憲法に中絶の権利を採用したフランスの様子は?

Society & Business 2024.03.06

フランス議会は憲法に人工妊娠中絶の権利を明記することを780対72の賛成多数で承認した。この歴史的瞬間にフランスは、中絶権を憲法に明記する最初の国となった。

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トロカデロ広場で、中絶の権利が憲法に明記されたことを喜ぶ集会参加者たち。photography: ABACA

2024年3月4日、フランスで女性たちの権利が公に認められた。エッフェル塔の近くにパブリックビューイングが設置され、憲法に人工妊娠中絶の権利を記載する是非を問う議会の採決状況を巨大スクリーンがライブで追う。賛成780票、反対72票。圧勝だ。賛成多数の結果を受けてパリの街角ではすぐに喜びの声が広がり、多くの人々がビヨンセの「ラン・ザ・ワールド(ガールズ)」の曲を歌い踊った。議会が開かれていたヴェルサイユ宮殿の会場にも拍手が鳴り響いた。市民と政治家が同じ方向を向いたのは本当に久しぶりのことだ。なんと感動的な瞬間だろう。

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2024年3月4日、パリのトロカデロ広場で喜ぶ人々。photography: ABACA

「鉄の貴婦人」、エッフェル塔を正面にしたトロカデロ広場では多くの女性が世界が根底から覆る瞬間を目撃した。彼女たちが掲げるプラカードや体のあちこちに様々なスローガンが書かれている。「永遠に自由」、「中絶は権利」、「私の身体、私の選択」等々。フランスでは49年前、当時の厚生大臣シモーヌ・ヴェイユが人工妊娠中絶の合法化を通称ヴェイユ法で実現した。そして今日、人工妊娠中絶を憲法に明記した最初の国となった。この "歴史的 "な出来事は、多くの外国紙でも取り上げられた。「フランス、人工妊娠中絶の権利を憲法に明記」とニューヨーク・タイムズ紙が報じた記事には、「Cocorico! (フランス万歳!)」と書き込んだクララ・ルチアーニらフランスのセレブをはじめとする多数の人々がコメントを寄せた。

マドリードの「エル・パイス」紙は、「フランスは世界で初めて、人工妊娠中絶の自由を憲法に明記し、中絶の自由を擁護した」と報じた。イタリアの「コリエーレ・デラ・セラ」紙は、「フランスで人工妊娠中絶は憲法で守られる権利となった。世界中の女性に対する約束だ」と述べ、ドイツの「ディ・ヴェルト」紙は「近い将来も遠い将来も、フランス女性から望まない妊娠を解消する権利を奪うことは誰もできない」と熱く語った。一方、米国の「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は今回の出来事のバックグラウンドとして、2022年にアメリカの最高裁が、かつて女性の中絶権の合憲性を認めた「ロー対ウェイド」判決を覆し、州法で中絶を禁止できるようになったこと、これをきっかけにマクロン仏大統領は逆に、人工妊娠中絶の権利を憲法に明記する方向に進んだことを紹介した。

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この日、多くの団体がパリの街頭で集会を開いた。性的暴行やレイプの被害者を支援する「Maison des Femmes(メゾン・デ・ファム)」や、女性への暴力と闘う「Fondation des Femmes(フォンダシオン・デ・ファム)」も参加していた。これらの団体のXやインスタグラムへは、勝利に酔いしれるコメントが多数書き込まれた。「自国をこれほど誇りに思ったことはない」、「フェミニストはフランスの誇り」、「歴史的で壮大な出来事。フランスは集団的知性の好例だ!」といったコメントが並んだ。

 

1月以来マクロン政権の首相を務めるガブリエル・アタルは、ヴェルサイユ宮殿での議会開会の際、「我々は非合法な人工妊娠中絶で苦しんだすべての女性に対して精神的な借りがある」と語った。首相はシモーヌ・ヴェイルの息子のひとり、ジャン・ヴェイルを伴っていた。一方、フランス国民議会(下院に相当するフランス国会の議院)初の女性議会議長であるヤエル・ブロン=ピヴェは堂々とこう宣言した。「フランスの女性たちへ、私たちは決して後退しません。世界の女性たちへ、私たちはあなた方を支援し、共に歩みます」

 

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)

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