環境のためには、肉を食べるのをやめるべき?

Society & Business 2023.04.03

いまフランスで「肉の消費は控えた方がいい」という意見をめぐり、議論が巻き起こっている。環境への影響、アニマル・ウェルフェアの尊重、製品の品質……肉の消費量を減らす理由はいくつもある。この大きなシフトを推進する動きの争点をまとめたフランス「マダム・フィガロ」の記事を紹介しよう。

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肉を食べる量は減らすべきなのか?photography: Getty Images

フランスのブラッスリ―の定番メニューであるステーキとフライドポテトはもう時代遅れ? このテーマはメディアを大いに沸かせ、フランスの伝統行事である親戚が集まる日曜の食事会でも白熱の議論が交わされるほどだ。ヴィーガンのティーンエージャーと肉食の叔父さんに挟まれて、落ち着いてランチを楽しむこともできやしない……そんな声が聞こえてきそうだ。

双方を和解させるのは難しいとしても、まず、このテーマの争点について考えてみよう。個人が排出する温室効果ガス、つまりカーボンフットプリントの30%は食事に関連するのだから。

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カーボンフットプリントを減らす。

フランス人の一人当たりのカーボンフットプリントの中で、の要因と比べ物にならないほど大きな割合を占めるのが動物性たんぱく質だ。原因は「集約畜産業」。エネルギー面においても、生育に必要な土地面積においても、輸入に頼る餌においても、すべてにおいて二酸化炭素(温室効果ガス)を大量に排出するのが集約的な畜産だ。

これについては、明確な数字が示されている——1kgの野菜を生産するために発生する二酸化炭素の量は大体1kgであるのに対し、豚肉1kgの場合は3倍の二酸化炭素、同量の牛肉の場合は20kgの二酸化炭素が発生する。

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乳製品は?

畜産業におけるカーボンフットプリントは肉の生産だけではない。バター、牛乳、チーズなどの乳製品の生産も大きく関与しているのだ。1kgのチーズを生産するのに5kgの二酸化炭素が排出され、これは同量の豚肉の生産より多い数字だ。2023年、私たちはラクレットを控えるべきなのだろう!

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消費量を抑える。

肉の消費量を減らすのは環境への影響の観点からして道理にかなっている。フランスの「気候に関する市民会議(Convention citoyenne pour le climat)」において、最初に取り上げられた提案だった。フランスの農業・食料省によると、フランス人は年間で平均80kg、すなわち一日200g以上の肉を食べている。この量ならば、完全に菜食にならなくとも、少しくらい肉の量を減らすのはそこまで難しくはなさそうだ。

グルノーブルの研究者が2019年に提案し、500人の著名人が支持したムーブメント“緑の月曜日”の目的がまさにそれだった。すなわち週に一日、動物性のタンパク質を植物性のものに変えることだ。Science誌で発表された最近の研究によると、すべての食事を100%地産地消にするより、環境に良い影響を与えられるそうだ。

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正しい選択をする。

食べる頻度を減らすと、より高品質の肉を買えるようになる。フランスの場合、青白赤でフランスの国土の絵が描かれ、”Viande et œufs de France”と記されたラベルが貼ってあるものがあるが、これを最低限のラインにしたいところだ。このラベルは家畜の生産、飼育、屠殺、解体、加工のすべてがフランス国内で行われたことを示している。

理想を言えばもう少し環境に配慮して飼育されたものを選びたい。輸入された大豆などではなく地産の餌を与えることによって、地域で多種の作物の栽培が促進される畜産方法だ。これによって、景観保全だけでなくローカル経済の発展を含めて、生産地を総合的に支援することができる。

近くに持続可能な飼育をしている畜産農家がない場合、可能な限り精肉店でビオ(オーガニック)やLabel Rouge(赤ラベル)のものを選びたい。価格は高くなるが、肉の質は上がり、生産者の生活は向上し、そしてカーボンフットプリントも抑えることができる。

*すべての数値は『Le Monde sans fin』(Jean-Marc Jancovici et Jean-Michel Blain著,  2021年Dargaud 社より出版)を参照。

text: Caroline Revol-Maurel (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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