未来の出産はこうなる? 衝撃の「人工子宮」施設構想。
Society & Business 2023.01.13
文/宮田華子
@hashemalghailiofficialchannel – YouTubeのキャプチャ画像
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バイオテクノロジストで科学コミュニケーター、映像制作者でもあるハシェム・アルガイリ(ドイツ・ベルリン在住)が人工子宮のコンセプト「エクトライフ(EctoLife)」を公開した。Mirror等多数メディアで報道され、話題となっている。
リアルな画像と動画は多くの人の目をくぎ付けにし、「この施設は既に現実なの!?」と思った人もいたほどだ。
ズラリと並ぶ人工子宮の光景に衝撃が走る。@hashemalghailiofficialchannel – YouTubeのキャプチャ画像
これはアルガイリが発案した再生可能エネルギーによる人工子宮施設「エクトライフ」構想をビジュアル化したCGだ。現在このような施設が実在しているわけではないが、プレスリリースの中で、理論的には「感染症のない環境の施設内で年間最大3万人の赤ちゃんを誕生させることが可能」と記述している。
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「赤ちゃん生産工場」に見えるが…。@hashemalghailiofficialchannel – YouTubeのキャプチャ画像
成長ポッド(人工子宮)は2つの「バイオリアクター」と接続している。1つは人工へその緒を経由して胎児に栄養素と酸素を供給し、もう1つは胎児が排出する老廃物を取り込む。老廃物はリサイクルされ、再び栄養素として利用される。施設は太陽光発電と風力発電からなるクリーンな再生可能エネルギーで稼働し、停電の心配もない。
胎児には心拍、体温、血圧、呼吸数、酸素飽和度などを計測するモニターが装着されており、身体に異常が見つかった場合もレポートされる。発育状況がリアルタイムでデータ表示され、このデータはスマホアプリに転送可能。親は胎児の発育を高解像度の映像で見ることができる。また成長ポッドに接続されたワイヤレス・ハプティックスーツを使用すると、胎児の動きさえも感じることができるという。十分に胎児が成長した段階でボタンを押し、出産完了となる。
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羊水を排出した後、ポッドをあけて「出産」。@hashemalghailiofficialchannel – YouTubeのキャプチャ画像
「エクトライフ」構想は生命倫理の観点から物議を醸す点は多いが、「エリートパッケージ」もその1つだ。「CRISPR-Cas 9遺伝子編集ツール」を使用し、人工子宮に移植する前段階の胚に遺伝子操作する。赤ちゃんの目の色、髪の色、肌の色、体力、身長、知能指数などをカスタマイズできるだけでなく、遺伝性疾患を修正することさえも可能だ。このパッケージを利用すれば、健康で知能の高い人間を自在に生み出せるという。
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人口減少の解決策に?
アルガイリによると、エクトライフは「安全で痛みのない方法で、ストレスのない出産を提供するもの」であり、実現すれば早産や帝王切開、分娩時の合併症は過去のものとなる。そして日本、ブルガリア、韓国など、深刻な人口減少に悩む国々にとっての解決策になると言う。
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【動画】8分40秒の長編動画「エクトライフ」の全容