新たにフランス首相に任命されたガブリエル・アタル、その素顔とは?

Society & Business 2024.01.11

国立視聴覚研究所(INA)は、フランスの新首相が9歳の頃、演劇に打ち込む映像を公開した。

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ガブリエル・アタル仏新首相。(トゥーロン、2022年6月30日) photography: Getty Images

ついに明らかになった。2024年1月9日、フランスの新首相に任命されたのはガブリエル・アタルだ。一躍注目の人となり、あちこちで経歴が紹介されている。根っからのマクロン派だが、ずっと政治家を目指してきたわけではない。子どもの頃の夢は「有名な俳優」だった。

今回、INAが公開したのは、1998年11月に制作されたフランス3TVパリ/イル・ド・フランス支局によるルポルタージュ番組だ。9歳半のガブリエル・アタルは、パリ6区にある私立校エコール・アルザシエンヌの生徒として登場する。芸術を重視するこの名門校の教育は後にフランスの国民教育大臣、やがて首相となるアタルに決定的な影響を与えた。カメラの前で少年のガブリエルは語る。「父は映画業界で働いています。有名な俳優になりたければ、まず演劇を学ばなければと言われました」。

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いとこたちも羨む環境

物心ついたときから映画が身近にあった。父イヴ・アタルは、ペドロ・アルモドバル監督の『ハイヒール』(1991年)、ロベルト・ベニーニ監督の『ロベルト・ベニーニのMr.モンスター』(1994年)、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『魅せられて』(1996年)といった名作を手がけた映画プロデューサーだ。ガブリエルは母校で演劇の手ほどきを受けた。INAが公開した映像では、人前で堂々と話す才能の片鱗を見せている。ガブリエルは、モリエールの劇『恋は医者』の利己的な登場人物、スガナレルのセリフを口にすると、「一昨年は『長靴をはいた猫』で猫役を演じました。昨年は(モリエールの)『飛び医者』で医者になりました」と言い、恵まれた環境にいることを語った。「学校の様子を話すと、いとこたちから羨ましがられます」。

思春期を迎えてもガブリエル・アタルはショービジネス界に興味があったようだ。2008年、クリストフ・オノレ監督、レア・セドゥ主演の映画『美しいひと』にエキストラとして出演している。フランスアンテール国営ラジオ局の記事で本人のインスタグラムのストーリーが紹介されていた。それによれば、「18歳で半ば偶然にも、このクリストフ・オノレの映画に出た。ギャラのおかげでスクーターが買えた」そうだ。もっとも彼の映画人生はここで終わりを告げる。ガブリエル・アタルは俳優ではなく政治家を志し、エリート校のパリ政治学院で学んだ後、パンテオン・アサス大学(通称パリ第2大学)で法学を修めた。その後は前例のないスピード出世を遂げ、34歳にして、エリザベット・ボルヌの後任として、第五共和制史上最年少の首相に就任した。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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