国内外が注目する「フェムテック フェス!」をリポート。

Society & Business 2024.02.19

月経妊娠更年期をはじめ女性特有の健康課題に対して、テクノロジーを用いたプロダクトやサービスでアプローチする「フェムテック」。その関連のプロダクトやサービスが集まる世界最大級のイベント「Femtech Fes(フェムテック フェス)!」が2月9日〜11日、東京都港区の六本木アカデミーヒルズで開かれた。

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フェムテック市場のいまを「氷山」にたとえてキュレーションした今回のイベントには、「フェムテック」という言葉の生みの親で、生理周期管理アプリ「Clue」の共同創業者であるイダ・ティン(左)が初来日。彼女の起業の物語と、フェルマータ代表Amina(右)との対談の様子は、近日madameFIGARO.jpにて公開予定。

フェムテックという言葉がまだ日本で普及していなかった2019年、世界中のフェムテック製品に実際に触れられる場所を日本でつくりたいと、BWA Award 2021の受賞者でもあるフェルマータのAminaが仲間とともに始めた本イベント。4回目となる今年は、フェルマータをはじめさまざまなメンバーからなる実行委員会が主催し、日本を含む世界23カ国5地域から、女性の健康課題を解決する200以上のアイテムやサービスが集結した。

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日本だけでなく海外24企業44人のフェムテック起業家も集結した。

会場には、フェムテック市場の"いま"を「氷山」にたとえた2つのエリアが出現。「エリア1: 世界を切り拓く氷山の一角」では、実際に国内でいま手にとれる商品やサービスを開発する60社のブースが集まった。

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扱いやすいようにさまざまな工夫が施された月経カップや吸水ショーツ、女性の膣内環境を改善するサプリのほか、特別なセンサーを使って骨盤底筋群を鍛えるサービスや更年期と眠りの関係に注目した最新の研究結果なども展示された。直接購入できるものもあり、来場者がそれぞれの企業の事業責任者や開発担当者と熱心に話し込む姿も見られた。

取り出しやすいように持ち手部分に工夫が施された月経カップを展開する「KANON」

BWAコミュニティに名を連なる「明日 わたしは柿の木にのぼる」とパラマウントベッドによる更年期と睡眠の研究結果も展示された。

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「エリア2: 深い海をのぞいてみたら」では、フェムテックの市場の始まりから現在の日本・海外市場を取り巻く「ルール」の課題が、データや法律を紐解きながら紹介された。

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フェムテックの歴史や市場の状況、課題などを丁寧に解説するパネルとさまざまなプロダクトや商品が展示されたエリア2。2023年にノーベル経済学賞を受賞したクラウディア・ゴールディン(『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』の著者)にインスパイアされたキュレーションも。

まだ日本で体験できない世界のフェムテックプロダクトの展示もあり、なかには「生理の貧困」へのアプローチのひとつとなるトイレットペーパー状の生理用品や、視覚障がいを持つ方が経血とおりものを判別しやすいようにするデバイスなどもあり、訪れた人たちの関心を引いた。

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更年期についての最新の研究や、デバイスなどが展示されているスペースも。

コロナ禍中に開かれた前回のイベントで、来場者からの「イベントで感じたことをすぐにアウトプットできる機会がほしい」という声をもとに設置されたワークショップスペースでは、「特定の職業で ニーズがありそうなフェムテックを考えてみよう」「次世代へ繋げたい願いを書いてみよう」など9つのテーマに沿って、来場者が思い思いに自分の気持ちや考えを表現していた。

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3日間にわたるセミナーでは、さまざまなゲストを招いたトークセッションも。「日本の最新フェムテック市場」 「更年期と睡眠」「世界と日本の生理事情」「子どもと性」などのテーマに沿って、起業家や医師、タレントなどの登壇者が多方面からディスカッションを行い、会場は熱気に満ちあふれた。

初日に「フェムテック」の言葉の生みの親で、生理周期管理アプリ「Clue」を共同創業したイダ・ティンと対談したAminaは、「フェムテック、という言葉が一般の消費者にこんなに受け入れらているのは、日本の特徴だと思う。フェムテック商品を使ったユーザーの新たな課題が起業家に伝わり、課題解決に繋がる新たな商品やサービスがまた生み出される、そんな循環をこれからもつくっていきたい」と話した。

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3日間合計で過去最多となる5000人以上の来場者があった今回のイベント。自分の身体を深く知り、自分の人生を切り拓くきっかけをつくるフェムテックのムーブメントから、ますます目が離せない。

photography: courtesy of fermata

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