鎌倉通に聞く、私的お気に入りアドレス。 #04 コーヒーに雑貨に調味料、鎌倉在住ライターの私的セレクト。

Travel 2018.10.29

海と山が当たり前にあること、空が広いこと、流れる空気がゆっくりなこと。短パンとビーサンでぶらりと散歩すると、道々で友人たちに会えてそのまま飲みに行ったりできるゆるさ。挙げればきりがないほど、鎌倉での時間が好きというフリーライターの赤澤かおりさん。鎌倉にまつわる著書も執筆する赤澤さんが、プライベートでの利用頻度が高い3軒をご紹介。

1. カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ

日曜日だけじゃなく、毎日のコーヒー時間が待ち遠しい!

1994年のオープン以来、小町通りから1本入った半地下のカフェは、いつでも温かな賑わいに満ちている。店舗奥では、ずらりと並んだカップに丁寧なハンドドリップがなされ、若いスタッフがテーブルに香り高いコーヒーを運んでくれる。

01-dimanche-Akasawa-kamakura-181001.jpg

美しく香り高い自家焙煎のコーヒーは、中煎り、中深煎り、深煎り、それぞれタンザニア産、ホンジュラス産、グアテマラ産、エチオピア産などなど、10種以上もの豆から選ぶことができる。コーヒー¥500(おかわり¥300)。そのほか、スペシャリティコーヒー¥650〜や、シーズンのブレンドコーヒーもメニューに加わる。カプチーノ¥550

オーナーの堀内隆志さんは、カフェ界のカリスマとも称されている人。ずっとマスターになりたかったという堀内さんにとって、店を構成しているコーヒーと食事、そして音楽と人はカフェの空気そのものであり、堀内さんの人生の基軸だという。自分の手でコーヒーを送り出したいと、生豆を選ぶところから始まり、焙煎をし、注文を受けてドリップするまで自らの手を使うことにこだわっている。
「オープン当時から足繁く通うカフェで、私の日常になくてはならない店。コーヒーの楽しみ方は20代半ばにここで教わったといっても過言ではないほど、『カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ』の味が身体に沁み込んでいます。これからもずっとあり続けてほしいカフェです」と、赤澤さんもここでの時間を大切にしている。

02-dimanche-Akasawa-kamakura-181001.jpg

一番人気のスイーツは、トッピングを選ぶことができるゴーフル(ワッフル)で、バニラアイスに熱々のキャラメルソースをかける「セー・ベー・エス・ウー」¥720。ランチには特製オムライス「オムレット・オ・リ」¥820や、ブラジルの本格派スープカレー「ムケッカ」¥820も人気。

03-dimanche-Akasawa-kamakura-181001.jpg

いつも穏やかな笑顔でコーヒーを淹れている堀内さんの姿が、「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」の風景のひとつだ。

04-dimanche-Akasawa-kamakura-181001.jpg

店内はいつでも賑わいに満ちている。レジ脇には、量り売りのコーヒー豆の数々とともに、堀内さんセレクトの音楽CDやコーヒー器具を購入することができる。自宅でもコーヒーを楽しんでほしいという、コーヒー愛がいっぱいの店内。

Café Vivement Dimanche
鎌倉市小町2-1-5
tel:0467-23-9952
営)8:00〜19:00
休)木、第2・4水
http://dimanche.shop-pro.jp/

---fadeinpager---

2. ファブリック・キャンプ

オーナーの審美眼で集まった、手から生まれた美しい生地たち。

1年ほど前、鎌倉駅東口の小町大路へと移転した、知る人ぞ知る生地の人気店。ずらりと並ぶ美しいインド布に、手刺繍が施された雑貨の数々、さりげなく吊るされた着心地のよさそうなワンピースには、思わずため息が出てしまう。

01-fubric-camp-Akasawa-kamakura-181001.jpg

光がたっぷりと入る店内。ショップの奥にはミシンもあり、小物などを作っている。デザイン見本から好きな生地を選び、ドレスをオーダーすることも可能。鎌倉在住のお針子さんたちが丁寧に仕上げてくれる美しいドレスは一点ものだ。

「20代の頃からゆるくてカッコイイ、海と山のあるこの街にピッタリとハマる小山千夏さんのセンスにずっと憧れ続けています。いつもここで生地を購入すると同時に、千夏さんとおしゃべりしたり、生地を眺めたりしながら次はあれ作ろう、これも似合うわよと、話しに行くのも楽しみなんです」と言う赤澤さんはこの夏、この店でヴィンテージアロハ生地の展示をしたばかり。
インド産の手織り布や、木版を使ったハンドプリント、インディゴ染めにジャガード織りなど、手仕事から生まれた美しい布たちは、量り売りで購入するもよし、千夏さんがデザインしたカシュクールなどのワンピースをオーダーするもよし、その楽しみ方は無限大。お店ではワークショップなどのイベントも開催されており、センス溢れる布の楽しみ方を教えてくれる場所。

02-fubric-camp-Akasawa-kamakura-181001.jpg

細かな刺繍が施された、インド産のリボンテープ。小物作りやファッションのアクセントに加えたい。50cm¥432〜

03-fubric-camp-Akasawa-kamakura-181001.jpg

縁取りの刺繍が美しいインド産のカンタ¥38,880に、手作りのポーチ¥5,832。ワッペンにも使える飾りもたくさん揃う。大きな鳥¥648、小さな鳥¥324、丸型各¥270、リボン¥540

