ル・コルビュジエ建築とデザインを巡る、サン・テティエンヌの旅。 #03 パリから足を延ばして魅惑のスイーツ&レストラン巡り。

Travel 2017.12.13

ヴェイスのチョコレートのアトリエでおいしく遊ぶ。

2017年にやっと日本に上陸したチョコレートの「ヴェイス(Weiss)」。その名前にスイスのメゾンと思う人もいるようだけど、サン・テティエンヌに1882年に創業された老舗である。といっても、街の一番乗りではない。ユージェンヌ・ヴェイスが街に店を構えた時、すでに25名のショコラティエがいたのだ。サン・テティエンヌはいまがデザインシティなら、この時代はチョコレート・シティ。それは1827年に早くも鉄道が走っていたおかげで、カカオ豆の入手が可能で、かつカカオのみならず、砂糖、バニラといったチョコレート作りに必要な原料の通関が簡単な土地だったからだ。工業地帯なので製造機械が発達し、さらに炭鉱街ゆえに鉱夫の妻たちがチョコレート工場で必要な手仕事を行い……と、ショコラティエのための環境がサン・テティエンヌには整っていたのである。

171208_IMG_5277.jpgIMG_5111.jpg

ヴェイスのアトリエ。駅を挟み、街の中心部と反対側の少し離れた場所にある。街の中心部からはタクシーで10分くらい。

IMG_5115_resized.jpg

アトリエ・ブティックに入る前に、サン・テティエンヌがいかにチョコレート・シティとして栄えたかをわかりやすく説明しているイラスト付きパネルをチェック。

では、大勢ライバルがいる中で、いかにユージェンヌ・ヴェイスがサン・テティエンヌを代表するショコラティエとなったのだろう? アルザスでワイン造りをしていた親を真似て、彼はアッサンブラージュのアイデアをチョコレート作りに活用し、カカオ豆をブレンドした高級チョコレートを作ることで、ほかのショコラティエに大きな差をつけたのである。現在、ヴェイスが使用するカカオの原産地は9カ国。ガーナ、エクアドル、ドミニカ共和国……そして珍しいことにベトナム産も! ベトナムでは2008年にカカオが植林された。ハイクオリティで、軽やかで、パウダリー、そして少々酸味があるという味の特徴を持つ。ヴェイスでは各国のカカオの個性に合わせて焙煎をし、その後、味や流動性を考えてブレンドしているそうだ。

IMG_5189.jpgIMG_5120.jpg

原料のカカオ豆と、商品のチョコレートのボンボン。現在ボンボンの基本は60種あり、クリスマスやイースターなど限定の味は30種くらい。

IMG_0384_resized.jpg

無料見学コンコースに展示されている昔のパッケージ。1912年は優しい小花柄、1920年代はアールデコ……とスタイルが変われど、フェミニンでポエティックなボックスは創業者がロマンティックな男性だったゆえ。

このようにヴェイスではカカオ豆に始まり、パッケージされるまで、すべてをメゾン内で行っている。これは創業当時もいまも変わらないことだが、1907年につくられた駅前の工場は手狭になったため、サン・テティエンヌの郊外に引っ越しをした。ここはヴェイスの商品がすべて揃ったブティック、ランチもとれるティールームが併設されているだけでなく、アトリエの見学により、そのサヴォアフェール(ノウハウ)の秘密に触れられるのだ。ガイド付きのアトリエ見学(4.50ユーロ)に参加して、チョコレート作りの工程を見て回れば、機械より手作業の多いことに驚かされるだろう。

171208_IMG_5173.jpgIMG_5135.jpg

ヴェイスのアトリエに併設されたブティック。アトリエの入り口は上階にあり、見学者は左脇の白いスロープを使って移動する。なお入り口に至るコンコースには、チョコレートやヴェイスにまつわる無料の展示が。ヴェイスのパッケージを美しく仕上げるサン・テティエンヌのリボンについても学べる。

