まだ見ぬ台湾。 豊かな自然と先住民の芸術が共存する、台東へ。

Travel 2019.10.27

台東県を旅する拠点となるのが台東市(タイドン)。住民のおよそ3分の1が原住民という街は、先祖伝来の健やかなアートとふくよかな音楽に彩られている。

台東市

-Taidong-

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20軒以上の果物屋が連なり、フルーツ街を意味する「水果街」と呼ばれる正氣路。

「台湾の発展は北から始まり、東海岸は開発から取り残されてしまった。でも、だからこそ自然と長閑な時間が残った」と教えてくれたのは、「鐡花村(ティエファツン)」を統括する音楽家のヒロさんだった。

「自分が幼かった頃、台東ではどの家も夕食を外でとっていたんだ。お腹がいっぱいになると誰かがギターを爪弾きだす。すると隣の家も、そのまた隣の家もギターに合わせて歌い、楽器を奏でるんだ。豊かな自然と原住民の音楽やアートが共存する場所、それが台東なんだよ」

原住民の文化や伝統に育まれた先祖伝来の審美眼は、生活の中の美学として町のあちこちに息づいている。部族に受け継がれたストーリーを表現した精緻な刺繍やトンボ玉、衣食住を支えるビンロウや月桃のプリミティブな美しさ……。製糖工場跡地にある「東糖文創園區(ドンタンウェンファユェンチュー)」(リンク先に紹介記事あり)や、南島文化をテーマにする「マタ家屋(ジャーウー)」(リンク先に紹介記事あり)に行けば、原住民ならではの「用の美」に出合えるはずだ。

台北のような大都会に期待する「台湾らしさ」は忘れよう。ほかのどことも似ていない、古くて新しい台湾が見えてくるはずだから。

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原住民の音楽発信地「鐡花村」。

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「生活の美学」をテーマに、さまざまな部族のモチーフを合わせた作品を発表する人気アーティスト、プユマ族の米類さん。

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南島文化スタイルを発信する、市内の新名所がここ。

TTstyle原創館

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台東バスターミナルの裏手にある。台東の自然を象徴する海と山のフォルムを表現した外観デザインが目印。

台東県が運営する、台湾原住民を含む南島文化(オーストロネシア系諸族文化)のアンテナショップ。「環太平洋文化圏の起源は台湾にある」という学説を基に、台湾原住民文化の国際的な拠点を目指している。50のコンテナからなる施設には雑貨店から花屋、コーヒー店、カフェまで14店舗が集まり、独自の南島文化スタイルを発信している。お土産探し、カフェでのんびり……さまざまな用途で使える町の新名所だ。

TTstyle原創館(ティーティースタイル ユェンチュァングァン)
TT style Yuanchuang Guan

台東縣台東市新生路105號 
https://ja-jp.facebook.com/Taitungstyle
アクセス:台東バスターミナルから徒歩すぐ

Wow’s邦査(TTstyle原創館内)

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ブランチセット「巨無霸早午餐」(280元)が人気のアミ族オーナーによるカフェ。「パンツァ」とは、彼らの言葉でアミ族自身のことを指す。

Wow’s邦査(ワウズパンツァ)
Wow’s Pangcha

tel:0988-136559 
営)10時30分~22時 
休)木
カード不可 
www.facebook.com/Wowspangcha

咖飛7號舖(TTstyle原創館内)

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台東産コーヒー豆を扱う人気のコーヒー店。12時間かけて抽出するこだわりの水出しコーヒー「冰滴」150元、ブラウニー「布朗尼蛋榚」60元

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のんびり過ごせるテラス席も。

咖飛7號舖(カーフェイチーハオプ )
Ka Fei 7 Hao Pu

tel:0918-626788
営)14時~22時
無休
カード不可
www.facebook.com/cafenumber7

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インタラクティブな展示も楽しい原住民文化の殿堂

國立臺灣史前文化博物館

台湾国内で先史や原住民文化を扱った初めての博物館。館内は台湾自然史、台湾先史時代史、南東民族文化の3つのテーマに分かれており、特に南島民族文化のホールでは台湾全土に存在する全16民族の文化的な特徴を紹介している。ミュージアムショップでは原住民作家の作品やパイワン族のトンボ玉、プユマ族のポンポンなど手頃な工芸品を扱っていて、お土産にも最適だ。

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特別展では、台東に分布する6部族の伝統工芸品をフィーチャー。

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ミュージアムカフェと思えぬほど本格的な郷土料理が充実。日替わりのミックスジュースも美味。「小米阿拜」(スープ付き)250元

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館内のカフェスペース、「南島珈琲部族厨房」は「ダワナ達瓦娜家園」のリリーさんが監修している。

國立臺灣史前文化博物館(グオリータイワンスーチェンウェンファボーウーグァン)
Guoli Taiwan Shiqian Wenhua Bowuguan

台東縣台東市豐田里博物館路1號
tel:089-381166 
営)9時~17時
休)月 
一般80元
カード不可
www.nmp.gov.tw
アクセス:台東バスターミナルから車で約15分

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緑いっぱいで心地よい! 川沿いに佇むオアシス。

德周小館

夜な夜な外国人が集うスポットといえば、川沿いに佇むジャングルのようなこちらのバー。長年、テキサス州オースティンに暮らし、ホテル業に携わってきたジェニファさんが5年前にスタート。開放的なオープンテラスで気軽に飲める雰囲気づくりを心がけているそう。パンダンリーフなど台湾らしい素材を使ったオリジナルドリンクもシーズナルに登場する。

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手前はパンダンリーフのカクテル「グリーン・サム」280元、奥は「モヒート」250元

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メニューはドリンクのみ。食事は持ち込み可能なので好みの軽食を店外で調達しよう。