04-fubric-camp-Akasawa-kamakura-181001.jpg

鎌倉育ちのオーナー小山千夏さんは、葉山カルチャーを育てた「サンライトギャラリー」の立ち上げにも参加。芸術に精通しており、ナチュラルなその人柄にはファンも多い。

Fabric Camp
鎌倉市雪ノ下1-16-23
tel:0467-24-9000
営)10:00〜17:00 
休)木、日
http://fabric-camp.jp

イベント:11月2日(金)〜10日(土)「HUNTER'S BAR + fabric camp with Gururi 」、11月23日(金)〜28日(水)「tissageとrinntohitsuji 」。詳しくはインスタグラム@fabric-campまたはFacebookブログにてご確認を。

---fadeinpager---

3. 三留商店

上質なものがずらりと並ぶ、老舗商店は唯一無二のセレクション。

創業は明治15年。飴屋として開業した店はその後、酒類や食料品を取り扱う商店となり、昭和になって別荘地として栄えたこの地のスーパーマーケット的役割を担う店へと姿を変えていった。先代が“これからは家庭料理を楽しむ時代”と、国内産の良質な加工食材や、醤油、酢、ソースなどの調味料を取り扱うようになったという。さらに、近所に住む作家や料理家、さまざまな著名人たちがこの店に出入りするなかで「あれも置いてほしい、これも扱ってほしい」と、食通たちの声を聞きながら徐々に取り扱い数を増やしていった結果、現在の上質でこだわり抜かれた唯一無二の和洋食材のラインナップになった。

03-mitomeshouten-Akasawa-kamakura-181001.jpg

坂ノ下海岸から御霊神社前を通って、星の井へと続く古道、星の井通りに面した商店。神奈川県の無形民俗文化財にもなっている行事「面掛行列」も、毎年9月に店の前の通りを練り歩く。ワインなどのお酒のセレクションも素晴らしい。

「ほかではなかなか手に入らない調味料が普通に置かれている、貴重な商店です。鎌倉をはじめとする湘南メイドのものも多く揃うので、ハワイに行く時は、ここでお土産を買うことが多いんです」と、赤澤さんも足繁く通う常連客のひとり。
調味料の名品の数々はもちろんだが、若手生産者を応援したいという店主の心意気も感じられるそのセレクションは必見。看板犬の柴犬、空(クウ)ちゃんが出迎えてくれ、ついつい時間を忘れて買い物に夢中になってしまう。

181029_kamakura_sashikae.jpg

輸入調味料から、国内の一風変わった食材までがビッシリと並んだ店内では、新しい調味料の発見の連続。醤油だけで全国の優良銘柄が20種近くも並べられている。

02-mitomeshouten-Akasawa-kamakura-181001.jpg

オリジナルの調味料も人気商品。左奥から、オリジナルの「鎌倉カレー」¥486、スープやごはんにも合う「鎌倉ハーブスパイス」¥810、絶品のピクルスが手軽に作れる「ピクルスビネガー」¥486、薬草を加えフライの味を引き立てる「薬膳ソース」、野菜の旨味を閉じ込めたウスターソース「洋食ソース」各¥540

04-mitomeshouten-Akasawa-kamakura-181001.jpg

レジの近くでは、樽に入った味噌の量り売りがあるなど、昔の商店のよさをいまも引き継いでいる。

Mitome Shoten
鎌倉市坂の下15-21
tel:0467-22-0045
営)9:00〜19:00 
休)火、第3水
www.mitome.jp

【関連記事】
鎌倉通に聞く、私的お気に入りアドレス。INDEX
#01 菓子研究家いがらしろみが選ぶ、鎌倉のおいしい3軒。
#02 岡尾美代子さんおすすめ、鎌倉半径1キロの3軒。
#03 鎌倉のローカル誌編集者が、隠れ家スポットを案内。

赤澤かおり Kaori Akazawa
フリーライター&編集者。出版社勤務を経て、フリーに。主に料理と旅の編集と執筆に携わる。ハワイを旅することと、海の近くで過ごすこと、鎌倉や京都を中心に飲んで、食べる、作ることをライフワークとする。ユーズドのアロハシャツやムームーをワンピースやサーフパンツ、バッグなどにリメイクするブランド「Aloha Tailor of Waikiki」を、布構成作家の丹羽裕美子とともに主宰。今年で12年目を迎える。ハワイに関する著書は現在11作。近著に『Local Hawaii』(京阪神エルマガジン社刊)、『Hawaii Vacation Book』(講談社刊)、『鎌倉 のんで、たべる。』(朝日新聞出版刊)、『本棚の本』(アノニマ・スタジオ刊)など。新刊『HAWAIIAN PRINT BOOK』(ちくま文庫刊)と、赤澤かおり初の選曲とライナーを担当した、70年代ハワイアンミュージック・コンピレーションアルバム『Da Aloha Music Mele Through HAWAIIAN PRINT BOOK』が発売中。

photos : MAYUKO EBINA, réalisation : MIKI SUKA

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
airB
言葉の宝石箱
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories