日本と新興国を繋ぐIT人材育成ブートキャンプで、誰もが未来を選択できる社会を。【BWAピッチコンテスト2024受賞者:角田弥央】
Society & Business 2024.11.29
起業を通じてより良い社会を目指す女性のためのビジネスコンテスト、BWAピッチコンテスト2024が今年7月、東京ミッドタウン八重洲のポットラック ヤエスで開かれた。
「思いを言葉に」をテーマに3回目の開催。今年は全国から120件の応募があり、BWA事務局による選考を通過した7組のファイナリストが、それぞれ5分間のピッチを実施。審査員、観覧者の審査で選ばれた3つのアワード受賞者のそれぞれの思いを紹介する。
【イベントリポート】BWA Pitch Contest 2024 より良い未来のために、思いを言葉に。
Professional Award
事業性が期待でき、社会課題の解決に繋がるビジネスに贈られる。
株式会社ダラジャパン
角田弥央(Mio Tsunoda)
新興国の若者に雇用を。社会課題の原点は"家族"。
学生時代、新興国で絶対的貧困の実態を目にした角田弥央は、自分に貢献できることはないかと考えた。日本に留学中だったタンザニア人女性と語り合ううちに、アフリカの社会課題解決のためのビジネスを志す。
「若者の失業率が高いアフリカで、埋もれている若者の能力を引き上げ、産業インフラを変え、貧困に苦しむ人々の生活を改善したい、とイマニハッキング・ブートキャンプを立ち上げました」
事業内容はITによる人材育成、就業支援だが、ソフトスキルとして"三方良し"の考え方や5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)といった日本のビジネス倫理を取り入れている。「ITの技術だけでなく、生活改善を実現する武器を身に付けてほしいのです」
宗教をはじめ、異文化でのコミュニケーションには苦労も多いが、そんな時に角田を支えてくれるのがタンザニアの家族だ。「この国はとにかく家族ファースト。生活の主軸は家族です。彼らと一緒に暮らしていくなかで、現地の本当の課題が見えてくる。社会課題の解決という大きな目標は、いつしか"家族のために"という身近な目標と合致するようになりました」
---fadeinpager---
Q1. 事業を立ち上げたきっかけは?
薬学を学んでいた学生時代に世界35カ国を訪れ、日本という恵まれた環境で育った自分に貢献できることはないだろうかと考えました。はじめはタンザニアと日本を行き来して事業を展開しようと思っていましたが、現地で国際結婚して家族の協力を得ることができ、タンザニアでの活動が主流になりました。
Q2. 受賞を受けて、今後の目標は?
当日はオンラインでタンザニアからの参加となりましたが、まさか受賞できるとは思っていませんでした。事業含め大変なことが続いたタイミングだったのですが、賞をいただいて、まだまだ頑張れるというエネルギーをもらえました。私からも会場の皆さんに熱量を届けられていたらうれしいです。
Q3. 働くうえで大切にしている"美学"は?
ひとことで言えば「信念」です。イマニはスワヒリ語で信念を表す言葉。東京に生まれ育った私ですが、アフリカの人たちに貢献したいという信念を持ってビジネスを続けています。信念を曲げずに進めば、ソーシャルインパクトは大きくなる。成し遂げるべき信念をいつも心に持ち続けています。
フィガロジャポンが大切にしている、自分の感性や美学で何気ない日常を楽しむ「アールドゥヴィーヴル」という価値観をもとに、日本の女性の働き方、そしてライフスタイルをもっと多様に、豊かにしたいと、2021年から始まったプロジェクト。下記の3つの活動を軸に展開中。
昨年開催したBWA Award 2023は「新しい選択肢を創り出す女性たち」をテーマに、俳優で起業家の小林涼子をはじめ、5人のロールモデルを選出。
■BWA Award
「こうあるべき」にとらわれない自分らしい働き方、ライフスタイルを通して、社会に良いインパクトを与える女性を有識者審査員とフィガロジャポン編集部が表彰。2024年は「新しいスタンダードを創る女性たち」をテーマに、次世代のロールモデルを選出し、2025年1月号(11/20発売)にて発表予定。
■BWA Pitch Contest
日常の課題にアプローチし、美しく豊かな暮らしと社会をもたらすビジネスアイデアを募集する、2022年からスタートしたビジネスコンテスト。事業規模ではなく、各人の起業の物語にフォーカス。受賞者のビジネスの発信をフィガロジャポンがサポート。23年は8組のファイナリストから4組が受賞。
■Seminar & Workshop
毎月1回開かれる定例オンラインセミナーでは、より良い明日を目指して多様な働き方を実践するロールモデルの活動や、豊かに働くためのティップスを紹介。登壇者と視聴者がともに考え、学び合い、応援し合えるコミュニティの構築を目指す。「フィガロマルシェ」と連動したイベントも随時開催。
*「フィガロジャポン」2024年10月号より抜粋
【関連記事:BWAピッチコンテスト2024 受賞者紹介】
見知らぬ家族と旅に出るコミュニティ旅行で、大人も青春を楽しめる世界を。
家庭に眠る宝を生かす、台東区から広がる創造的リユースプロジェクト。
text: Junko Kubodera