ミス日本に選ばれたウクライナ出身の女性をめぐる論争、フランスのメディアでも話題に。
Society & Business 2024.01.27
26歳の椎野カロリーナは、1月22日、ミス日本に選ばれた。しかし、この栄冠は議論を引き起こした。理由は、彼女は帰化しているものの、ウクライナ出身だからだ。
2024年1月22日(月)は、日出ずる国日本では忘れられない日となった。帰化した女性が初めて栄えあるミス日本の栄冠に輝いたからである。日本ではアイデンティティの概念が依然として議論の的であるため、椎野カロリーナの栄冠は賛否を呼んでいる。彼女の勝利が今日の論争を引き起こしているのは、ある人にとっては日本人のメンタリティの大きな変化を意味し、またある人にとっては完全な異常事態を意味するからである。もう少し詳しく見てみよう。
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ウクライナから日本へ
ウクライナ東部の町テルノピルで生まれた椎野カロリーナは、わずか5歳の時に両親(ともにウクライナ人)とともに来日した。日本の地で長い年月を過ごしたにもかかわらず、彼女が帰化したのは2022年、24歳のときだった。「人種的な壁があり、日本人として認められるのは難しいことでした。この大会で日本人として認められたことで、感謝の気持ちでいっぱいです」と、椎野カロリーナは優勝後に語った。
日本では、椎野カロリーナの勝利に対する反応が分かれている。この若い女性の受賞によって日本が現代に即したものになると考える「モダニスト」がいる一方、彼女が日本人の親の子ではないという事実に異議を唱える激しい保守派もいる。彼らによれば、新しいミス日本は「真の日本人ではなく、国を代表すべきではない」との立場をとっている。不可避の論争に備えて、一般社団法人 ミス日本協会 理事ミス日本コンテスト大会委員長の和田あい氏は、1月24日にBBCに対して椎野カロリーナは「全幅の信頼を得て選ばれました」と述べ、彼女が日本語や国の慣習を完璧に理解しているため、彼女は「私たちよりも日本人だと感じました」とさえ言い切った。
ミス日本の選挙でアイデンティティの問題がクローズアップされたのは今回が初めてではない。2015年、(アフリカ系アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた)宮本エリアナがコンテストに優勝した際、彼女に対する誹謗中傷や侮辱が大量に出回った。一部のネットユーザーは、彼女を英語の「ハーフ」から派生した日本語、「ハーフ」と表現した。「彼女は半分しか日本人ではない」として、「純血ではない」と断じるものだった。
その1年後、インド出身の日本人女性、吉川プリアンカがミス日本2016に選出され、中傷などの侮辱を受けた。
この日本におけるアイデンティティの論争は、保守主義と一部の国民の「近代化」への欲求とが衝突する日本の両義性と二面性を明らかにしている。初の帰化したミス日本として、椎名カロリーナは今日、日出ずる国のメンタリティの重要な進歩のシンボルとなっているが、彼女の受賞に関しては、未だ熱い論争が続いている。
text: Amandine Richard (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi