家庭に眠る宝を生かす、台東区から広がる創造的リユースプロジェクト。【BWAピッチコンテスト2024受賞者:小島幸代】
Society & Business 2024.11.29
起業を通じてより良い社会を目指す女性のためのビジネスコンテスト、BWAピッチコンテスト2024が今年7月、東京ミッドタウン八重洲のポットラック ヤエスで開かれた。
「思いを言葉に」をテーマに3回目の開催。今年は全国から120件の応募があり、BWA事務局による選考を通過した7組のファイナリストが、それぞれ5分間のピッチを実施。審査員、観覧者の審査で選ばれた3つのアワード受賞者のそれぞれの思いを紹介する。
【イベントリポート】BWA Pitch Contest 2024 より良い未来のために、思いを言葉に。
Dream Award
思いやビジョンに共感でき、社会課題の解決に繋がりそうなビジネスに贈られる。
株式会社リンネ
小島幸代(Sachiyo Kojima)
資源循環や社会課題を共有する創造的なコミュニティハブ。
家庭に眠る不用品を、工夫し、デザインして価値あるものに変える「クリエイティブリユース」。小島幸代は、この考えを日本で広めたいと、全国から集まった不用品を使って皆で楽しく手作りする場を創っている。「寄付されたモノは、日本の女性が家庭の中でさまざまな思いを込めて作ってきた手芸の材料が中心。そこには胸が温かくなるメッセージが添えられています」
これまでクリエイターとビジネスを繋げるコンサルティング事業を手がけてきたが、起業家を支援するうち、自分も社会課題を解決する事業をしたいと思い始めた。6年前にDIYやスモールビジネスが盛んなポートランドを訪れ、古いモノを生かす取り組みにヒントを見つけた。「子どもの頃は妄想を膨らませて自由に遊んでいたのに、正解を求められる大人社会で、私たちは自信をなくしています」
素材に触れてモノを作ることで想像力やひらめきが生まれる、と小島。お酒を飲みながらモノづくりが体験できるリネンバー(東京都台東区)は、資源循環や社会課題を皆で語り合えるコミュニティハブとしての役割も担っている。
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Q1. 事業を立ち上げたきっかけは?
薬学を学んでいた学生時代に世界35カ国を訪れ、日本という恵まれた環境で育った自分に貢献できることはないだろうかと考えました。はじめはタンザニアと日本を行き来して事業を展開しようと思っていましたが、現地で国際結婚して家族の協力を得ることができ、タンザニアでの活動が主流になりました。
Q2. 受賞を受けて、今後の目標は?
私の事業は、生活者視点に立って「すべての人にはモノを作る力がある」という気付きを与え、後押しすること。この事業を通してたくさんの人の思いを受け取っていますが、ピッチで発表したことであらためて可視化されたように思いました。今後は資源循環のためのマーケットプレイスを創りたいと思っています。
Q3. 働くうえで大切にしている"美学"は?
ひとりで成し遂げられることは少ないということ。アイデアを独占せず、どうしたら周りの人にも利益をもたらすかを考えています。従来のビジネスやマネーゲームのシステムで置き去りにされた心を取り戻したい。日本古来の「もったいない」精神を大切に、人を幸せにするノウハウを見つけたいです。
フィガロジャポンが大切にしている、自分の感性や美学で何気ない日常を楽しむ「アールドゥヴィーヴル」という価値観をもとに、日本の女性の働き方、そしてライフスタイルをもっと多様に、豊かにしたいと、2021年から始まったプロジェクト。下記の3つの活動を軸に展開中。
昨年開催したBWA Award 2023は「新しい選択肢を創り出す女性たち」をテーマに、俳優で起業家の小林涼子をはじめ、5人のロールモデルを選出。
■BWA Award
「こうあるべき」にとらわれない自分らしい働き方、ライフスタイルを通して、社会に良いインパクトを与える女性を有識者審査員とフィガロジャポン編集部が表彰。2024年は「新しいスタンダードを創る女性たち」をテーマに、次世代のロールモデルを選出し、2025年1月号(11/20発売)にて発表予定。
■BWA Pitch Contest
日常の課題にアプローチし、美しく豊かな暮らしと社会をもたらすビジネスアイデアを募集する、2022年からスタートしたビジネスコンテスト。事業規模ではなく、各人の起業の物語にフォーカス。受賞者のビジネスの発信をフィガロジャポンがサポート。23年は8組のファイナリストから4組が受賞。
■Seminar & Workshop
毎月1回開かれる定例オンラインセミナーでは、より良い明日を目指して多様な働き方を実践するロールモデルの活動や、豊かに働くためのティップスを紹介。登壇者と視聴者がともに考え、学び合い、応援し合えるコミュニティの構築を目指す。「フィガロマルシェ」と連動したイベントも随時開催。
*「フィガロジャポン」2024年10月号より抜粋
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portrait: Mirei Sakaki text: Junko Kubodera