IMG_5235.jpgIMG_5262.jpg

ブティックスペースで販売されているチョコレートは多数。選ぶのに時間がかかりそう。

IMG_5214.jpgIMG_5229-のコピー.jpg

ガイド付きのアトリエ見学は30分〜1時間。開催は火曜から金曜の9時30分から15時30分、土曜の11時〜16時。カカオ豆から商品となるまでを説明を聞きながら見学。ボンボンの上の飾りや模様付けといった手作業も、このアトリエで7つの技法で行われている。

タブレットチョコレート作りの体験アトリエ(20ユーロ)というのも、ユニークで面白い。プラスチックの枠にタブレットのベースとなるチョコレートを流し入れることから始め、ナッツやオレンジピールなど用意された12種のトッピングから色や食感を考えて3種を選び、タブレットチョコレートを飾るという作業をする。 サン・テティエンヌがデザインの街であることから、ヴェイスでも味にこだわるだけでなく、チョコレートのデザイン、そしてパッケージングのデザインを意識している。

この体験タブレットのベースは、シテ・デュ・デザインにあるサン・テティエンヌ高等美術学校の学生による、食感などを考慮した遊び心のあるデザインを採用。このタブレットのデザインは、フランスの優れた企業やデザイナーの才能に光をあてる賞「オブセルヴール・ド・デザイン」の優秀賞のひとつに選ばれている。こうして自分だけのカスタマイズ・タブレットを手にし、味わえるというのは、ちょっとした喜びでは?  

IMG_5147.jpgIMG_5152.jpg

 

タブレットのカスタマイズに挑戦! ダーク、ミルク、ホワイトの3種からベースを選び、チョコレート型に流し込む。その後、希望の3種のトッピングを絵を描くように並べ、オリジナル・チョコレートを製作。

tablet_resized.jpg

タブレットのカスタマイズの仕上がり例。プラスチックケース入りなので、持ち帰りに困ることはない。©Studio Caterin

ブティックの充実ぶりは語るまでもないだろう。60種のボンボン、スペシャリティのヌガモンディーヌ、そして多種のタブレットチョコレート、ナポリタン……。パトリック・ロジェをはじめ、ヴェイスはパティシエたちが加工に使うチョコレートベースでも評価が高い。こうした製菓用チョコレートもここで入手できる。

IMG_5133.jpgIMG_5836.jpg

カラフルなパッケージのチョコレートが並ぶ光景は書棚のよう。20世紀初頭に生まれたヴェイスの傑作と讃えられるヌガモンディーヌは、中のプラリネを味わう前にまず周囲のヌガティーヌのカリッという食感を楽しむ。箱入り、あるいは量り売りで販売されている。

171208_IMG_5131.jpgIMG_5127.jpg

カフェのお伴にいまや不可欠なひと口サイズのチョコレート、ナポリタン。最近は紅茶に合うタイプも生まれた。製菓コーナーはブティックの奥にある。

IMG_5259.jpg171208_IMG_5251-c.jpg

見るからにおいしそうなチョコチップクッキー、チョコレート・ボンボンを添えたカフェ・グルマン……せっかくアトリエまで足を運んだのだから、ぜひここでティータイムを。

MENU-SENSATION-CHEF2ETOILES-CHRISTOPHE-ROURE-ATELIERS-WEISS-ST-ETIENNE%40Marion-Dubanchet---Studio-a%27Graf.jpg

ミシュラン2ツ星のシェフ、クリストフ・ルールがレストランのメニューを考案した。前菜+メインデザートで約17ユーロ ©Marion Dubanchet - Studio a'Graf

アトリエ・ヴェイス
Les Ateliers Weiss

1, rue Eugène Weiss
42000 Saint-Etienne
tel: +33 06 38 30 78 58
営)ブティック、カフェ・レストラン:9時〜19時
アトリエ見学(要予約):9時30分〜15時30分(火〜金)、11時〜16時(土)
休)日、祝

