【フィガロジャポン35周年企画】 私を映し出す香りを体験。ビュリーの特別ワークショップをレポート。
Beauty 2025.11.12
2025年3月、創刊35周年を迎えたフィガロジャポンでは、「アールドゥヴィーヴルへの招待」をテーマに読者の皆様にさまざまな体験の場を提供しています。
10月27日(月)には、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー代官山本店にて、水性香水から自己理解を深めるワークショップを開催。その様子をレポートします。

テーブルにはワークショップのための特別なリーフレットと、カリグラフィーでひとりひとりの名前を書いたプレイスカードをセッティング。"プルースト効果"にちなんだマドレーヌと、宮崎県産の香り高い紅茶「やまなみ」で、参加の皆さまをおもてなし。
オペラのように3幕で組み立てられたワークショップは、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの香りのエキスパートであるオフィシエールのガイドのもと進んでいく。まず、香りの歴史を辿り、ビュリーの創業からのストーリーに触れる第1幕。18世紀を生きた調香師ジャン=ヴァンサン・ビュリーがパリにもたらした香り文化の洗練や、時代を席巻した「ヴィネーグル・ド・トワレット(香り酢)」の発明、そして変革に巻き込まれ没落していった彼の物語を振り返る。

1回6名と少人数の会。オフィシエールのガイドのもと、和やかな雰囲気で進行。

18世紀後半に一躍人気を博したヴィネーグル・ド・トワレットの瓶と販売伝票を特別に展示。パリで大切に保管されていたものが、この日に初公開された。
そのジャン=ヴァンサン・ビュリーの哲学を現代に甦らせるべく、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックとラムダン・トゥアミの指揮のもと2014年パリに誕生したオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー。彼らがもたらした新たな発明が、いまもブランドのアイコンであり続ける水性香水「オー・トリプル」だ。アルコールフリーのやさしい使い心地で、他人ではなく自分自身のために纏う香り。エレガンスを極めた水性香水は、国を超えて多くの人に愛されている。

オフィシエールがオー・トリプルの纏い方を実演。使う前にボトルをよく振って、妖精の粉を描けるようにふんわりと身体に吹きかけるのがおすすめ。

2014年のブランド創業時のオー・トリプルのボトルも展示。美しいイラストが描かれたラベルが印象的だ。
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こうしてビュリーの歴史を振り返った後、ワークショップは第2幕へ。ここでは水性香水を構成する香料についての学びを深めていく。テーブルには5種類のオー・トリプルが用意され、それぞれの香りからひとつずつピックアップした、代表的な香料5種がランダムに並べられている。参加者は嗅覚を頼りに、それぞれのオー・トリプルと香料を結びつける香りのクイズに挑戦。

単体の香料と調香された香りの間に共通点を感じることもあれば、印象が全く違うことも。

22種類の水性香水すべてを体験してみたくなる。
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そしてワークショップは第3幕へ。ここでは「ジャン=ヴァンサン・ビュリーからの質問票」と題された15個の質問に対し、最も自分に近い答えを選んでいく。これは『失われた時を求めて』の著者マルセル・プルーストによる「プルーストの質問票」からインスパイアされたもの。この回答からひとりひとりの人生観や価値観にふさわしい香りを導き出す目的だ。

ウィットに富んだ質問の数々。それぞれA〜Eの選択肢から、直感的に回答していく。
質問票を集計後、オフィシエールからそれぞれに鏡形のカードが手渡される。カードに向かって「鏡よ鏡、私にぴったりの香りは?」と念じ、裏返すと......そこには、自分に最適な香りのタイプの診断結果が。

診断結果が、まるで鏡に映し出されたかのよう。
この結果は、オー・トリプルの5つの香りのファミリーに即したもの。その後、結果に応じた数種類のムエットが渡され、参加者にはその中から自身で選んだオー・トリプルのミニボトルがギフトとして用意された。

最後に全員でワークショップの感想を語り合う。
「ビュリーとともに、まるで旅するような香りの体験を楽しむことができた」「製品を試すだけでなく、歴史についての学びもあり、いっそう香りが好きになった」と、参加者も充実の内容を楽しんだ様子。形がないからこそ、多くを語り、時代を超える存在でもある香り。その魅力をあらためて知り、自分に反映しながら深掘りしたひとときは、唯一無二の体験となったはずだ。
photography: Mari Hamada






