アレッサンドロ・ミケーレ、ビューティへの視点 #02 ローマンカモミールを主役にした、新フレグランスの挑戦。
Beauty 2019.10.25
グッチのクリエイティブ・ディレクター就任以来、独自の世界観でファッション業界に旋風を巻き起こしてきたアレッサンドロ・ミケーレ。彼がビューティの分野において貫く美学とは? ふたつのフレグランスと、2020年に上陸が噂されるリップスティックコレクションから紐解く。
香りとは、過去の記憶を現代に蘇らせ、未来へ続く架け橋となるもの――。そんなメッセージを携え10月に登場した「グッチ メモワール デュヌ オドゥール」は、ジェンダーや時代を超えた、これまでにないフレグランス。香りの核にアレッサンドロが選んだのは、ハチミツや青リンゴのような優しい甘さを持つローマンカモミールの花。世界中で知られる植物だが、香りの世界ではこれまで脚光を浴びてこなかった香料だ。
アレッサンドロが見つけた、グッチのヴィンテージのフレグランスボトルにヒントを得たデザインは、ジェンダーレスで年齢を問わないニュートラルな佇まい。グッチ メモワール デュヌ オドゥール オードパルファム 100ml ¥15,950/ブルーベル・ジャパン
ローマンカモミールを中心に、インド産コーラルジャスミン、ムスク、サンダルウッド、シダーウッド、そしてバニラが織りなす香調は、伝統的な分類を超えたミネラル アロマティックと表現されるもの。干し草のような乾いた温かみと、明るい気品、ほのかに重厚な余韻が感じられる。数多の経験を持つ調香師アルベルト・モリヤスでさえも完成までに約1000回の試作を重ねたという香りは、記憶に根ざしながらも、時代や場所、社会の束縛を超え、本質的な価値観を描くことへと迫った。まさに新時代を予感させる、唯一無二のフレグランスといえるだろう。
※商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ価格となります。
photo:SATOSHI YAMAGUCHI, stylisme:YUMENO OGAWA