德周小館(ダージョウシャオグァン)
De Zhou Xiaoguan

台東縣台東市中華路一段889巷51-1號 
tel:089-342756
営)21時~翌1時
休)火 
カード:Ⓜ、Ⓥ
www.facebook.com/TexasAjin
アクセス:台東バスターミナルから徒歩約15分

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個性派書店がカルチャーシーンを牽引。

晃晃二手書店

台東市内で唯一、古本も扱うセレクトブックショップで原住民関連の書籍やアート本、台湾発のジンを多く取り扱っている。カフェ兼ゲストハウスのラウンジとしても機能する店内では、週に3回、トークショーが開催されている。映画監督、音楽家、LGBT問題の研究者など多彩なスピーカーが登壇、台東のカルチャーシーンを賑わしている。自家焙煎のコーヒーを飲みながら、のんびり本を探そう。

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ゲストハウスに宿泊している旅行者がスピーカーとしてトークショーに出演することもあるそう。

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オーナーは猫好きで知られ、店内の書棚には常時、5、6匹の猫が。

晃晃二手書店(ファンファンアーショウシューディェン)
Huanghuang Ershou Shudian

台東縣台東市漢陽南路139-1號
tel:0914-073170 
営)14時~22時
休)火 
カード不可
www.susuguesthouse.com
アクセス:台東バスターミナルから車で約10分

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若手ミュージシャンのパフォーマンスに酔いしれる。

鐡花村

毎夜ライブパフォーマンスが繰り広げられる、台湾の原住民音楽のショウケース。「原住民のミュージシャン、作家に発表の機会を与えたい」と、台湾鉄路旧駅の敷地内に造られた。ステージの周りにはクラフト作家や地元農家の屋台、バーが連なり、まるでフェスのような趣。多くのライブがワンドリンク制で楽しめるという手軽さもうれしい。台北や海外からの有名ゲストが登場することも。

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出演するミュージシャンの7割が原住民。この日はブヌン族のシンガーソングライターによるライブが。

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ツーリストはもちろん、地元民にも人気のスポット。

鐡花村(ティエファツン)
Tie Hua Cun

台東縣台東市新生路135巷26號
tel:089-343393 
営)ショップ:17時~22時 バー:17時~23時30分 ライブ:20時~22時
休)月、火
www.facebook.com/tiehua/timeline
アクセス:台東バスターミナルから徒歩約5分

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地元ならではの食材を使った自慢の洋菓子。

翠安儂法式甜點餐酒館

南仏風にしつらえたホテルの1階にあるパティスリーは、台東いち本格的な洋菓子が食べられると評判。フランスで修業したという女性パティシエは、初鹿のフレッシュミルク、野生のローゼル、台東の名産、紅烏龍茶など台東らしい食材を使って、本場フランスの味わいをアレンジするという。おすすめはフランス産小麦を使い、ふんわりと焼き上げたロールケーキ。濃厚な生クリームが生地のおいしさを引き立てる。

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ホテル1階のレストランでイートインも可能。フレッシュクリームのロールケーキ「原味生乳捲」110元

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ホテルのフロント横にあるパティスリー。

翠安儂法式甜點餐酒館(ツェイアンノンファースーティエンディエンツァンジョウグァン)
Cui an Nong Fashi Tiandian Canjiuguan

台東縣台東市四維路三段152號
tel:089-229971
営)12時~21時
休)月、火
カード:Ⓐ、Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
www.trianon.com.tw 
アクセス:台東バスターミナルから車で約10分。鼎東バス・池上行きなどに乗り、更生四維路口バス停まで約5分、バス停から徒歩5分

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どこも徒歩圏内! 好アクセスのシティホテル。

ザ・ガヤ・ホテル

2017年にオープンしたホテルは市内の中心部というロケーションの良さが人気だ。最上階に市内を一望するプールを備えるほか、完全予約制のスパルームも。館内は「インテリジェンス、音楽、原住民」をテーマに作られており、原住民作家によるアート作品があちこちに。1階のカフェでは台湾を代表する書家、胡フーシン適をフィーチャーしており、敷地内には彼の作品を展示するギャラリースペースを設けている。

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中央山脈と市内を一望するルーフトッププール。毎朝、宿泊客向けにヨガのレッスンを開催する。

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胡適の作品のレプリカを天井に飾った1階カフェ。原住民アーティストのパフォーマンスが行われることも。

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全6室あるスイートの9021号室。素晴らしい眺望を楽しめる。

ザ・ガヤ・ホテル
The Gaya Hotel

台東縣台東市新生路三段169號 
tel:089-611888
全145室
バスタブ付き90室
ファミリールーム(ツイン)7,040元〜、スイートルーム15,480元〜
カード:Ⓐ、Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ 
www.gaya-hotels.com
アクセス:台東バスターミナルから車で約5分

●台東空港から台東バスターミナル(台東轉運站)までバスで約20分、台東駅から台東バスターミナルまでバスで約20分。https://taitung.biz

●1台湾元*=約3円(2019年6月現在) *以下、略称「元」で表記。
●日本から電話をかける場合、台湾の国番号886の後、市外局番の0を取ってダイヤル。台湾内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●地図内の「站」は鉄道の駅を意味します。
●クレジットカードは略記。Ⓐ=AMEX、Ⓓ=DINERS、Ⓙ=JCB、Ⓜ=MASTER、Ⓥ=VISA
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる可能性もあります。特に台湾の祝日や年末年始、2月の旧正月には、営業時間、定休日が変更になる可能性があります。ご了承ください。

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※『フィガロジャポン』2019年8月号より抜粋

photos : AKEMI KUROSAKA, coordination : HIROKO FUJIKASHI, réalisation : RYOKO KURAISHI

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