いま京都でしたい、11のこと。其の2 京の老舗が魅せる、新たな香りの世界へ。
Beauty 2019.01.24
香りを“嗅ぐ”ではなく、味わう・鑑賞するという意で“聞く”と表現する香道の世界。長年受け継がれてきた歴史ある文化ゆえ、特別なイメージが強かったが、いま、京の老舗3軒による新しい試みによって間口が広がりつつある。
喫茶感覚で希少な伽羅を聞く。
聞香処
鳩居堂の新店では、喫茶スタイルで気軽に楽しめる聞香メニューが話題。聞香、一保堂茶舗の煎茶、星付きフレンチによる小菓子がコースのように仕立てられる。初めて聞香をする人におすすめしたいのが、伽羅を試せるコース。香木・沈香の中でも最も高価といわれ希少性が高い伽羅は、深みがあり、繊細で奥ゆかしい香り。聞香は電子香炉を使用し、熱の強弱によって香りのニュアンスが変わる様もおもしろい。大徳寺納豆が練り込まれた特製マカロンの風味との、香りの共演もこの店ならでは。
「香木伽羅」¥1,728。一保堂茶舗の煎茶とレストラン・モトイが作る、大徳寺納豆や紅茶を使用したマカロンが付く。伽羅のほか、「香木沈香」(¥1,080)もある。
店内では香り関係のアイテムのほか、和文具も販売。手前から、はがき各¥86、包装紙の柄をあしらったはがき箱¥2,808
築90年以上の町家を改装し、2018年3月にオープン。
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見て、聞いて、買える、お香ミュージアム。
香老舗 松栄堂 薫習館
1705(宝永2)年創業の松栄堂が今夏、薫習館を京都本店横に併設。巨大なかおりBOXや白檀が展示されたミュージアムスペース、「香りのさんぽ」が見どころだ。桂皮など一般的に知られた素材や、竜脳や藿香といったなじみの薄いものなど、お香の原材料となるさまざまな香りを試すことができる。お線香の作り方、歴史がわかるミニチュアや映像を見ていると、自然と香りの知識や興味が広がる。お気に入りの香りを見つけて、匂い袋やお香を持ち帰りたい。
併設する松栄堂の京都本店では、香りに関するアイテムが購入できる。左から、やわらかな香りの時雨月(20本入り)¥864、3種の香りと数十種の巾着から好みを選んで組み合わせる匂い袋各¥594~
ボックスの中には、それぞれ異なる香りが充満。あえて何の香りかを記載せず、受付に正解の香りを展示。
桂皮などを閉じ込めた香りの柱。ポンプを押すと白いラッパから香りが広がる。
酸味など香りの違いを楽しめるボトル。
こうろうほ しょうえいどう くんじゅうかん
京都市中京区烏丸通二条上ル東側
tel:075-212-5590
営)10時~17時
※京都本店は9時~18時
不定休
www.kunjyukan.jp
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五感を研ぎ澄ます、老舗の聞香サロン。
山田松香木店
200年以上の歴史を誇る山田松香木店。新たな香り文化交流の場を目指し、2018年2月に誕生した聞香サロンで体験できるのは、オリジナルの香りを配合する「調香コース」と、香木の香りに心を傾け鑑賞する「聞香コース」。なかでも人気なのが、香道の世界に気軽に触れられる「聞香実践体験」。香炉の灰を整える支度から、香りの聞き方まで学べ、最後はオリジナルの薬香菓子とお茶をいただける。しだいに五感が研ぎ澄まされ、心が穏やかになる非日常の体験を。
写真はすべて「聞香実践体験」コース¥2,500から。六国(りっこく)の香木から2種の香りを聞くことができ、伽羅と、もう1種は好きな香りを選べる。
お香にも使われるシナモンや八角などを配合した菓子が付く。スパイスの利かせ方が絶妙なフィナンシェ。お茶は一保堂茶舗の抹茶、煎茶、焙じ茶から選べる。
作法にならって香匙で香木を銀葉に載せる。
やまだまつこうぼくてん
京都市上京区室町通下立売上ル勘解由小路町164
tel:075-441-1123
営)10時~17時30分
休)年末年始
www.yamadamatsu.co.jp
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※『フィガロジャポン』12月号より抜粋
photos :SHIN EBISU, EDDY OMURA, réalisation : NATSUKO KONAGAYA