坂と階段の町、尾道の楽しみ方 おいしい朝ご飯も魅力の、新たな文化発信地「ログ」。

「新道アパート」という名の集合住宅だった廃墟が、文化発信地としての多目的施設兼宿泊施設として新たに息を吹き込まれた。リノベーションを手がけたのはインドのスタジオ・ムンバイ。車両が入れない坂の中腹にあるため、資材の運搬から施工まで、すべての工程が手作業で行われた。プロジェクトの始動から施設の完成までにかかった歳月は丸4年。たくさんの人の想いが詰まったこの場所で、尾道のいまを見つめたい。

美しい庭に囲まれたL字型の建物には、かつての集合住宅の面影が残されている。1階、2階はカフェやピロティなど、誰でも利用することができる共有スペースで、3階が客室。どの場所にいても、外の光や自然を感じられる開放的な造りだ。

カフェの窓から、尾道の美しい景色が楽しめる。瀬戸田産レモンを使用した「自家製レモネード」￥540、「チーズケーキ」￥518

細川亜衣さんが監修したコース仕立ての朝食。瀬戸内産の小麦粉を使用したクランペットには三良坂フロマージュのチーズをたっぷり削って。スープとサラダ、フルーツは季節のものが楽しめる。

ライブラリーは、スタジオ・ムンバイの代表であるビジョイ・ジェインの書斎をイメージ。

ハタノワタルさんの手漉き和紙が床から天井まで貼られた客室は、まるで繭に包まれているかのような心地よさ。

印象的な内装の色は、イギリスのカラーアーティスト、ムイルネ・ケイト・ディニーンが尾道に滞在して作ったという。114色ものカラーレシピのサンプルが。ギャラリーにはログのプロジェクトの軌跡が展示されている。

※『フィガロジャポン』2019年7月号より抜粋