アトリエまで行く時間がないなら、市内中心部のブティックで買い物をしよう。タブレット、ナポリタン、ヌガモンディーヌ……アトリエに負けず、種類は豊富である。

171208_IMG_5558c.jpgIMG_5564.jpg 

ウィンドーディスプレーに誘われて店内に入ると、ユージェンヌ・ヴェイスの肖像画に迎えられる。

IMG_5569.jpg171208_IMG_5573.jpg

カラフルなパッケージが映えるモダンでシンプルなインテリアだ。チョコレートで包んだアーモンド、レモンコンフィ……小さな缶入りなのでお土産に重宝しそう。

ヴェイス・サン・テティエンヌ・サントル(市内中心部のブティック)
Boutique Weiss Saint-Etienne Centre
8, rue du Général Foy
42100 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 21 61 09
営)10時〜19時(月) 9時〜19時(火〜土)
休)日

>>サン・テティエンヌの街中のスイーツも気になる。

---page---

サン・テティエンヌの街中のスイーツも気になる。

サン・テティエンヌと同じ地方にあり、そう遠くないロアンヌで1948年に創業した「ラ・メゾン・プラリュ(La Maison Pralus)」。M.O.F.のオーギュスト・プラリュが生み出し、彼の名前を世界的に有名にした傑作は、ピンク色のプラリネがバターたっぷりのブリオッシュのあちこちから顔を覗かせるプラリュリンヌである。1988年に息子のフランソワがオーギュストのあとを継ぎ、メゾンの名前は「フランソワ・プラリュ(François Pralus)」に変わったが、プラリュリンヌの癖になるおいしさは不変だ。パリでは、マレ地区と7区に店があるので(もうじき6区にも!)、その味を知っている人もいることだろう。

IMG_7424.jpgIMG_7427.jpg   

素朴な丸い包みを開けると、プラリュリンヌがおいしそうに顔を出す。小6.50ユーロ、大12.50ユーロ

この春、サン・テティエンヌの中心部にブティックを開いた。併設のアトリエからできたてのプラリュリンヌがウィンドーに並ぶと、次々と売れていく。サイズは大小のふたつ。小といってもけっこうなボリュームに見えるけれど……気がつけばあっという間に食べ終えてしまった、となるはず。フランソワは最初は父のもとで、そしてその後はリヨンのチョコレートの名店ベルナションなどで修業をしたこともあり、「フランソワ・プラリュ」は チョコレートでも知られるメゾンである。

IMG_7353.jpg171208_IMG_0386.jpg       

ミシュレ通りのブティック。左側のアトリエでプラリュリンヌが焼かれている。夕方遅い時間に行くと、売り切れていることもあるので早めの時間に!

IMG_7342-c.jpg

IMG_7339.jpg171208_IMG_7490.jpg

チョコレートだけでなく、ジャムなども販売している。甘党の目を引くのは、レジの脇に並ぶ縦長のオレンジケーキだろう。果汁をたっぷり含んだスポンジの上に、オレンジスライスが飾られて12ユーロと手頃な価格。数日ほど保存が可能だそうだ。

フランソワ・プラリュ
François Pralus
9, rue Michelet
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 30 26 03
営)9時〜19時
休)日
https://www.chocolats-pralus.com

先に紹介したインテリアショップのボド(BØDO)から、フランソワ・プラリュへと向かう途中にあるジョゼ・フラッパ通りに入ると、クラシックな白いカーテンの愛らしさに、つい覗きたくなるティールーム「シェ・マリネット(Chez Marinette)」がある。可愛らしさに吸い込まれるように入ってみると、店の奥まで目を奪われるようなインテリアが続く。
冬の街歩きに疲れたら、レモンケーキやマドレーヌ、そしてヴェイスのショコラ・ショー(ホットチョコレート)で一服するのもいいだろう。サラダ、クラブハウスサンドイッチといった軽食もとれる。

IMG_0387_new.jpgIMG_7310_new.jpg

白いレースのカーテンの合間から店内を覗くと、たくさんのティーポットとクラシックなランプに目を奪われる。

IMG_7325c.jpg

植木鉢の壁紙に空っぽの額縁。自宅のインテリアに盗みたくなるアイデアでは? 2015年度のデザインコンテストの受賞店である。

IMG_7322.jpg171208_IMG_7317c.jpg

どの席に座ろうか……蝶が舞うパネルとグリーンの温室のようなコーナーも奥にある。

シェ・マリネット
Chez Marinette
21, rue José Frappa
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 81 75 49
営)13時30分〜18時30分
休)日、月

