パリオリンピック、授乳中の選手は選手村の滞在を強要されないことが決定。

Society & Business 2024.02.28

柔道家のクラリス・アグベニューは、フランスオリンピック委員会に対し、大会期間中、娘と一緒にいることを許可するよう要請していた。委員会はこれに同意した。

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柔道家のクラリス・アグベニューは東京大会でオリンピックチャンピオンに輝いた。(2021年7月27日)photography: Getty Images

トップレベルのスポーツと母親業を両立させることは、時に障害物コースのようになる。とりわけ幼い子どもがいて母乳育児をしている場合は、困難な戦いだ。2024年パリオリンピックの出場資格を持ち、2022年6月に生まれた女児の母でもある柔道家のクラリス・アグベニューは、このことをよく理解している。畳の女王として知られる彼女は、ふたつのオリンピック金メダルと8つの世界選手権メダルを獲得し、柔道の種目で最もタイトルを持つアスリートのひとりだ。彼女はフランスオリンピック委員会に特例を申請し、具体的には大会期間中に娘を連れていくことができるようにとの許可を求めた。

選手村では子どもは寝泊まりできないというルールが存在することを忘れてはならない。フランスオリンピック委員会(CNOSF)の事務総長であるアストリッド・ギヤールが、「子どもたちも日中、選手村に招待されることはあるが、一般的に"招待パス"は非常に制限されており、多くの場合、医療スタッフやスポーツ関係者に限られる」と述べたとAFP通信は伝えている。

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ホテル・プレイエルの客室

2024年2月26日、ついにクラリス・アグベニューの願いは叶った。サン=ドニのオリンピック村からわずか数百メートルの場所にあるホテル・プレイエルでは、授乳中の母親に客室を提供することが決定した。アストリッド・ギヤールは、これについて、「その目的は、競技者がバランスを取るための最良の条件を提供し、父親を含めて子育てに配慮すること」と記者会見で説明した。

オープンを間近に控えたホテルには「100平方メートルのファミリーエリア」も設けられ、親は年齢に関係なく子どもと一緒に過ごすことができる。この計画は、オリンピック村が2024年7月18日にオープンするときに開始される。「これは初めての試みであり、パリ五輪だからといって泡沫に終わらないよう、持続可能なものにしたい」と、選手委員会会長でもあるアストリッド・ガイヤールは主張した。

当面、この計画全体を組織しているフランスオリンピック委員会にとって「4万ユーロ(約652万円)」のコストとなるが、最終的にどれだけの選手が影響を受けることになるのかは正確にはわかっていない。フランスパラリンピック委員会のマリ・アメリ・ル・ファー会長は、「選手村を離れることは、オリンピックの中心地を離れることでもあるため、これらは例外的な措置である」と指摘する。

パラリンピックでは、このシステムはまったく同じではない。長い間計画されていた通り、アスリートたちはクラブ・フランス内で家族と会うことが可能だ。1歳未満の子どもの親は、パスを利用して昼間に村で子どもたちと会うことができ、特に母親が授乳を希望する場合、パラリンピック委員会はホテルの宿泊のリクエストを検討する。

text: Ségolène Forgar avec AFP (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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