「マスク荒れ」を立て直そう 敏感肌やニキビのマスク荒れ、正しいケアを教えて!
Beauty 2020.12.16
外出時にマスク着用が定着したいま、敏感になったりニキビができたりと、肌トラブルに悩む女性が増加中。そんな「マスク荒れ」について、皮膚科専門医の津田攝子先生と、資生堂グローバルイノベーションセンター菊田雅之研究員に取材を実施。マスク荒れの原因と、正しいお手入れ法を教えていただいた。
お話を伺ったのは……
津田攝子先生
皮膚科専門医 津田クリニック副院長
皮膚科医として多くの女性と向き合い、自らの肌トラブルの経験を生かしたアドバイスに定評がある。25年以上スキンケア開発にも携わり、臨床経験に基づいて開発した化粧品は、数々のベストコスメ賞を受賞している。
津田クリニック www.tsudaclinic.com
菊田雅之
資生堂グローバルイノベーションセンター 研究員
入社以来、スキンケアの処方開発に従事。現在は主に、敏感肌に関係する研究や商品開発を手がける。女性の肌悩みに対するリアルな声や、敏感肌が発生するメカニズムを熟知するエキスパート。
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マスク内は常に「季節の変わり目」と同じ状態だった!?
photo : Amana
春先からの約10カ月、昨年の冬から継続すると約1年――。これだけ長い間マスクを着用し続けるというのは、多くの女性にとって経験のなかったこと。その影響で、敏感肌やニキビなど肌トラブルに悩む女性が増加している。
「資生堂の研究により、マスク内は常に“季節の変わり目”と同じ状態にあるということが判明しました」とは資生堂グローバルイノベーションセンターの研究員、菊田雅之。
「マスク内の温度は、たった5分の間に例えば不織布の一例だと約3.4℃、さまざまなマスクの内外平均値では約7℃も上昇します。さらにマスク内の湿度は、呼吸と同じリズムで小刻みに変動するんです」(菊田)
不織布マスク内の温度変化の一例
資料提供/資生堂
不織布マスク内の湿度変化の一例
資料提供/資生堂
呼吸を繰り返すごとに、湿度は約50~約80%の間を小刻みに変動し、その差は実に約30%。
「これはたった5分の間に、春夏秋冬の湿度変化を小刻みに体験しているのと同じ状態です。このような急激な温度・湿度の変化は、バリア機能の育成に関与する酵素の働きを低下させてしまいます」(菊田)
つまり、マスク着用の習慣が続く限り、バリア機能が低下しやすい状態が続くことになる。
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マスク荒れに悩む人が増加中。特に働く女性は要注意。
「マスク着用が習慣になった春以降、肌トラブルに悩む患者さんが非常に増えています」と語るのは、皮膚科専門医の津田攝子先生。マスク内の高温・高湿環境により、肌のバリア機能は低下しやすくなる。
「マスク内の肌はふやけた状態になり、外部の刺激を受けやすくなっています。この影響で敏感に傾く人もいれば、ニキビが発生する人も。年代に関係なく肌トラブルは増加傾向ですが、特に目立つのが外で働く女性たちです」(津田)
外に出て働く女性はマスク着用が長時間にわたり、マスクの着脱による摩擦や温度・湿度の変化を経験しやすい。
「さらに、ライフスタイルが変化したストレスの影響も見逃せません」(津田)
ライフスタイルの変化によるストレスにも原因が。
リモートワークや休日の過ごし方など、誰もが何らかの形で生活の変化を余儀なくされたこの一年。ストレスを感じる場面も、きっと少なくなかったはず。
「直接人と話す機会が減ると、以前より表情を動かさなくなりますね。またコミュニケーションを通じたストレスの発散が難しいこともあり、ふと鏡の中の自分を見て“疲れて見えること”に、愕然とする方もいます」(津田)
自宅で過ごす時間が増え、ついつい甘いものをつまんだり、マスク着用のせいで紫外線対策がおろそかになるなど、小さな生活の変化が積み重なって、肌トラブルやエイジングサインを加速させている可能性もあるという。
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マスク着用で発生しやすい肌トラブルとは?
1
乾燥やかゆみ……肌が敏感に傾いて、なかなか回復しない。
原因
・マスク着脱による温度・湿度の変化でバリア機能が低下
・マスクと肌との摩擦によって、角層がダメージを受ける
・ライフスタイルの変化によるストレスの影響
「普段の化粧品がピリピリする場合は、一時的に低刺激処方の敏感肌用化粧品にスイッチを。バリア機能をサポートする保湿アイテムを取り入れ、お手入れの際は、手のひらでやさしくハンドプレスするように塗布しましょう」(菊田)
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2
マスク着用が続いて、突然ポツポツ大人ニキビが発生。
原因
・マスク内の温度・湿度が上昇し皮脂の分泌が増加
・マスクとの擦れで、ニキビの炎症が悪化
・ストレスの影響による、食生活の変化
「過剰な皮脂をオフして肌を清潔に保つこと。そしてバリア機能をサポートする保湿の両立が大切です。ストレスやホルモンバランスなど、複雑な要因が関係する大人ニキビ。改善せず繰り返す場合は、専門医に相談を」(津田)
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3
シワやたるみが以前より目立つ…これって「マスク老け」?!
原因
・直接人と会話する機会の減少やマスク着用で、表情筋を動かさなくなる
・マスクを着けた時は「目元」の筋肉を酷使している
・肌荒れの長期化により、肌内部の炎症が老化サインの原因になることも
「シミやシワなどの老化サインには、肌内部の炎症が関係しています。肌荒れの長期化は老化サインを加速させる原因。また人と直接会う機会が減ることで、普段のお手入れ習慣や表情にも影響するため、気持ちのうえでも“ハリ”を保つことが大切です」(津田)
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4
マスク着用でメイクレスな生活が、実は肌荒れの原因に?
原因
・マスクは紫外線を透過し、長時間浴び続けると光老化の要因になる
・マスクとの摩擦で、メイクの下のスキンケアもはがれてしまう
「一般的な不織布のマスクは意外に紫外線を透過します。またマスクと肌が擦れると、メイクの下に塗布したスキンケアもはがれてしまいます。マスク着用時にもUVケアやパウダーを取り入れると、長い目で見て肌を守ることにつながります」(菊田)
今後もマスク着用が継続しそうだからこそ、肌とのつき合い方も見直しが必要。いつもと違う肌状態や、肌トラブルに悩んだ時は、低刺激のスキンケアに注目して。1~4のそれぞれの肌悩みに合わせた、敏感肌ケアとお手入れ法をご紹介。
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réalisation:NAMIKO UNO