>>美食の街を代表する、おすすめレストラン4選。

---page---

美食の街を代表する、おすすめレストラン4選。

サン・テティエンヌは工業の街。でも、お隣は農業を主産業とするオーヴェルニュ地方で、栗で有名なアルデッシュ、レンズ豆で有名なピュイなどが近い。周囲の豊かな土壌から生まれる素材の味わいに恵まれたこの街の人々は、舌が肥えているのだろうか。どのレストランでも新鮮な素材の味わい豊かな食事ができる。

地元の名物料理は?と聞くと、ステファノワ(サン・テティエンヌの住民をこう呼ぶ)からは、必ず 「ラペ・ドゥ・ポム・ドゥ・テール(râpé de pommes de terre)」という答えが返ってくる。ジャガイモの千切りに卵、小麦粉などを混ぜてガレットのように固めて焼いたものだ。これにフロマージュ・ブランのようなサラサンというチーズをのせて食べるのだ。お腹にたまる料理、まさに炭鉱街サン・テティエンヌ時代の名残りである。流行りのおしゃれなレストランのメニューには、まず見つけられない。

IMG_6729.jpgIMG_5636c.jpg

サン・テティエンヌ名物、ラペ・ドゥ・ポム・ドゥ・テール。なお地元のチーズとしては、フルム・ドゥ・モンブリゾンというブルーチーズがある。チーズ店の前を通ったら、チェックしてみよう。

IMG_5780.jpgIMG_6370.jpg

この地ならではの赤ワインのサン・ジョゼフ、白ワインのコンドリユウという名前も覚えておくと、ワイン選びに困った時に役立つはず。

2月の謝肉祭の季節には、リヨンと同じようにサン・テティエンヌでもパン屋さんやお菓子屋さんのウィンドーに甘い粉菓子のビューニュが並ぶ。この時期に行くのなら、気をつけて見て !

おいしいレストランがサン・テティエンヌには多数ある。観光局と公式サイトで入手できる地図の右上には、街の中心部が拡大されていて通りの名前も見つけやすい。この中心部で見つけられる、タイプの異なる4店を以下に紹介しよう。

地元の自然派ワインと素材重視の日替わり料理。
ル・ヴェール・ギャラン(Le Verre Galant)

アンリ4世の別称、ヴェール・ギャラン(粋人の意味)。この店はワインに絡めて、発音は同じだがVertではなくグラスを意味するVerreにスペルを変えて言葉遊びをした店名となっている。
もともとはワイン製造者だったオーナーがワイン販売店を開き、レストランの経営を始め……それが「ル・ヴェール・ギャラン」。コート・デュ・ローヌ、コート・デュ・フォレといった地元のワインや小生産者のワインが専門で、扱うのは化学肥料や農薬を使わない自然派ワインだけ。料理は素材重視ゆえにメニューは日替わりだが、わりとしっかり系の料理が黒板のメニューに並ぶ。気軽な雰囲気の中でアットホームな食事をする、といった感じのワイン・レストランだ。

171208_IMG_5384.jpgIMG_5382.jpg

レストランに入って最初の部屋の左右がワイン販売の棚。ボトルに書かれているのはレストランで消費する時の金額ではなく、販売価格だ。小生産者のワインゆえ、個性的なラベルが見られる。

IMG_5366.jpg171208_IMG_5371.jpg

ランチは前菜が8ユーロ、メインが11ユーロ。セットメニューは前菜+メイン、またはメイン+デザートで14ユーロ。前菜メインデザートなら17ユーロ。日替わりの前菜は、この日はシブレットとパルメザンチーズのスクランブルエッグ、レンズ豆とテット・ドゥ・コション(豚の頭の肉)のサラダ、シャンピニオンのポタージュ。

