳以上の女性がファッションショーに出演するには、美しくて長い真っ白な髪でないといけないような感じです。ひとつの「こうあるべき」を取り払って、別の「こうあるべき」を作り出しているようなもの。ショート、ロング、ピンク、ブルー、グリーン…。誰でも自分のヘアを自由に選択していい。誰もがその人独自のアイデンティティを持っているのですから。

――自分自身に満足して生きるために、何か役立つ美容のコツはありますか?

朝、目が覚めたら、鏡を見て大きな笑顔を作ること。それから「あなたのことが大好き」と言うことです! 顔のマッサージもしましょう。とても気持ちがいいし、肌にもいい。マッサージはコラーゲンを活性化させます。身体もマッサージしましょう。自分の身体に再コネクトすることが必要です。誰しも身体のことは忘れがちですから。

Text: Victoria Hidoussi(madame figaro.fr)

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