仏経済学者の提案で話題になった「家事未分担罪」って?

Society & Business 2023.06.20

フランス世論研究所の調査によると、フランスの経済学者でエコロジストのサンドリーヌ・ルソーが提唱した「家事未分担罪」の案はそれほど“奇抜”ではないようだ。フランスのマダム・フィガロのリポート。

230613-dividehousework-01.jpg調査によると、女性の57%が家庭で「パートナーより多くの家事」を担っている。photography: Getty Images

彼女の提案は各方面で嘲笑をもって受け止められていた。フランスの経済学者のサンドリーヌ・ルソーは、昨年3月、情報サイト「Madmoizelle」がTwitchで配信したライブ番組に出演。一般家庭における「家事未分担罪」の制定を提唱し、配偶者が家事負担の平等に違反した場合に告訴できるようにすべきだと訴えた。エコロジストの大統領候補予備選にも出馬したルソーは、法的手段を取れるようにすることで女性の精神的負担を軽減したいと述べている。同氏によれば、女性は男性よりも、週平均8時間近く多い時間を家事に費やしているという。「私生活は政治だと私は考えている」と語った上で、彼女は次のように続ける。「女性たちに本当の意味で(家事)分担の平等を達成するための手段を提供しない限り、達成は不可能です」。この提唱は多くのネットユーザーたちから完全に「的外れ」、「奇抜」などと酷評されていた。

しかし、フランス世論研究所と消費者向け商品情報サイト「Consolab(コンソラブ)」が共同で行った調査では、正反対ともいえる結果が出た。2022年3月28~31日の期間に1992人を対象に実施された調査は、家事労働における不公平という、カップルの間に確実に存在する現実を明らかにしている。この点について、調査は、女性の57%が「パートナーより家事を多く」行っていると回答(男性ではわずか16%)。特に女性の負担として、アイロンかけ、トイレ掃除、寝具のメンテナンス、ホコリ掃除、料理、買い物が挙げられている。家事の不平等という社会問題がカップルの破局の原因となると考える女性は16%近くに上る。

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理論から実践へ。

そのような状況だけに、サンドリーヌ・ルソーの提案を受けて、女性の50%が家事不分担罪の新設に同意するという結果となった。男性も44%が賛成と答えている。賛成の割合は30歳以下ではかなり高く、女性の62%が法律の制定に賛成と回答。賛成派が39%にとどまった65歳以上の世代に比べて、22ポイント高くなっている。ただし、アイデアとして理屈の上では支持されているものの、実際に行動に移すかどうかは複雑だ。事実、本当にパートナーを告訴する気があると回答した女性は14%に過ぎない。

とはいえ、社会のなかで人々の意識が大きく変化していることも今回の調査で明らかになった。女性の57%が自分の方が家事を多く行っていると回答しているのに対して男性は16%に過ぎず、家事の大部分を担っているのはいまだに女性たちだが、以前に比べて男性が家事に積極的に関与するようになったと認める女性たちも多い。自分の両親と比較したときに、自分のパートナーは自分の父親より「多く」家事を行っていると回答した人は女性の56%で、少ないと回答した女性はわずか10%だった。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)

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