IMG_5374.jpgIMG_5346.jpg

メインの例。タラのオーブン焼きに、ことこと煮込んだニンジンとポワローネギを添えて。肉料理はジャガイモのグラタンを添えたポークリブのオーブン焼きだ。どちらも、しっかりとしたボリューム。このレストランのパンは、「オー・グリュオ・ロラン(Au Gruau Lorrain)」(20, rue Denis Escoffier)」から。

IMG_5385.jpg

レストランが入っているのは19世紀の建物で、かつてリボン製造のアトリエだった。

ル・ヴェール・ギャラン
Le Verre Galant
6, rue François Gillet
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 37 81 79
営)10時〜19時(火、水、土) 10時〜23時(木、金)
休)日、月

>>人気シェフのクリエイティブな料理は、ランチタイムが狙い目。

---page---

人気シェフのクリエイティブな料理は、ランチタイムが狙い目。
アロマティック(Aromatic)

ル・ヴェール・ギャランの向かいにあり、シェフのピエール・ダレの名前を掲げているのはアロマティック(Aromatic)だ。地元で人気上昇中のシェフによるビストロ・ガストロノミック料理は繊細でクリエイティブ。ランチタイムなら手頃な価格で味わえる。素材の鮮度の高さは文句なしだ。

IMG_6428.jpg171208_IMG_6424.jpg  

高級感を感じさせるシックな外観。レストラン内の色調もグレーでまとめられている。

171208_IMG_6394.jpgIMG_6390.jpg   

前菜より。キノコの濃厚なスープの中に温泉卵とザリガニが隠れている、花弁が鮮やかな一品。あるいは、エビの揚げ物のスイートチリソース添え。メニューを読むだけでは想像のつかない料理は、食卓に話題を提供するおいしいカンバセーション・ピースでは? 

IMG_6396.jpg171208_IMG_6407.jpg  

前菜の香り高い野菜とトマトのコンフィ、パルメザンチーズのサラダ“アロマティック。メインの帆立貝のソテーと豚足のコロッケ、レンズ豆添え。歯ごたえと味わいのある野菜にシェフの素材へのこだわりが感じられる。

171208_IMG_6410.jpgIMG_6425.jpg  

絵画のように美しく盛り付けられたデザートのチョコレートタルト。ランチは前菜+メインが24ユーロ、メインデザートが21ユーロ、前菜メインデザートは28ユーロ

アロマティック
Aromatic
7, rue François Gillet
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 33 20 68
営)12時〜14時(火、水) 12時〜14時、19時30分〜21時30分(木〜土)
休)日、月
http://www.aromatic-pierredaret.fr

>>コストパフォーマンスの高い、美しい料理が自慢のビストロノミー。

---page---

コストパフォーマンスの高い、美しい料理が自慢のビストロノミー。
ランサンス(L’Insens)

2008年に開店して以来、モダンでクオリティの高い料理が愛されているランサンス(L’Insens)。2017年版ミシュランでビブグルマンに選ばれた、コストパフォーマンスの高いビストロノミー・レストランだ。インテリアは静かで落ち着きがあり、料理は味わい深く、食感の楽しみが計算され、そして美しい彩りが目を喜ばせる。センス(感覚)とアンサンセ(突飛)のふたつのフランス語を組み合わせた造語を店名にしたことが納得できるような、シェフのクリエイションだ。

IMG_0388.jpg171208_IMG_5790.jpg    

マキシム・アペールがオーナーシェフのガストロノミー・レストラン。寒い季節、アミューズ・ブーシュは栗!

