パリ街歩き、おいしい寄り道。

6区の新しいお店と、クープ巡り。

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6月2日に、6区にオープンしたマラン・モンタギュMarin Montagutへ行った。
オープン直後の店内の写真をインスタにアップしていた人がいて、その写真の中に、マグカップが写っていた。
私は、大のマグカップ好きだ。
だけれど、なかなか好みのものに出合えない。
フランスのブロカントでマグカップは見つからないから、マグカップを探しにイギリスへ行きたい、とよく思う。
いつも使っているのは、イギリスの古物屋で10年ほど前に買ったもの。
それと、ひとつだけ持っているアスティエ・ド・ヴィラットのカップ。

その、ポストされた写真からでは、マグカップの大きさを図りかねた。
それでも、もうほぼ買うつもりで、少し時間ができたタイミングで、期待を胸に出かけた。
グリーンと白のストライプの庇が目印だ。
店に入る前にまずショーウィンドウをじっくり見て、それから店内に足を踏み入れた。
まずいなぁ…
マグカップだけでなく、コップもノートも欲しくなりそうだ。
はやる気持ちを抑えながら、ゆっくりと店内を見て回った。
マグカップはいちばん奥のコーナーにあった。
パンとフルーツだけで朝ごはんを済ませたいときに重宝しそうな、マグカップと同じ絵柄の描かれたお皿もある。
平日だったし、店内が混み合うことはないけれど、でもお客さんが途切れることもなかった。
スタッフの人(ひとりだった)の手が空いたところで、マグカップの絵柄は、ここに出ているもののほかにもありますか?と訊ねた。
お皿には、エッフェル塔が描かれたものがあって、でもマグカップでは見当たらなかった。もし、マグカップでも同じ絵柄があるなら見たいなぁと思ったのだ。
「マグカップは、全種類ここに出ています」
そうかぁ。残念。
でもそれで迷いはなくなって、リュクサンブール公園の椅子が描かれたマグカップを買うことにした。
お会計をしながら、スタッフの女性と少しおしゃべりをした。
本当は3月にオープン予定だったところを断念し、あらためてオープン日と設定した6月2日が、偶然にも、パリにおいてカフェやレストランのテラス席が解禁日となって、おまけにその日はお天気がよかったから、たくさんの人が初日から立ち寄ってくれて本当にうれしかった、と話してくれた。その日の朝、向かいにあるカフェのテラスでパン・オ・ショコラの朝食をとりながら、パリで暮らして20年、いちばん幸せな朝ごはんだと思った、と笑った。
彼女も、オーナーも、日本が大好きなのだそうだ。
紙袋も、添えてくれた包装紙も、テープの字体も、とても素敵だった。

店内で、おしゃべりをしながらマスクをし続けるのは不可能なほどに暑かった。
リュクサンブール公園へはすぐだ。
公園の一角にあるリュクサンブール美術館の脇にあるアンジェリーナに向かった。
あそこなら、パフェがあるはずだ。
ただ、美術館の再オープンは9月23日というお知らせをサイトで見ていた。
それと合わせてアンジェリーナも閉まっているかもしれない、と思っていたら、残念なことに、閉まっていた。
さて、代わりにどこに行こう。
ただのアイスの盛り合わせじゃなくてちゃんと泡立てたおいしい生クリームの付いたパフェが食べたいんだよなぁ、だからパティスリーがあるところじゃないと……と考えて、そうだ! ラデュレならパフェがあったはず、と思いついた。
それで、ボナパルト通りのラデュレに行くことにした。

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途中、リュクサンブール公園からほど近い小道にあるアイス屋さんピエール・ジェロニミ(Pierre Geronimi)を覗いてみたけれど、休業中なのか閉業したのかわからない状態で、ともかく閉まっていた。
そのまま進み、サン・シュルピス教会の広場に出て、寄って行こう、と思い、教会に入った。
通路を歩きながら、なんか変だな、と思ってふと気づいた。
普段ないところに椅子が置かれている。
そう、椅子がフィジカルディスタンスを取るために1mほどの距離を持って配置されていて、それゆえに、通路まで並べられているのだった。

教会からラデュレまでは歩いて5、6分。
パティスリーは開いていた。のだけれど、サロン・ド・テは8月31日まで閉まっているという。
そうかぁ、ここもだめかぁ。
もうここまで来るとどうしても食べたくて、オデオンの交差点近くにあるイル・ジェラート・デル・マルケーゼ(Il Gelato del Marchese)にも行ってみることにした。
すると、サロン・ド・テのほうは閉まっていて(これまた休業なのか閉業なのかわからない状態)、その隣、角地に立つ、テイクアウト用のスタンドのみ営業していた。
違うんだよなぁ、私は、生クリーム付きで食べたいんだよなぁ。
あとこのエリアでサロン・ド・テのあるパティスリーは、Beaupassage内にあるピエール・エルメだな、と思い、行くことにした。
ただ、これまで何度かメニューを見に行き、お店の人にも聞いて、その都度、生クリームを盛り付けたクープの類を出していないと言われていた。
だからそこまで期待はしていなかったのだけれど、やっぱりなかった。

それでrue du Bac沿いのデ・ガトー・エ・デュ・パン(Des Gâteaux et du Pain)に向かった。
ここまで来たら、少し先にあるル・バック・ア・グラス(Le Bac à Glace/前々回のブログに登場)に寄る手もあったけれど、ぐるぐる歩き回って疲れてしまい、一度座ったらしばらく立てなくなりそうな気がした。
テイクアウトをするなら、デ・ガトー・エ・デュ・パンのアイスが好きで、友人宅への手土産にも夏はここのアイスを買って持っていく。
いつも決まって選ぶアーモンドミルクとイチゴのアイスに、珍しくキャラメル風味も買った。

クリームを泡立てることもせず、ただ上に少しクレーム・フレッシュをのせて、ヘーゼルナッツを数粒添え、シンプルな盛り合わせで満足した。
さっそくカップも使ってみたら、飲み口が好きな感じだった。
もうひとつ買いに行こうと思う。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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