「あなたの肌はあなたの人生。たった一度きり」フランス保健大臣が皮膚科医と協力し、TikTokで流行している日焼け跡について警告。
Beauty 2025.08.02
SNS上では、若い女性たちが日焼けによる炎症を誇らしげに見せる投稿をしている。しかし、このような傾向には肌への深刻なリスクが伴うとして、今週月曜、ヤニック・ヌデール保健相がその危険性を改めて警告した。
「TikTokやInstagramの動画のために、わざと肌を焼く。ここ数週間、SNSでは、sun-tattoos(サンタトゥー)、burns-lines(バーンライン)、tan-lines(タンライン)といった"日焼け跡"を強調する行為が広がっています。」ヤニック・ヌデール保健相は、月曜日にSNSに投稿した動画の中でこう警告した。「あなたの肌はあなたの人生です。肌はひとつしかありません。たった30秒のバズのために犠牲にしないでください。」この保健相の発言は、ここ数週間TikTokで広がっている懸念すべきトレンドに対するものだ。2025年の今、バカンスを楽しんだ証として、うっすら日焼けした肌ではもはや足りないらしい。#sunburnttanlines(サンバーン・タンラインズ)というハッシュタグのもと、再生回数が1億5000万回を超える動画では、若い女性たちが水着の跡をくっきり見せるために、強い日焼けで肌が真っ赤になった姿を披露している。
これらは「バーンライン」または「タンライン」と呼ばれている(いずれも英語で、前者は「やけどのあと」、後者は「日焼けのあと」という意味)。この過激な日焼けは、意図的に日焼け止めを使わずに太陽にさらされることで生まれるもので、もともとはオーストラリア発祥の手法だ。その原理はいたってシンプル。日差しが最も強い時間帯(午前11時から午後3時の間)に、日焼け止めを塗らずに肌をさらし、ときには肌を赤くさせるためにブロンザー(肌を焼けたように見せる化粧品)を塗って日焼けを加速させるというものだ。皮膚科医からすれば正気とは思えない行動だ。
@drdrey.1 Jk burn lines #fyp #tanning #tanlines #summer #viral #trending #tanningoil The Sting Zone - Kelly Elizabeth • TTS
日焼け跡への執着
動画の中でインフルエンサーたちは、日焼けを一種の美容ルーティンとして紹介している。中には、日焼け前にキャロットオイルやオリーブオイルといった植物性オイルを塗ることを勧める人もいれば、肌の赤みを「日焼けの移行期」の証として撮影する人もいる。水ぶくれを誇らしげに見せるユーザーもいれば、やけどの跡を「自然のタトゥー」と表現する人もいる。「赤くても茶色くても、日焼け跡は日焼け跡でしょ!」と、彼女は興奮気味に語っている。
@adele.w05 Kinda peeling #burnt #fypシ #tanlines omg my sound is viral - <3
---fadeinpager---
非常に危険な行為
しかし、見た目の美しさの裏には厳しい現実が隠れている。日焼けによるやけどは長期的な影響を及ぼす可能性があるのだ。カーン大学病院(CHU)皮膚科・性病科部長であるアンヌ・ドンプマルタン教授はこう説明する。「これらの若い女性たちは日焼けをしているのではなく、肌をやけどさせているのです。やけどは即時的な痛みを伴い、その後、皮膚の剥離が起こります」と皮膚科医は詳しく語る。「重症の場合は水ぶくれができることもあります。そして治癒すると、『墓場のシミ』と呼ばれる小さな茶色いシミが残り、一生消えないのです」。
リスクはさらに深刻になる可能性がある。「肌の色が明るいほど、長期的にメラノーマ(悪性黒色腫)やがんになるリスクが高まります」と皮膚科医は警告する。「紫外線は細胞のDNAに影響を与え、そのDNAが傷つくことで、将来的にがんを引き起こすことがあります。日焼けをするたびに、そのリスクは増加します。」
フランス公衆衛生局によると、皮膚がんの85%以上は過度な紫外線(UV)曝露が原因とされている。最も重篤なタイプであるメラノーマは、皮膚がんの約10%を占める。また、思春期のときの日焼けは重大なリスク要因と考えられている。「発達途中の表皮に早期から紫外線が当たるほど、肌は早く老化し、その結果、将来的に皮膚がんを発症するリスクが高まります」とアンヌ・ドンプマルタン教授は指摘している。
そして、すべての肌が同じように反応するわけではない。「こうした若い女性たちは、多くの場合、非常に色白で、メラノサイト(メラニンを生成する皮膚の細胞。メラニンは日焼けの色素のこと)をほとんど持っていません。メラニンが少ないために日焼けせず、紫外線に対する自然なバリアがないため、保護しなければ肌は必ずやけどしてしまいます」と医師は説明する。
根強い誤解
この問題は昨日今日の話ではない。1920年代にはすでに、ココ・シャネルがコート・ダジュールから日焼けして帰ってきて、ファッション誌の協力を得て、日焼けした肌こそが望ましいものであり、贅沢の象徴だという考えを広めた。それ以来、さまざまなメディア、そして現在ではSNSが、この夏らしい肌の色を称賛し続けてきたが、その一方で予防の重要性は軽視されてきた。
さらに、日焼けに関する誤った認識も問題だ。多くの若い女性たちは、強い日焼け(やけど)をすることで、その後さらにしっかりと日焼けができると期待しているが、これは誤った考えだと皮膚科医は断言している。同様に、キャロットオイルやモノイオイル、オリーブオイルなどの植物性オイルを使っても、日焼けの進行を早めることはない。「まったくもって愚かなこと」とアンヌ・ドンプマルタン教授は批判する。「これらのオイルは虫眼鏡のような作用があり、紫外線をより強く集中させてしまうため、やけどのリスクを高めるのです。」
皮膚のリスクを超えて、この傾向は若者たちの動機についても疑問を投げかけている。「私が最も心配しているのは、自ら痛みを求めるという考え方です」と皮膚科医は危惧する。彼女はこれを、「あまりにも快適すぎる世界に生きているため、非日常を求めてしまう世代」と見ている。
安全に日焼けするために
こうした危険な行為が広まるなかで、専門家は適切な日光浴の基本ルールを改めて強調している。徐々に日光に慣らしながら、SPF50+の日焼け止めを2〜3時間ごとに塗り直し、入水後にも必ず塗り直すこと。日差しの強い時間帯は日陰にいるか、肌を覆う服を着ることが大切だ。「日焼けには時間がかかるものです。問題なのは、無理に急ぐことです」とアンヌ・ドンプマルタン教授は語った。
From madameFIGARO.fr
text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi