マカオに登場! ザハ設計のホテルで非日常のステイを。
Travel 2019.01.24
2016年に急逝した建築界の奇才、ザハ・ハディッド。彼女の遺作のひとつとなったのが、巨大カジノホテルが並ぶマカオのコタイ地区に、2018年7月に開業したホテル「Morpheus(モーフィアス)」。鉄筋とガラスが見事な曲線を描く42階建て高さ約160mの高層建築は、「これぞザハ!」と目が離せなくなる斬新さ。中国を象徴する貴石である翡翠の彫刻をイメージしているのだそう。
こんな建築の中に泊まること自体が忘れられない体験になるのはもちろん、ホテルとしても、とても優秀。
ホテル4軒、巨大カジノ、30軒超の飲食施設、ショッピングモール、大規模パフォーマンスシアター、クラブなどが集まる総合リゾート「シティ・オブ・ドリームス」の一部にもなっている。
柔らかいのではと錯覚させられるザハ・ハディッドの建築。全体でエッフェル塔の4倍にあたる2万8000トンの鉄筋と、4万8000㎡のガラスを使用。
ロビーの天井高は35m! 不思議な世界観に圧倒される。ロビーに入っても、その驚きは少しも色あせない。まるでSF映画の世界にいるようで、建物自体が生きているかのような構造の中を、一直線に昇っていくエレベーター。
ロビー階には、セレクトショップもいくつかあり、シティ・オブ・ドリームスのカジノやほかの施設と直接つながっている。
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こんな世界観のホテルのゲストルームとは、どんな奇抜なインテリアなのか。想像を巡らせながら客室に入ると、思いのほかシンプルでスタイリッシュ。インテリアを手がけているのは、グランド ハイアット 東京と同じ、ピーター・レメディオス。ベージュを基調にした、70年代的などこかレトロな感覚もあって、理想の自宅感覚でゆったり寛げる。
全770室。室料は2698MOP~。
まるで吸い込まれるような寝心地の良さが好評のキングサイズベッド。
広々としたバスルーム。
客室のアメニティはエルメス。ダイソンのヘアドライヤーが設置されているのも嬉しい驚き。実は館内トイレのハンドドライヤーもすべてダイソンというのが珍しい。
40階には地上130mにある宿泊者専用屋外温水スイミングプールと、メゾネットになった豪華ヴィラがある。
2階分を使った贅沢なスパ・アット・モーフィアスには、本物の雪を使った「スノー・ガーデン」が設置され、神秘的なムードを漂わせている。アーユルヴェーダをベースにしたトリートメントで知られるオーストラリアのサトル エナジーズ、ティナ・ターナーご用達のアンチエイジングフェイシャルのマージーズ モンテカルロなど、世界的に評価が高くゴージャスなブランドを揃えている。
ヒートファシリティやスノー・ガーデンが癒し空間を彩る。
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モーフィアスの魅力は、この独特の空間に溶け込む個性を持つ、確かな味のレストラン4軒にもある。そのラインナップは、アラン・デュカスによるファインダイニングとビストロという2軒のレストラン、コンテンポラリーチャイニーズの「イー」、ピエール・エルメによるラウンジカフェ。
2018年11月発表のミシュランガイド香港マカオ2018年版で早くも二つ星を獲得したのが、「アラン・デュカス・アット・モーフィアス」。
よりカジュアルなビストロスタイルのフレンチと、アラン・デュカスの系列では初めてアジアの味覚も取り入れた「ボヤージュ・バイ・アラン・デュカス」。
最近、中国料理の最先端が集まり始めているマカオの中でも最注目店になりそうなのが「イー」。メニューは、8品のおまかせディナーコースのみ。香港人とマレーシア人の2人の若手実力派シェフが、技とセンスを結集させて繰り出す美食が評判となり、予約が殺到中だ。
レモングラスを効かせたスモークが美味しさを倍増させる鳩のローストは食通から絶賛の的。
横たわる金色の龍をイメージしたインテリアは、ホテルの世界観とぴったりマッチ。
ロビー階にある、ピエール・エルメ・ラウンジは、食事にもお茶の時間にもオールマイティに使える注目株。スイーツやサンドイッチ、クロワッサンなどの軽食に加えて、朝食には、点心やお粥までこちらでオーダーできる。密かな人気メニューは鉄火丼!
ホテルのデザインにインスパイアされたモーフィアス限定デザート。
可愛らしい盛りつけの鉄火丼。
思い切り先鋭的なスタイルと、居心地がよく、使い勝手の良いホテル空間やサービス。質の割に値頃感もあることから、さっそく満室が続いている。ホテルステイをしっかり楽しめる、マカオの新ランドマークになること、間違いなし。
texte:MIYAKO KAI