胸騒ぎの、シチリアワイン。 #03 シチリアのプレミアムワイン、プラネタが生まれた場所。

Travel 2017.06.29

現在シチリア島内に6つのワイナリーを展開するプラネタ家はブドウ栽培においては300年の歴史があります。同家の末裔で、いとこ同士にあたるフランチェスカ、サンテイ、アレッシオの3人がシチリアでプレミアムワインを造ることを夢見て従来の土着品種に加え、シャルドネ、メルローなど国際品種のブドウを新たな方法で栽培し始めたのは1985年のこと。場所は、西部サンブーカ・ディ・シチリアにある先祖伝来の畑でした。

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サンブーカ・ディ・シチリアのブドウ畑。

シチリアの多様性を表現するワイン。

10年後、ここのシャルドネで造られた、果実味満点で力強い白ワインが世界的な評価を得てブレイク。複数の赤ワインアイテムもそのあとに続いて、プラネタは一気にスターワイナリーの座につきます。そして、ほかのいくつかの造り手とともにシチリアワイン全体のイメージと価値を引き上げていくのです。当時のプラネタのワインは、果実味が際立ち、パンチがあって、まるでカリフォルニアのワインのようでした。それが時流に合っていたのです。

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シチリア南東端に近いノートのワイナリーにて。暑い初夏の日中も、風が吹いて木陰は涼しい。

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石切場を利用した屋外テイスティング会場に立つ、アレッシオ・プラネタさん。石灰質の土壌であることがよくわかります。

「ここ15年ほどの間にわれわれは大きく方針を転換しています」と語るのはアレッシオ・プラネタさん。シチリアワイン界の重鎮のひとりになったいまもプラネタの醸造責任者を務めています。「シチリア固有の品種に軸足を移し、また島内に6つのワイナリーを持つことで、シチリアの特徴である多様性を表現したいと考えているのです」
現在のプラネタのワインはいずれも力強さよりも透明感のある果実味、ミネラル感、伸びやかさがよく出た、緻密な印象のワインになっています。 

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コメータはフィアーノ種で造られる白ワイン。トロピカルフルーツの香りに、ハーブやナッツの香りが奥行きを与える。ヨードのトーンもあり、甲殻類に好適。

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プラネタがエトナ山麓に所有するワイナリーからの眺望。

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ノートのワイナリーで出されたランチ。シチリアの料理はトマトや豆など野菜をベースにしたものが多い。

>>かつての「安ブドウ」が極上のワインに!?

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かつての「安ブドウ」が極上のワインに!?

南東部ノートにあるワイナリーを訪ねました。98年にプラネタが新たに進出した土地です。真っ白な畑の土が強烈な日差しを照り返して、目を開けていられないような眩しさです。
「この石灰質土壌がブドウにフレッシュ感と塩っぽさを与えるんですよ」とアレッシオさんが説明します。ここで栽培されているのはシチリアの赤ワイン用固有品種ネロ・ダーヴォラ。

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ノートのブドウ畑。印象的な真っ白な土壌がここのワインに個性を与える。

「1970年代までは、他の産地のワインにアルコールや色味を添加するためにバルク売りされる安ブドウという汚名を着せられていました。が、実はこのブドウから造るワインは風格とエレガンスを兼ね備えたすばらしいワインになるのです。そのことをぜひ証明したいと思いました。いまではシチリアのほぼ全体で栽培されているネロ・ダーヴォラですが、もともとはこの地方のアヴォラという町がホーム。この土地の土壌と乾燥した気候がいちばん合っているのです」

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ノートからほど近いアヴォラの海辺。

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サンタ・チェチリアはプラネタが南東部ノートのワイナリーでネロ・ダーヴォラ種を用いて造る赤。ブルーベリー、チェリーなどの香り。適度な熟成感。

このブドウで造られる「サンタ・チェチリア2011」を飲ませてもらいました。よく熟れたチェリーやブルーベリーの香りにスパイスとハーブのトーンが交じります。口の中では濃縮感はありながらもなお瑞々しい印象。ほのかな塩味が感じられ、肉料理にはもちろん、シチリア特産のケイパーやオリーブ、トマト(ノートのすぐ南にあるパキーノは真っ赤で味の濃いトマトの産地として有名)を使ったサラダや煮込み料理にもよく合いそうです。
一時は冷遇されていたブドウがポテンシャルを見出され、本来の輝きを放ったワインを前に、感慨もひとしおでした。

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シチリア西部のメンフィには、ブドウ畑を見晴らすプラネタのワイン・リゾート、ラ・フォレステリアがあります。ランチのみの訪問も可能。詳細は、下記のサイトから。
http://planeta.it/la-foresteria/

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texte:YASUYUKI UKITA, photos:PANDA YOSHIDA, collaboration:Assovini Sicilia

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