IMG_5797.jpgIMG_5794.jpg      

前菜のキドニーのケーキ&甲殻類も、ポレンタの野菜タルトも盛り付けがとてもきれい。

IMG_5803.jpg171208_IMG_5807.jpg 

メイン例は、ホウレンソウのソテーとマスのクネル。チーズのフェッセル(フロマージュ・ブラン)もこの店ではカラフルに登場する。

IMG_5811.jpg171208_IMG_5812.jpg 

チョコレートパウダーでお皿に店名を書いた、おちゃめなチョコレートのお菓子。カフェのお伴には、ヴェイスのナポリタンとチョコレートチップクッキー。

IMG_5770.jpgIMG_0379.jpg

茶系でまとめた落ち着きのある店内。前菜+メインデザートまたはチーズで27ユーロ。デザートとチーズの両方なら32ユーロ。ランチタイムは20ユーロ(前菜メインデザートカフェ)のセットメニューあり。

ランサンス
L'Insens
10, rue de Lodi
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 32 34 34
営)12時〜14時、19時30分〜21時15分
休)日、月
http://www.insens-restaurant.fr

>>地元っ子に交じって、遊び心あふれる創作料理と「アプサント」を体験。

---page---

地元っ子にじって、遊び心あふれる創作料理と「アプサント」を体験。
アプサント・カフェ(L’Absinthe Café)

商店街と飲食店が並ぶ歩行者通りの、夜は一段と賑わいを見せるサン・ジャック地区にあるレストラン。エントランススペースがバーになっていて、カウンターの前に大きなテーブルが置かれている。食事のための空間はその奥。ブルーを基調にしたインテリアはかしこまらず、くだけた雰囲気を感じさせる。このカジュアルさも人気のゆえんだろう。
シェフは季節の素材を遊ぶように料理。シェフのインスピレーションを刺激するのはニューヨークやアジア諸国……メニューから、そんな印象を受ける。

IMG_6740.jpg171208_IMG_6749.jpg   

揚げワンタン風や、舟盛りをイメージしたオマール海老と海苔巻き……フランスにいること、サン・テティエンヌにいることを忘れさせる。

IMG_6739_new.jpgIMG_6751_resized.jpg

前菜のイタリア風トリュフの薄焼きタルトは店の名物。デザートにはスフレがあり、これはとってもフレンチ! ランチタイムは、12ユーロ、14ユーロ、16ユーロのセットメニューがある。夜はアラカルト、あるいは3タイプのセットメニュー。

店名に付いているアプサントとは、ニガヨモギなどを原料にした19世紀後半に流行った緑色のリキュールの名前だ。“緑の妖精”などと愛らしく呼ばれていたが、中毒症状を呈する人が続出したため、製造禁止となったのだが、1980年代に解禁された。スプーンのうえに置いた角砂糖を経由して、ウォーター・ドリップの水でリキュールを白濁させるという独特の飲み方をする。このレストランでは、食後にそんな楽しみが待っているのだ。サン・テティエンヌ産の飲み物ではないけれど、ステファノワ(サン・テティエンヌの住民)に交じって、アプサント体験というのも旅の珍しい土産話になるだろう。

171208_IMG_6710.jpgIMG_6785.jpg

アプサント用のウォーター・ドリップ。ポツッ、ポツッと水滴が落ち、スプーンのうえの角砂糖をゆっくりと溶かしてゆく。この穴のあいたアプサント用のスプーンは、いまでも蚤の市などで19世紀の品が見つけられる。

IMG_6717.jpgIMG_0382.jpg

海辺のバカンス地といったイメージの店内。店の前にテラスが広がっていて、夏場はここでグラスを前に盛り上がる人たちの姿が想像できる、そんな寛ぎを感じさせる雰囲気がある。ウロコ模様の舗道はサン・ジャック地区を含め、旧市街にいることの目印だ。

アプサント・カフェ
L’Absinthe Café
23, rue Léon Nautin
42000 Saint-Etienne
tel: +33 04 77 25 06 89
営)10時〜15時、18時〜24時(火〜木) 10時〜翌1時30分(金、土
休)日、月
サン・テティエンヌ観光会議局
Office de Tourisme et des Congrès de Saint-Etienne

サン・テティエンヌ レストラン&ホテルガイドブック
フランス語版はこちら
英語版はこちら

réalisation & photos : MARIKO OMURA

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

清川あさみ、ベルナルドのクラフトマンシップに触れて。
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
2024年春夏バッグ&シューズ
連載-鎌倉ウィークエンダー

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories