ノイズのない暮らしで不眠体質をリセット。

Beauty 2022.09.30

桐村里紗

都心の家で暮らしている時、私は不眠症だと思っていました。
夜になっても脳が落ち着かず、半分覚醒したまま朝を迎えることもしばしば。
夜はスマホやPCを控えたり、スリープテックを駆使した枕を試してみたり、鎮静作用のあるハーブ、アダプトジェンを試したりと色々やってみたのですが、全然ダメ。
当然ながら、パフォーマンスがかなり低下してしまうので、仕事になりませんでした。

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photo: iStock

ところが、いま、鳥取県の家に暮らすようになってから、嘘のように朝まで気絶したように眠れます。1年ほど二拠点生活をしていますが、東京に戻ると不眠、鳥取に戻るとぐっすりを毎月繰り返していますから、どうやら再現性はありそう。

何が違うのか、と考えてみたところ、ノイズの違いだ!と気がつきました。
音だけでなく、五感から入って来る刺激が、鳥取では一切ないのです。
家具も何もない状態から暮らしをスタートしたのですが、冷蔵庫のモーター音などもなく、聴こえるのは周りの田畑に暮らす虫の音だけ。街灯もほとんどなく、夜はしんと静まりかえっています。

一方で、東京の家は繁華街に近い住宅街。
以前は意識していなかったのですが、一度ノイズのない暮らしを経験してから戻ってみると、車の音、煌々とした街のライト、人々の喧騒など、五感から入る全ての情報が、刺激になっていると気がついてしまったのです。

気が付いてしまうと、街にはいかに刺激が多いものかと驚きました。
歩いていて自然と目に入る看板や電子広告の光やニュース、聴こえてくるモーター音など全てがノイズとして身体を覚醒させているので、暮らしているだけで無意識に身体と心を緊張させる交感神経にスイッチが入ってしまうのです。

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photo: iStock

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飽食の時代になって、身体にどんどん脂肪が溜まり身体の代謝が悪くなったように、過剰な情報を食べ過ぎた脳はお腹いっぱいになって、機能が低下します。脳疲労が起こると、記憶力や集中力の低下、気分の落ち込み、また自律神経の乱れによる睡眠の質の低下などの不調が起きてしまいます。

そんな時に必要なのは、何かを足すことではなく、むしろ引き算すること。
過剰な刺激を避けて、ナチュラルでシンプルな暮らしに戻ること。
まずは身の回りにあるノイズに気づき、意図的に離れることから始めてみて下さい。
いっそ、都市部を離れた自然豊かなエリアにも拠点を持つことをおすすめしたいところですが、急には難しいと思います。都市暮らしの中でも、緑が豊かな公園に足を運んだり、家の中に観葉植物を置いたり、ベランダで家庭菜園をしたり……。家の中の無駄なものを整理して風を通せば、住空間が心地よくなります。丁寧に育てられた野菜や発酵調味料を使って料理をし、ゆっくりと味わいながら食べれば、五感が喜びます。

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photo: iStock

太陽が沈んだら、照明をダウンライトに切り替えてテレビやスマホをOFFして、心地よい肌触りのルームウエアに身を包み、ゆったりと過ごしましょう。
BGMには川のせせらぎや森や雨の音などのナチュラルサウンドを流せば、高ぶった精神が沈静化します。
私のお気に入りは、クジラの鳴き声。弾けるように楽しいイルカの鳴き声と違い、荘厳なクジラの歌は、人を意識の深海へと誘ってくれますよ。

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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