砂糖の代わりに使いたい、身体にやさしい甘味料は?

Beauty 2021.09.22

桐村里紗

人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」を提唱する桐村里紗先生が、新著『腸と森の「土」を育てる〜微生物が健康にする人と環境』を刊行。この書籍の中でも紹介している、砂糖や果糖などの糖質と腸のカビ「腸管カンジダ」の関係性について前回はお話ししました。今回は糖質の選び方について、アドバイスします。


料理の基本調味料は「さしすせそ」と言われ、まず「砂糖」がラインナップされています。
しかし、我が家には、砂糖はありません。

和食って、ヘルシーなイメージがありますが、かなり砂糖を使います。
煮物、肉じゃが、照り焼き、酢の物など、甘いメニューが多いですね。
私の母はヘルシー志向が強いのですが、「砂糖がないと味が締まらない」と言い張り、長年砂糖だけは手放すことができませんでした。

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photo:iStock

家庭で作るならまだしも、お惣菜を買うと、保存性を高めるためにもさらにたくさんの砂糖が使われています。
洋食のおかずは基本的には砂糖を使いませんが、パンがお好きな方は要注意です。
ヨーロッパでは、パンは未精製の麦やライ麦、大麦などを使い、水と塩だけで作られる場合が多いですが、日本人流にアレンジされたパンは、精製された白い小麦に、砂糖を加えて作られます。特に、行列ができる高級食パンなど、糖質の塊です。

以前にお伝えしたように、現代の小麦は、腸と脳、そして地球環境にダメージを与える、プラネタリーヘルスとは真逆の食べ物ですが、日本人が好きなふわふわの食パンは、その中でもリスクが高いと言えます。

砂糖や精製された小麦などによって、脳の依存・報酬系であるドーパミンが分泌され、ストレス解消になる代わりに、もっともっと欲しくなる糖質中毒になってしまいます。
「糖化は、老化」と言われるように、身体に過剰な糖が入ると、全身の機能が低下して老化の原因になります。

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photo:iStock

砂糖の代わりに、血糖値を上げずに腸内環境も改善する甘味料として、家に常備するならば、オリゴ糖と羅漢果糖をおすすめしています。

オリゴ糖はスッキリしたクセのない甘さで、料理に使うのにもぴったりです。
さらに食物繊維のような働きで、小腸で消化されないため、人の血糖値を上げません。その代わり大腸まで届いてビフィズス菌や酪酸菌など有用な腸内細菌のエサになるうれしい甘味料です。
オリゴ糖にも種類があって、その中でも「イソマルトオリゴ糖」だけは小腸で消化されやすく、小腸に暮らす乳酸菌は増やすものの、大腸まで届きにくいため、効果が半減します。

オリゴ糖はシロップタイプであれば、ほとんどのスーパーマーケットに並んでいます。
飲み物にも料理にも使いやすいのですが、不要なものが含まれている可能性もあるので注意しましょう。
「オリゴ糖」と表示してあっても、「ブドウ糖」「果糖ブドウ糖液糖」などのカンジダ菌の大好物が含まれていたり、「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」などの人工甘味料が含まれている場合もあります。
必ず、原材料表示をチェックして下さい。

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photo:iStock

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羅漢果糖は、ゼロカロリーの天然甘味料として世界的に人気です。
アメリカのErewhon Marketなどの高級ナチュラル系マーケットなどでも、「Monk Fruits(モンクフルーツ)」として販売されており、ステビアと並ぶ人気の天然甘味料となっています。
羅漢果は、中国の桂林で、あらゆる病の予防と治療に効果を発揮する「長寿の神果」として、古くから地元の人に愛用されてきました。
砂糖の約300倍の甘みがあり、その成分は、高い抗酸化作用を発揮します。

さらに、料理に使う場合、甘みの代わりに旨みを増やすため、しっかりと発酵した昔ながらの製法のみりん、塩麹や醤麹(ひしおこうじ)、味噌などの発酵調味料を活用すると、無理な甘みをつけなくても十分においしく仕上がります。

いったん砂糖や精製糖の依存から離れると、いかにこれまで味覚が狂っていたかが分かります。
一度離れると、渇望は治り、ない方が心地よくなります。
どちらかと言えば、それが自然な状態だったのだと気づくことができます。

自分の健康にも地球の健康にも害を与えてきた糖質に、そろそろバイバイして、本来の健康を取り戻していきたいですね。

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もっと詳しく知りたい方はこちら!

自分と地球を一体とした健康、「プラネタリーヘルス」の実践的な方法を紹介する一冊です。

『腸と森の「土」を育てる〜微生物が健康にする人と環境』(¥1,012 光文社新書刊)

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桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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