パリ街歩き、おいしい寄り道。

パリからの旅・アルザス日記。#2

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前夜、おなかも満たされおしゃべりもたくさんして眠りにつき、翌朝。
外は小雨が降ったり止んだりしていた。
梁のある天井とそこから続く、窓の外に見える街の風景に、旅先であることの喜びを感じて、すこし陰影のある部屋を楽しむよう電気はつけずに過ごした。
ゆっくりとお風呂に入って、温まって、さあ出発。

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午前中は、どのお店もちゃんと開いていた。
シャルキュトリーのウィンドウに並ぶものが全部パイ包みで、思わず吸い寄せられる。
食べたいなぁ。
アルザスの食文化、面白そうだなぁ。

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メスからストラスブールを通り越してコルマールに向かったのは、金曜の朝に出るブロカントを見たかったから。

「コルマールにはよいブロカントの店があるよ〜」と、メスで出会ったブロカント商のムッシュに聞いていた。

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場所はカテドラルの横の広場。
ホテルからすぐだった。
小雨ゆえなのか、6軒しかスタンドは出ていなかったけれど、盛りだくさんではない中に、ちょっと心惹かれるものがいくつかあって、購買意欲をぐぁぁっと掻き立てられないからこそ、じっくり見たくなるようなブロカントだった。

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心置きなく見たら、すこし身体が冷えた。
温まろう、と入り口脇のショーケースに並んだヴィエノワズリーに目が止まったL’Amandineというブラッスリーに入る。
カフェ・クレーム(大)を頼んだら、カフェの中にクリームは入っていなくて、別添えで出てきた。
前にストラスブールで頼んだときにもそうだった。
アルザスではこれは一般的なのかなぁ。
でも、出された、フレッシュではないクリームに抵抗があって、ミルクならフレッシュなのかと聞いたら、そうだというのでミルクに取り替えてもらった。

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前回コルマールを訪れたのは10年近く前。
今回が初めての訪問である友人と、観光名所のひとつ、プティット・ヴニーズ(Petite Venise)に足を運ぶことにした。
記憶にあった以上に、観光地としての色が濃く、さらっと通って傍にあった常設のマルシェに行く。

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ここに地元産のハチミツを売っている店があった。
もみの木のハチミツをいくつか購入。

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街を歩いていると、屋根に緑色を配した建物を発見。

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すこし離れたところからカテドラルを見たら、こちらも屋根に緑色が使われている。
木骨造りの家よりも、この屋根、好きだなぁ。

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カテドラルの中に入ってみた。
メスの大聖堂よりもずっとシンプル。
でも光も配色も温かかった。

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街歩きを楽しんでいたら、いつの間にかランチタイムを逃してしまい、入ってみたいと目星をつけていた店はすでにお昼のサービスが終わってしまっていた。
ならば、と料理もおいしそうだった朝ごはんを食べたお店に戻ったらこちらもラストオーダーをとったばかり。
向かいはノンストップだよ、と言われ、お向かいのブラッスリーに行く。
たくさんアルザス料理がある中で、ふたり揃ってシュークルートにした。
前日食べたものが本当においしかったのだ。
こちらのは、少ししょっぱかった。
おそらく、私がこれまで食べてきたものはこの店と同じくらいのしょっぱさだったと思う。
やはり、塩気があるとおなかいっぱいになるのが早い。
それでも、シュークルートって面白い。
フランスに、チーズやパン、ワインと発酵食品は数あれど、シュークルートにはそこまで注目していなかった。
味が単調だと思っていたのだ。
自分の味覚が変わったのかなぁ。
飽きなかった。

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荷物をピックアップしにホテルへ。
とても居心地のよいホテルだった。
またコルマールに来ることがあったら、きっとこのMaison des Têtesに泊まると思う。

私はここからストラスブールへ。
友人はそのままパリへ。

チケットを買ったのは数時間前なのに、駅に着いたら、乗るはずの電車がキャンセルになっていた。
「うわ、電車、なくなってる」とつぶやいたら、それを聞いていたらしい後ろにいたムッシュが「いまホームに入ってくるこの電車に乗れば、ストラスブールまで行けるから、そしたらパリ行きのTGVは何本でもあるよ」と目前のホームを指しながら教えてくれ、とりあえずそのローカル線に乗り込んだ。
調べたら、ストラスブールからは、私たちが乗る予定だった便名のTGVが出発することになっている。
気にしてくれていたのか、同じ電車に乗り込んでいた先ほどのムッシュが、スマホを片手に、パリ行きのTGVがすぐにストラスブールで出るよ、と伝えにきてくれた。
車内でも、パリ行きのTGVに連結するアナウンスが何度か流れた。
乗り換えるように見える人もたくさんいた。

ストラスブールでTGVのホームに無事たどり着き、友人を見送って、私は予約していたホテルHôtel Cour du Corbeauへ向かう。

外はもう暗くなり始めていたけれど、前回来た時にも乗ったトラムと同じ路線の同じ駅で降りればよかったので、不安はなかった。

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チェックインすると、中庭に面した部屋で過ごしやすそうだ。

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洗面台もふたつあったから、友人と泊まるのでも使い勝手がよさそう。

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もう暗かったから少しだけお散歩をして、コルマールで食べそびれたベニエ(ドーナツ)を買いに行き、ホテルに戻った。

翌朝は、ホテルの前に流れる川を渡ったところに出る、マルシェとブロカントに朝イチで出かける。

続く。

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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