スウェーデン代表女子サッカーチーム、前回のワールドカップで「性器を見せるよう強要された」と告白。

Society & Business 2023.08.15

スウェーデンの元女子サッカー選手、ニラ・フィッシャーが6月9日に上梓した著書『Jag sa inte ens hälften(半分も言っていない)』では、2011年にドイツで開催された女子ワールドカップの際、スウェーデン代表メンバーが「性器」検査された体験が語られている。

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アイルランド戦での勝利を喜ぶスウェーデンの女子サッカー選手たち。(ダブリン、2021年10月21日)photography: Michael Campanella / Getty Images

スウェーデンの元女子サッカー代表選手のニラ・フィッシャーがこれまでの半生を振り返った本を出版した。ドイツで開催された2011女子ワールドカップの裏話も明かしている。それによると、大会前の健康診断で、彼女を含めたチーム全員が「性器」検査を受けたという。目的は正真正銘の女性であることを証明するため。検査は事前に通告され、医師のチェック前にこの部分の毛を剃ることも禁じられたそうだ。

本ではこんなふうに書かれている。「剃ってはいけない理由を誰も理解できなかったが言われた通りにした。頭の中では疑問が渦巻いていた。どうしてこんなことになったのだろう。どうしてこんなことをやらされるのか。他に方法はないのだろうか。拒否すべきなのか、と。同時に、誰もがワールドカップ出場の機会を逃したくなかった。だからこの忌々しいことをやるしかなかった。どれだけばかばかしく、屈辱的であっても」

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噂がきっかけに

6月15日、スウェーデンの新聞「アフトンブラーデット」の取材に応じたニラ・フィッシャーは当時の状況をさらに説明した。「不安はなかったが、それにしても非常に奇妙で大変困惑する状況だった。なにをすべきか理解したのでウェアのズボンも下着もすぐに下ろした。医師と理学療法士が確認の上、検査結果を文書に記録すると、隣室で待つ次の選手の検査に移った」と言うと、「こうしてチームの選手全員が検査を受け、言い換えれば性器を見せてようやく、チームドクターはスウェーデン女子サッカー代表チームが女性のみで構成されていることを証明することができた」

この措置が取られたのは、赤道ギニア代表チームに何名かの男性が紛れこんでいるのではないかという噂が流れたことがきっかけだった。2023年6月15日の英「ガーディアン」紙が報じているように当時、同チームに対する苦情の申し立てがあり、これを受けてFIFA(国際サッカー連盟)は性別判定ポリシーを大会に先立って見直し、新ルールを発表した。「各国のサッカー協会とチームドクターは、選手の性別を確認する重要な責任がある。(中略)各国協会においては代表チームの選出に先立ち、第二次性徴からのいかなる逸脱も検出するように努めることで全メンバーの正しい性別を確認する責任がある」

2001年以来、スウェーデン代表として194試合に出場しているニラ・フィッシャーは、こうした予防措置の重要性を軽んじているわけではなく、やり方を疑問視したにすぎない。たとえば口腔粘膜採取法による判定などの代替手段を用いることもできたはずであることは「ガーディアン」紙も指摘している。いずれにせよニラ・フィッシャーの本の内容に関してFIFAは「ニラ・フィッシャーが2011年女子ワールドカップでスウェーデン代表チームが受けた性別検証テストと彼女の体験について最近述べたことに留意した」と述べるにとどまった。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)

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